こびナビ2021年振り返り(こびナビTwitter spacesまとめ)

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2021年12月24日(金)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:峰宗太郎


オープニング

峰宗太郎 
さて、さあ、始まりました。こびナビスペース、今年最後の回になります。多くの皆さんに参加していただきありがとうございます。「今日はスピーカーの皆さんもたくさん参加していただいて大変ありがたいですね」って言いたいんですけれど、誰も来ないとこれどうしようかなっていう感じで。本当に今日来てくれるんだろうかと心配であります。本日は岡田先生に代わって私がモデレートをするということになっているんですけれども、1年の終わりということもありますのでね、今年あったことなどを振り返りながらということで考えていますが…スピーカーが1人なんですね。これ、どうしようもないですね。私の独演会になりますけれど、いいんでしょうか? えっと、本当に誰もこないですね。まあ皆さん年末でお忙しいんでしょう。師走というくらいですからね。“師”が走り回るといってもですね。いろんな“師”があると思いますけれども、師に限らずみんなせわしくなるのは、日本の年末年始の状態でありましょう。皆さんのところはクリスマスイブでしょうか?
クリスマスイブですよね。ということでですね、私は今はアメリカにいるんですけれど、 politically correctness(政治的な妥当性)ということで、特定の宗教を擁護するということではなく「Happy Holidays」と言います。「メリークリスマス」とは言わないんですよ。日本人は気軽に「メリークリスマス」って言っちゃいますけれど、国際感覚的には「Happy Holidays」ということになっております。
れおにい(岡田玲緒奈)は今日は忙しいですよね。喋れるんでしょうか?

岡田玲緒奈
喋れます。

峰宗太郎 
お誕生日だそうで。おめでとうございます。

岡田玲緒奈
ありがとうございます。

峰宗太郎
あれ、遠藤先生、こんにちは。

遠藤彰
こんにちは。

峰宗太郎
今日はありがとうございます。来ていただけて大変嬉しいです。イギリスはクリスマスイブになりましたでしょうか?

遠藤彰 
暦の上ではクリスマスイブに。あ、まだ日付は変わってないです。もうちょっとですね。

峰宗太郎
もうちょっとですか、そうですか。サンタさん、今頃飛んでるんでしょうかね。リスナーの方はもう揃っています。今、見てみますと865名の方に聞いていただいていますけれども、スピーカーの方がいまいち揃っていないというところでですね。
黑川先生、お元気ですか?

黑川友哉
おはようございます。 Happy Holidays 峰先生!

峰宗太郎 
あー、よかったです。いや、これで先生にも繋がれなかったらもうやれることないなと思っていたんですけれど。

黑川友哉
いえいえ、そんなことないでしょう。
毎日、日本時間の昼に1時間も喋れる先生なんだから。

峰宗太郎
ああ、Voicy ですね、 Voicy は本当に雑談してるんですよ。こっちは雑談じゃなくてですね。今日はなんか最初に雑談したいことありますか、黑川先生? 

黑川友哉
いや、特に無いですね。我が家はサンタさんが1日早く来たっていうことぐらいですかね。

峰宗太郎
ああ、それは何か Covid 対応とかですか?

黑川友哉
いやあ、もうなんか諸事情あり。ちょっとサンタさんが1日早く来たっていう。昨日はちょっと寝不足です、はい。

峰宗太郎
すごいですね。サンタさん1日前倒しとかあるんですね。

黑川友哉
そうですね、今年はうちは前倒し配布っていうのがなんかあったみたいで。

峰宗太郎
なんか遅配の方があったらちょっと悲しいですね。遅れてくるとかね。

黑川友哉
そうですね。全国的に今アマゾンの荷物とか届くの遅いらしいんですけれど。

峰宗太郎
あー、そういうの困っちゃいますよね。いろんな意味でね。じゃあ、そろそろ始めていこうかなと思うんです。

【2021年振り返り】

峰宗太郎
今日は実はですね、2021年のこびナビスペース最終回ということになります。来週はこびナビも年末ということでお休みになりますので、今日はこの1年間の振り返りをしたいなという気分です。まあ皆さん Happy Holidays なんですけれど、私の方もさすがに年末の雰囲気がしていて。今日は職場に行っても誰もいないという状況でした。別に休みではないのですが、皆さん休みを取られているような状況です。
皆さんのところはいかがでしょうか?仕事納めの方、それから納まらない方、ここから忙しくなる方、色々いらっしゃると思います。年末ですからね、色々せわしくなると思いますけれども、健康と安全に気をつけて進めていただきたいです。
今日の朝の今年最後のこびスペを進めていきたいと思っております。

