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リーダーに抜擢されたらどうする?女性が抱えるキャリアの不安・悩みの対処法 〜イベント登壇レポート〜(後編)

2024年3月1日・2日に行われた「体験型ウェルネスイベント「Will Conscious Marunouchi 2024 まるのうち保健室 ~私と向き合う時間~」にて、cotree創業者・コーチェット代表  櫻本真理さんと、cotree代表 西岡恵子がトークセッションを行いました。

女性リーダー2名の視点から、「女性活躍」や女性のキャリア、悩みの対処方法について語りました。
前編はこちら

女性リーダーを増やすために、周囲がサポートできることは?

ーーリーダーに挑戦したい女性が少なく感じる要因は、どこにあると思いますか?

西岡:
リーダーをやりたくないと思う要因は2つあるのかなと思っています。
一つは、マネージャー経験を始めるのが遅すぎるという問題。
30代の女性には様々なライフイベントが訪れやすいので、人生を考えなければいけないタイミングになると思うんです。30代中盤以降に初めて管理職に抜擢された場合、妊娠・出産を考えているタイミングだったり、子育て真っ盛りの方も多いのではないかなと思います。
どれだけプレイヤーとしてスキルを培っていたとしても、一プレーヤーとして働くこととマネージャーとして働くことはスキルも求められる期待も異なります。
プライベートでも初めての経験や深く考える場面が多い時期に、初めてリーダーに挑戦するには踏み出しにくいことなのではないかと思っています。そのような理由からも、小さなチームでも早いうちにリーダーを経験することで、女性のキャリアが変わってくることがあるのではないかなと思っています。

もう一つは、管理職に抜擢する側の覚悟です。
私たちの元にも「女性活躍を推進したいがどうしたらいいか?」というご相談をいただくことが増えており、女性をリーダーに抜擢したい意志がある企業も増えていると感じています。
しかし実際は、抜擢した女性側に「リーダーはできない」と断られてしまうケースも増えている実態。状況をお聞きすると、上司側が抜擢した背景や今後どういう形でリーダーをお任せしていくかのビジョンなども伝達せず、ただ、「リーダーをお願いしたい」という言葉だけで終わってしまっているケースが多いんですよね。
女性側もお願いをされただけだと不安になりますよね。どうしても仕事を抜けなくてはいけない時にサポートをしてくれるのか?なぜそもそも自分なのか?など、たくさんの不安が浮かぶかと思います。
上司側が「何かあったときは自分も責任を持つ」という覚悟本気で女性リーダーを育てたいという思いがないと、安心してリーダーを引き受けられないと思います。

まずは管理職比率を上げるためにとにかく女性を抜擢するというアクションは素晴らしいと思いますが、もう一歩先に進んで、相手の気持ちや背景を想像しチームや会社として一緒に頑張っていこうと覚悟を示していくことにより、環境が大きく変わっていくのではないかと思っています。

櫻本:
私は、3つ観点があると思います。
ひとつは価値の観点、ふたつ目はコストとリスクの観点、最後にリソースの観点です。

まず、価値の観点ですが、人間が何かの行動をとるとき、コストとリスクよりも価値の方が大きく見えている必要があります。管理職になった場合のメリットを全くイメージできない状態では、なかなか管理職に挑戦しようという気持ちにはなれないんです。
2つ目のコストとリスクの部分では、初めての経験に対する分からなさ・出来なさをいかに減らしてあげるかが大事だと思います。
そして最後にリソースです。例えば子供がいると、リソースに制約があります。その中で会社がリソースをいかに作るか、サポートするかという点です。

抜擢された側の女性ができることとして、3つ目のリソースはなかなかコントロールが難しいです。2つ目のコストとリスクは、上司によるところが大きい。しかし、1つ目の価値に関しては、個人の責任の範囲内でコントロールできると思います。

出産・子育て…ライフイベントとキャリアのバランスを取るには

ーー出産や子育てなどのライフイベントとキャリアとのバランスについて、どのように考えますか?

櫻本:
女性としてキャリアを進める中で苦しかった瞬間は、子どもが生まれた時です。
子供が生まれるとしばらく仕事にフルコミットすることが難しく、これによって多くの女性にとって仕事と家庭とのバランスが懸念になると思います。
起業家の場合は働き方を自分でコントロールしやすいですが、構造が強い環境で働いてる方にとっては、不安要素にもなっているのも事実だと思います。
組織が今やるべきことは、構造を変えていくことだと思います。子どもを産むことがデメリットにならない環境を作ることですね

西岡:
私はまさにこれから子どもをどうしようか考えているタイミングだったので、とても参考になりました。
櫻本さんはお子様が生まれてからもリーダーとして働いていて、社会からの見られ方の変化はありましたか?