コロナ関係のニュースは色々あります。今も新しく出てきてます。オミクロンがもちろん話題です。これについてはですね、もう皆さんボンボン情報提供をツイッター上でもタイムライン荒れまくるくらい。ヤフートピックスも連日オミクロン、オミクロンということでですね、大変なことになっています。

オミクロンの復習だけ簡単にさせていただきますと、伝播性(いわゆる人から人にうつりやすさ)とか、流行の起こりやすさ、これはデルタよりもかなり上がっているということがほぼ確実です。ですから、とにかく世界で流行の主体は今後オミクロンにまずはなるだろうと。それ以後の変異ウイルスがまた出てくる可能性がありますのが、とりあえずはオミクロンだろうということ。そして、多くの国で検出され、日本でもおそらくもう直接持って帰ってきた人以外の二次感染とか、市中感染とか、色々な表現をしていますけれども、国内での人と人の接触による感染の事例も出ているということが分かってきています。

それから、病毒性についてはイギリスからいくつかの報告が出始めていますね。
病毒性といっても、実際、指標として見ているのは受診だとか入院の率ですね。死亡はまだまだ後にわかることだと思いますけれども、対デルタで見てみると少し軽めに済むのではないかと。入院率が低いのではないか、受診率が低いのではないかということが見え始めています。
ただ、立ち上がりはあまりにも急峻ということもあります。正確な数値が出てくるのはもうちょっと時間がかかるのかなというところです。

そしてワクチンの効果ですね。
中和抗体とワクチンの効果ですけれども、これも大きく下がることが分かってきました。イギリスのブリーフィングのレポートが出ていますけれども、ブースターショットをすればデルタであったら80%台後半まで戻る(保たれる)ところ、オミクロンの場合には75%程度の発症予防効果ではないかという通知が最初出ました。
その後、見ていくとブースターショットも打ってからしばらくすると、やはり効果が下がってくると。しかも、結構下がるんじゃないかということが分かってきつつあります。ですから、ブースターショットを打つことはとても重要なんですけれども、ワクチンだけで防いでいこうっていうのがやっぱり至難の業になってきます。発症予防効果という意味でももちろん感染の予防効果が下がると思われますので、しっかり基本的予防策を取っていただきたいです。

国の対策とか、自治体の対策、水際対策、皆さん色々な意見があるかもしれません。大切なことはもう2年間で皆さん学んだと思います、国民の総力戦なんですよ、これは。ですから、国がどうしてくれるとか、水際対策がどうとかっていうのも大事なんですけれども…もちろん接触者調査も大事です。けれど大事なことはひとりひとりの基本予防策とか、対策。ここを、しっかり見直す時期がやってきたんじゃないかということです。全国的にも患者数、絶対数はそんなにめちゃめちゃ増えてないですけど、増え始めているという傾向もあります。今一度、予防策の点検、それからどの程度自分たちがリスクを取れるか、地域の流行状況、そういったことに目配せをしていただく、そういう時期になっているような気がします。
ちょっとね、第5波が終わって少し気楽なまま年末年始を迎えられるかなと思っていたところにオミクロンが来てしまいましたけれども。第6波が大きく起こってくると思います。何らかの波がくると思いますけれども、大きな波にしないとか、とにかくまた医療逼迫とか、そういうことにならないようにしていければいいんじゃないかと私は考えています。
ということで、長々とひとりオミクロンの話をしましたけれども、今日は残り20分を使って今年の振り返りをやりたいと思います。
黑川先生いいでしょうか? 

黑川友哉
はい、よろしくお願いします。

峰宗太郎
黑川先生はじゃあ4番目に当てるので、他の皆さんも今からコロナ関係を主体として、こびナビ・コロナ関係でこの一年で最も印象に残っているっていう話を。まあ、最もといっても1個
じゃなくてもいいです。今年はこれがあったなっていうのを今から指していくので、もうあらかじめ伝えとけよって話ですよね。あえて、ここで今考えてもらって必死に。
こういうのはねTaka先生とかすぐ出てくると思うので、普段大人しい人にパニックを起こさせてみたいっていうことで遠藤先生から指名します。あと10秒で行いますので、ちょっと考えてください。10秒ですよ。今年特に印象に残っていることとか。来年に向けて今年の反省として活かすべきとか。今年の教訓となるような、あ、これあったなあとかですね。そういう何かがあればお話をいただきたいと思います。
ではですね。10秒経ちましたのでTaka先生、嘘です。遠藤先生、どうぞ。

遠藤彰
ええと、いや、もう本当にこういう突然振られるのすごい苦手なので、完全に見通されているなあっていう感じなんですが。
そうですね。結構個人的に色々やって楽しかったなぁとか、勉強になったなと思うのは、あまり表に出ることはないんですけれども、こびナビの先生方と色々情報交換を後ろでやっていたりとか。新しいニュースが出てきた時とかに「これってどうなんですか?」とか「いや、これはちょっと違うんじゃないですか?」とか色々ディスカッションする機会を持つことができて、それはすごく自分にとっても勉強になりました。
それから、一応感染症数理モデルの端くれとしてチームに入れていただいているので、自分の知見だったりとか、こういう見方をするんですよみたいなことを提供できたっていうのは、そういう意味では貢献できたのかなと思っています。ちょっと具体的なイベントってわけではないんですけれども、楽屋でこうワイワイ色々と先生方と情報交換とかディスカッションさせていただいたのはすごく楽しかったなと思っております。

峰宗太郎
ありがとうございます。
いや、でもすごくいい指摘だと思います。最初からなんか締めみたいなコメントなので遠藤先生にもう一度最後に締めてもらおうかと思っちゃったんですけれど。
やっぱり、こびナビはたくさん医師とか研究者が集まって、そして1人の考えではなくてみんなで考え、検討しながらやっていくというひとつの医療従事者とか研究者とか専門家なんですね。意見とか、情報発信していくモデルとなるような何かができてるような気がするんですよね。だから、もちろんコロワくんサポーターズとかも頑張っておられると思うんですけれども、こういうところで培ったノウハウをちゃんと活かして、コロナの最後まで走り切って、しっかり収束まで持って行くところにお付き合いしていくっていうのが大事だと思うんです。
それ以外にも情報発信のあり方で色々我々も学んだところも多いですし、本当にこういうモデルでやっていくっていうのが大事かなと思うところですよね。遠藤先生、いい指摘で、具体的なニュースじゃなくてむしろありがたい今年のトピックでした。
次はですね、じゃあ真打ち行きましょうか?
Taka先生、何か今年のこれはっていうのはありますか?

木下喬弘
そうですね。新型コロナワクチンが日本に入ってきまして、ちょっと色々な不正確な報道が増えている中で、何とか政府に媚びてなびく団体を作らないといけないということでこびナビを立ち上げました。そこから少しずつ認知度が上がっていって、やっぱり河野大臣に取り上げていただいたあたりくらいから反響が増えてきて、無事漫画家さんに「媚びてなびく」って言われて色々な漫画を制作していただいたりとか、すごーく軽い軽い感じで SNS で殺害予告されたりとかですね。そういうのが色々あったわけですけど、何か1つ選べと言われたら、やっぱりあれじゃないですかね。
今聞いていただいてる皆さんと出会えて、これだけ我々の活動をサポートしてくださる方が出たと。そういう人たちと一緒に1つの目的に向かってプロジェクトができたっていうことが一番なんじゃないかなと。私はそういうふうに思っておりますよ。

峰宗太郎
なるほど、運動体全体としてってことですよね。
いや、なんかすごい綺麗事を言った感じで締めないでいただいていいですか? 

木下喬弘
いや、楽しいですね。こういうのね。

黑川友哉
笑い方が悪い笑い方してますよ。

峰宗太郎
悪い笑い方ですよ。

木下喬弘
まあ、みんなもそう思ってるんじゃないですかね。

峰宗太郎
いや、そもそももう皆さん名前さえ忘れてしまったかもしれませんが、クラブハウスっていう媒体でTaka先生が突然始めたんですよね。こびナビメンバーが巻き込まれる形で、みんななんか参加せざるをえない空気になったっていう。あれで一大コンテンツになったわけですけれど。

黑川友哉
あの初回って覚えてます? クラブハウスの初回? 

木下喬弘
覚えてます、覚えてます。はい。

黑川友哉
Taka先生がこびナビメンバーを1人ずつ紹介して喋ってもらうっていう回だったんですけれど、あの時、裏でずっとTaka先生が「次、黑川先生行きますから」「次、れおにい(岡田玲緒奈)行きますから」みたいな。もうずっとファシリテートしながらこう裏で指示を出すっていう「この人は何者なんだ?」って。本当に僕はとんでもない組織に入ってしまったなって思ったのが、その時でしたね。

峰宗太郎
なるほど。

木下喬弘
こうやって実はこの世界を裏で操っている黒幕ですから。まあ、そういうこともできてしまうわけですけれど、クラブハウス懐かしいですね。僕が勝手に始めて「毎朝やります」と言ったのに、ちょっとなんかしんどくなりすぎてキレてみんなに日替わりモデレーターを押し付けるっていう事件とか色々ありました。
よく皆さんにお付き合いいただいたなと本当に感謝してます。

峰宗太郎
ありがとうございます。
ということで、やはりこびナビの活動そのものとかに共感してくださっている方、情報を取りに来てくださっている方と一緒にできたってことは今年大きいニュースですよね。

木下喬弘
うん、ということでありがとうございます。ちょっとね、今日このまま出ないといけないんです。年末 YouTubeライブがありますけれど、こびスペにお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。
来年以降もですね、もうちょっとコロナワクチンのやらないといけないことが残っていますので頑張っていきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

峰宗太郎
はい。この告知もまたそれはツイッターのタイムラインでしっかりということで。
はい、ありがとうございます。
次、れおにい(岡田玲緒奈)になるんですよ。じゃあ、れおにい、そろそろ準備はできましたでしょうか? 

岡田玲緒奈
はい。ありがとうございます。
思い出してみれば、僕は去年の今頃はちょうど峰先生の前回の本を読んでいたと思うんですよね。

峰宗太郎
ほうほう。

岡田玲緒奈
はい。その1か月後にはこういう団体の話が出てくるとはゆめゆめ思ってもいなかったということです。そして、まさかそのこびナビを最初起ち上げるところから関わらせていただくとは。
僕としてはやっぱりクラファン(クラウドファンディング)のことに触れなければならないかなと。クラファンを仕切らせてもらって、あれだけご協力いただけたというのはすごいありがたいことでした。あれにご協力してくださる方っていうのは、私たちの活動に賛同してくださっているワケですから、もうご自身は既に正確な情報源に到達しているということです。ということは、ああいう風にお金を支援してくださる、あるいは直接お金の支援でなくても拡散に協力してくださるっていうのは、完全に他の人のためにということになるかなと思うんですよね。
今も、特に小児の接種とかいう話をすると「利他のために打たせるのか」といって怒られるんですよね。そもそも本人に利益があると思って言ってるのは別にしても、仮にワクチン接種に利他的な理由があったとして、「なんでダメなんや」と僕は個人的には思うんですけれども。利他のためにと多くの方が協力してくださったのはありがたいし素晴らしいことだなと思っていました。
当時から応援くださっている方や、最近知ってくださった方、多くの方のご協力があってここまで何とかやってこれたかなと思っています。何故か泣いてます。

峰宗太郎
泣いてますか? もしもーし。

岡田玲緒奈
なんか涙が出ちゃいますよね。

峰宗太郎
あー、さすが誕生日なのでいいんじゃないでしょうか?

岡田玲緒奈
そうかもしれない。

峰宗太郎
本当、そうですね。クラファンもそうです。多くの方に支えていただいて大きな動きになってきたというか。伝えるべきことを伝えるということは少し出来てきたんじゃないかっていうことはすごく感謝ですよね。本当に感謝感謝ですよね。
ばりすた先生って今お話できます? 

ばりすた先生
はい。

峰宗太郎
あのね、無理やりスピーカーに突然上げてしまったんですけど、ばりすた先生的にですね、今年のコロナ関係ですね。これを振り返って印象があったなとか覚えてるなっていうことをお話いただければと思っています。突然指名で申し訳ないんですけれども。もう珈琲の話題でもいいですよ。

ばりすた先生
ありがとうございます。
なんかこうしてですね、僕、ここの何ていうか、こびナビ面(づら)的な感じをして上げていただいて本当に恥ずかしいというか、ありがたく思っていますね。
そうですね、ニュースの話でいうとやっぱり皆さんのこの活動もあってか非常にワクチンの接種数がすごいぐわあっと伸びて1日130万~140万接種みたいな感じになって。どんどん接種人口数が増えていく時期が、たぶん6月、7月くらいだったと思うんですけれど。
もちろんそれは情報提供だけではなくて、政府であったりとか、自治体の方々の働きあってこそだと思うんですけれど、そういった全てが一体感を持って実績を積み上げていたあのニュースがこの1年の中で一番印象深かったと思ってます。

峰宗太郎
そうですよね。でも冷静に考えてみれば、これは一大国家プロジェクトですし、医療史にも残るような世界的なプロジェクトですもんね。なんかそういう意味ですごい時代に生きているなっていうことを私も思います。
ばりすた先生の挙げていただいたこの100万人とかですね。大人がですよ、一斉に世界中の国で毎日ワクチンを打っているって想像してみてください。こんな大きな人類プロジェクトってそうそう無いと思うんですよね。そういう時期に多くの皆さんがそれぞれ悩みながら、多くの情報をどうやって取ろうかとか考えながら、適切に行動して人類の本当に大きな脅威に立ち向かっているということ。これもですね、冷静に考えたら、今苦しいことがもちろん前面に出ていますし、実際、悲しいこと、苦しいこと、辛いことが多いですけれども。しかし、どれだけのことを成してきたかっていうことも考えることは大事なような気がしますよね。ということで、本当は安川先生をここで指名したいんですけれども、安川先生がリスナーから上がってくださらないので、黑川先生。黑川先生、準備出来ましたか? 10秒以上用意されていました。

黑川友哉
はい、ありがとうございます。
いや、皆さんが本当にいいお話をされたんでどうしようかなと思っているんですけれど、私、本当に岡田先生とか仰っていた、やっぱり皆さんの力っていうのはすごく強いんだなっていうのは印象に残りました。
あの正直、私、もともと PMDA(医薬品医療機器総合機構)とかいうところで医薬品の審査とかしてた時に行政の視点でこう advocate という動きっていうのを見てきたこともあるんです。政府とか行政とかにどういう風に働きかけが効率的にできるのかな? というのを考えたこともあったんですけれど、実際に官でも学でもなくて、民という立場からこびナビという活動を通して、色々なワクチンの情報発信をしたり。それが河野大臣の耳にも届いたりとかですね。そこに多くの方から賛同をいただいて、こういう活動を続けさせてもらってっていうことで、大きな力、うねりになって。それがもう本当に厚生労働省に届いたりっていうことも経験して。この1年は本当に民の力って半端ないなって。僕は感じさせてもらった勉強させてもらった1年でした。
で、もう1個いいですか?

峰宗太郎
もちろん、いいですよ。

黑川友哉
すみません。もう1個は、ワクチンだけではなくて医療全般なんですけれど、不安の力ってとてつもないっていうのも同時に感じた1年でした。やっぱりオミクロンとかの感染拡大の伝播性の強さって非常に強く言われてますけれど、それ以上にやっぱり不安の伝播性の強さってとてつもないなっていうのを強く感じさせられて。私、1年間、まあ1年経ってないですけど、こびナビのウェブサイトでの相談フォームから色々な不安の声を見させてもらった立場なんですが、本当にワクチン接種が広がると同時にですね、たくさんの不安の声をいただいたりだとか。あ
るニュースが出るとそれに呼応するようにそれに関する不安、例えば「ワクチン接種した後に本当にこんなに人が死んでいるんでしょうか?」とかそういった不安が本当に多くの方に影響を及ぼしているんだなって。それがまた曲がりまがって、口づてで中途半端な情報を受け取ることで間違った形で情報が広がってしまって、更に不安を呼んでしまうっていう。その不安の伝播性の強さっていうのは強く感じました。
だからこそやっぱり我々はビシッと科学的な、医学的なことに関しては、科学に基づいた情報発信をできるだけ分かりやすくお伝えしていくということの重要性というのを感じた1年でした。ありがとうございます。

峰宗太郎
ありがとうございます。
いや、本当に良いところですね。
もうとにかく民の力と、最初に言っていただきましたけれど、適切にそういう力を発揮するにもやっぱり情報っていうのはすごく重要です。それが正確な情報であって、しっかりそれを取れているということ。そして良い情報源を持って、そしてどんな情報源であっても、出てきた情報を精査してそれを適切に広げていくということは大切ですね。
同時に不安の話もしていただきました。不安については、感情とか、それから集団心理っていうものもありますし、それを煽ってご商売なさる方とか、かき乱す方、いくらでも出てくるということもこの2年間ですごくよく分かったと思います。まあ、こびスペを聞いていただいている方はもうそういうところからはかなり距離を取られて冷静になられている方が多いと思いますけれども、今日ヤフーニュースのヤフコメなんか見ていますと、皆さんかなり多くの方、noisy minority なのかもしれませんけど、やはりまだまだ惑っている方っていらっしゃるということですね。こういったところにも適切なアプローチ、あの何ていうんですか? 正の力・正しいほうの力でみんなで情報を広げていこう。正しい情報でやっていこうっていうところです。
やはりそうはいっても人の心理ではマイナスな部分とか煽られちゃう、そういう部分は避けられないので、そこに適切に対処していこうっていう。そういうことも今後、本当にもちろん国のレベルでもですし、民間のレベルでもですし、それは学者でもあって、それから産業界もそうですけれども、皆さんがやっていかなきゃいけないなってことはすごく感じるところですよね。安川先生、今、話せますか?

安川康介
はい、大丈夫です。

峰宗太郎
今日はですね、これ反省会なんですよ。実は1年のこびスペ最後の日なんですね。

安川康介
なるほど、はい。

峰宗太郎
なので、この1年間にあったこびナビもしくは Covid 関係で最ももしくは最も two くらいで印象に残っていることとか、来年に向けてこういうのあったよねみたいな話があれば話題を提供していただこうというようなコーナーを続けているんですが、先生がラストになってしまいました。何かありますでしょうか?

安川康介
そうですね。
ここ1年情報発信をやってきて、まあぼろくそ叩かれることとかあったんですけれど。僕の中でやっぱりすごく意味があるニュースは、ワクチンを受けたことによって、7,000人以上の亡くなる方が予防できたっていう推計が出てきたことです。少しでもそれに貢献、まあどれくらいの人がこびナビの情報発信があったから受けたかっていうのは全然分からないですけれど、その数字を見た時には本当に少しでも亡くなる人がこびナビの活動のおかげで少なくなったならば、膨大な時間とか労力とか費やしてきてやって本当に良かったなあって思いました。
こびナビもすごく色々批判があります。まあ完璧ではないですし、医者とか色々な専門家が集まっていますけれど、情報発信に関しては試行錯誤しながらやっています。色々な批判とかは僕も読んだりしますけれども、医療者の情報発信にとってこびナビみたいな活動の経験っていうのは、すごく今後の参考になるんじゃないかなとは思っています。
今このツイッタースペースを聞いてくださってる方で、こびナビの活動の範囲とか、あまり知らない方がいるかもしれません。例えばこの前振り返ったときにテレビや新聞社などのメディアと協力した件数を数えたらですね、まあ半分ぐらい峰先生なんですけれど、四百何十件とかありました。あとユーチューブでコムドットさんとか、木下先生がコラボした動画とかが合わせて300万回再生近く行ったりとか。ガイドブックを配って45,000部以上を自治体に配ったりとか、駅の構内のポスターやったりとかですね。色々活動を頑張ってきて、何かその中で上手くいったものもあると思いますし、まあ上手くいかなかったこともあります。上手くコミュニケーションできなかったこととかも多分あると思いますし、色々こびナビに対する批判とかっていうのもあると思うんですけれども、それ全部含めてですね、今後の医療情報に関して有用な知見になるんじゃないかなっていう風に僕は思ってます。

峰宗太郎
ありがとうございます。
すごく重要なことを伝えていただいたと思います。やっぱりこびナビの活動を振り返ると、もちろん完璧なものではないわけですけれども、試行錯誤して色々試してきたと。
私は最近ちょっと持論を持っていまして、昔から医学部出身者、医者、研究者の3大柱は何かと言われたら、これは臨床・研究・教育だと言っているんですよね。臨床で実際に患者を救う。研究を行うことによって将来の患者を救う。そして教育を行うことによって、現在と将来の医療を担っていってもらうというようなことが重要だというようなことはよく言われているわけです。

僕はこのモデルだけでは不完全だと思っていて、もう1番大事なのはこの情報提供、アウトリーチ活動という狭い意味での教育ではなくてですね。偉そうに教育とかいうわけではないんですけど、国民とか人類に対して広く情報を適切に広げていくというアウトリーチ、この部分がすごく今後重要性を増すと思っています。そして、安川先生が今仰っていただきましたけど、こびナビの力だけだということではないです。情報の力っていうのは、人の命を実際に左右するんですよね。そして人の健康や、財産ももちろん左右します。ですから、こういったものを適切に、専門家が専門家の用語を使わずに、つまり専門家の方ではない方にもリーチできる、それをアウトリーチと言うんですね、自分たちの専門家の外にアウト・リーチしていく、届けていくというような活動が今後は非常に重要になってきます。
これは医学部の教育課程とか、研究者の教育課程にも組み込むべきことだと私は思っています。もちろん研究者内のコミュニケーションだけでも大変なものがありますし、コミュニケーション能力って本当は医師とかね、理系研究者もものすごく求められるんですけれど、まだまだそれを拡張して、なおかつ訓練をする機会も与えて、そしてプログラムを作って体系とかノウハウだとか経験、こうしたものを共有して。将来的にはやはり限られた医療の場、病院という臨床の場、大学という研究の場・教育の場だけではなくて、広く地域、そして国とか世界全体で皆さんが適切に健康増進もしくは健康の保持もしくは医療こういったものにアクセスして正しい選択、自分に損にならない選択をしていけるというようなことを広げていくのが重要じゃないかということを私もすごく感じました。なので安川先生のご指摘も非常に腹落ちするところであります。

ということで、今日ご登壇いただいた皆様から、木下先生は先に用事で出られてしまいましたけれども、「1つ1つのトピックを」とお願いしたにも関わらず誰もニュースは述べてくれなくて、こびナビの反省会となったというような状況になっております。これもひとつ一興でありまして。確かに私も振り返ってみてどのニュースがピンポイントであれかっていうのはなかなかないですね。

もうコロナだらだら続いているのも事実でありますし、そして一喜一憂みたいな状況はどうしても起きますね。「良いワクチンできた、やったあ」「ああ、でもワクチン副反応もやっぱりあるな」とかですね。あ、「でも接種率は上がってる、やったあ」というのもあれば「またデルタが出てきた」「オミクロンが出てきた」色々あると思います。で、「これいつまで続くんだよ。もう、うんざり」っていう方がほとんどじゃないかと思います。「うん、まだ大丈夫だよ」っていう人は少数派だと思います。結局のところ、走り終わることが分かっているからマラソンって走れるらしいですよね。「これいつまで続くんだ?」っていうことになると、やっぱり息切れしてしまうわけです。
やはり、このパンデミックにも必ず終わりという形があるはずです。まあ、その時にどういう風なシナリオになっていくかについては色々な専門家が述べていますけれども、まずはもう世界全部の場所で全部の感染が一気になくなる。ウイルスが勝手に自滅したり、消えてくれるってことはもう当然想定できないわけです。そうすると現実的な路線としては、地域ごとに少しずつ流行コントロールがしやすい状況ができてくるんじゃないかという話がおそらくそのうち出てくるように思います。

その時に、できるだけ早く、自分達と自分達の周りが流行を鎮静化させてコントロールを容易にするという意味において、基本的予防策とか、流行が再拡大しそうな時にどういう対応をすればいいかという基礎知識と、それを実際に実行する能力。これを社会のレジリエンスとして皆さんが鍛えて持っておくということ。そして適切なワクチン接種率の向上。これによって医学的・免疫学的にも皆さんがウイルスに対抗できるようにしておくということの重要性は変わらないと思っています。
まだまだ我々の情報提供すべきところが残っていると思いますし、皆さんも、ご自身が対策を考え直す、リスクを選択するってどういうことかを考え直す。そして、少しでも多くの方に適切に一緒にやっていこうと。これを乗り越えて、普通の2019年以前のような生活に少しでも近づけられるように戻していこうという強い意志を持ち続けることが重要かなということを考えたりします。
なので私からも皆さんに振っておいてあれなんですけれど、私も今年の重大ニュースとか1番のニュースってなかなかこれというのが決められなくて。どちらかというと情報を通じて皆さんと繋がってこられたこと。そして、非常に賢明な選択をしてくださっている方が多いということ。そしてそれを続けてくださっている方が多いということに敬意を表するとともに感謝して、今後も是非適切に、決してこびナビだけではなく様々な情報源とか情報との取り組み方について考えながら生活していただきたい、進んでいただきたいと思うところであります。
ということで、かなり長くなりましたけれども、かなりといっても、まだ9時を4分ほどオーバーしてるだけではございますが、今年のこびスペですね今回で終わります。
何か告知をしておきたいとか、皆さんにお伝えしておきたいということがありますか? 
事務局長、何かございますでしょうか? 

黑川友哉
はい。ありがとうございます。
今日のお話以上に impressive な話ができるかどうか分からないんですが、来週の火曜日、日本時間の夜10時からユーチューブで年末特別ライブを行いたいと思っております。内容としては先ほどお話いただいたようなことももちろんお話いただけるかなと思ってるんですけれど、この1年私たち、それから国の動き、新型コロナウイルス感染症の動き、などどんな動きがあったのか、それを1回ざっと振り返ってみようっていう企画を考えております。知識のおさらいにもなると思いますし、それを踏まえて、今後どんな風に生活していけばいいのかな? どんなことに注意していけばいいのかな? そんなことお伝えできればなと思っておりますので、お時間ある方、もしよろしければ見にきていただければと思います。

▼こびナビ年末YouTube special配信(アーカイブ)
https://youtu.be/P8leT9ATU5k
参照:こびナビ公式YouTubeチャンネル 2021/12/28

峰宗太郎
分かりました。心づもりしておきます。
他、皆さんからは大丈夫でしょうか?

無ければとにかく Happy Holidays です。せっかくですからホリデイを楽しみましょう。
それから年末年始、色々慌ただしくなります。忙しくもなりますけれども、まあ気ぜわしくもなると思うんですけど、皆さん落ち着いてしっかり今年も乗り越えましょう。来年は本当にいい年になるように祈念したいと思っております。
そしてですね、当然のことながらいろんな注意事項がありますので、それぞれで思い返してみてください。色々なことにリスクがありますよね。そのリスクについて、どういう風に評価するか。私から1つだけ医療者として伝えておきたいのは、オミクロンも大変ですけれども、あのお餅ね、気を付けてください。これ、なんでそんな話ししてるかというとご高齢の方でお餅で窒息される方、非常に多くなってます。本当に多いんですよ。なので、小さく切り分けるとかですね、自分の嚥下能力が落ちているんだよということを認めたくない方もいらっしゃると思いますけれども、そういった色々なリスクと向き合って少しでも健やかに安全に。そして周りの方が幸せに自分自身も幸せにいられるようにしていただければと思います。

ということで、今年は1年間こびナビのこびスペにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。私が代表して言っちゃっていいのか分からないですけれど感謝申し上げます。
そして、来年もまた情報提供活動を続けていきますし、色々な繋がり方があると思います。情報だけの関係でもいいですし、心情的にサポートしていただける方とか、共感していただける方もいいです。批判的に見ていただく方も大変貴重な存在です。

皆さん、まだ苦しい状況が続いてますけれども、是非来年こそ良い年にするぞという想いで今年を締めくくっていただければと、私も締めくくりたいとそのように考えております。では、今日はここまでにさせていただきたいと思います。ご登壇の皆様、それから聞いていただいた方、今の時点ですけれども、1,400人もいらっしゃいました。
ぜひ今日も良い一日をお過ごしいただいて、良いお年をお迎えください。
ということで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。


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