櫻本:
社会からの見られ方を気にしなくなる、という変化はあるかもしれません。新しいものを手に入れることって何かを手渡すことと等しいと思うんですが、私の場合は子どもを産んだことによって、一部の社会との繋がりを手放した感覚があります。
今までは必要だと思っていたけれど、本当は必要ではなかったものを手放したような感覚があります。
今とらわれている価値観を一回手放してみる。子育ては今までの価値観を強制的に手放しをさせられる体験なんです。それを繰り返していくことによってはが発達していくのかもしれません。

人間の発達段階は、自己中心的段階から相互依存段階の4段階があると言われていますが、これは自分の価値を感じられる範囲が広がっていくことなんですよね。
自分の利益になることだけが価値だと思っているフェーズから、人に喜んでもらうことが価値だと思うのが他者依存段階。そして自分なりに好きなものや価値観を発見するのが自律的な段階。そして最後に、様々な価値観の中からお互いに良い形を選び取っていける段階は相互依存段階と呼ばれています。
相互依存段階までいくと、どんなことにも価値を感じられます。価値というのはあるものではなくて見出すものなので、自分がどんなことに価値を見出せるのかというところを磨いていけると良いと思います。
そして、価値を見出すために必要なことは、今持っているものを手放し、新しい行動を取ってみて、フィードバックを得ることでもあると思います。自分が見いだせる価値の意味のレパートリーを増やしていく。人生の成熟とは、どんなことにも価値を見出せるようになることだと思います。

女性のキャリアや仕事の悩み、誰に相談する?

ーーキャリアを歩む上で悩むことがあるかと思います。そんな時の対処方法を教えてください。

西岡:
私は主に母に相談しています。母と私は歩むキャリアが全く異なるものの、女手一つで3人の子どもを育て上げたという点でとても尊敬していて、人生の道標になっています。
就職してから実家を離れていますが、月1回2時間ほど電話で話してます。母親がずっと私の話を聞いてくれ、時には喝を入れてくれました。
実は対面で母親と相談することはなく、電話だからこそ本心を話せたのかもしれません。誰に話すかということだけではなく、自分が鎧を脱ぎ、素を出せる相談スタイルを見つけ出すことも悩みを解消するために重要な要素だと思います。

ただ、深刻な悩みや解決の糸口を見出したい内容に関しては、相談を聞く側も負担になる場合があるため、カウンセリングやコーチングを使っています。利害関係のない人に相談できるので、私にとっては安心して悩みを打ち明け、自分と向き合うことができる非常に重要な場です。
リーダーやマネジメントを担うようになると、いつのまにか周りがみんな利害関係者になっていて気軽に相談できない場面もあるので、助けを求められる手段をもっておくことは仕事でパフォーマンスを発揮し続ける上で非常に大事だと思います。

櫻本:
私はコーチとしてコーチングをする側でもあるのですが、私自身も定期的にコーチを受けています。なぜかというと、自分が見えている範囲は限られていて、どんなに考えても自分の見えてる範囲でしか考えられないからです。
そのため、カウンセリングやコーチングで他者にしっかりと話を聞いてもらった後で、問いを受け取る。自分の中に起こっていることを整理してもらって、余白ができたところにスポットライトを当てていくことによって、新たな視点を得て気づきがあったり、自分のことを理解することができるんです。
この余白を生むことは、新しいものを広げていく上でとても大事で、プロのカウンセラーやコーチだからこそできる技術だと思っています。

プロへの相談というのもひとつの手段、家族のように圧倒的な安心がある人への相談もひとつの手段。また自分とは全く違う状況にある人に相談してみるのも違う視点が出てきて良いでしょう。しかし自分の状態が悪いときには、安心できる人か、カウンセラーなどの技術がある人に相談するのが良いと思います。
私は、リーダーになる人は相談をしやすい相手であって欲しいと思っていて、相談を受ける技術をリーダーが持っていると良いなと思います。

やさしさで繋がることが、女性のキャリアを切り開く手助けに

ーー最後に、おふたりからメッセージをお願いします。

櫻本:
今回の対談を聞いて、何かやってみようかなとか、考えてみようかなというヒントがあるといいなと思っています。
人との繋がりには、とても大きなパワーがあると思っています。人に優しくされた人は優しくすることができる。お互いに嬉しいし、連鎖していくような関わりが人と人との豊かな繋がりだと思います。豊かな繋がりがたくさんできると良いなと思っています。
今日のイベントを通じて、今後も皆さんとも何かしら繋がっていけると嬉しいなと思います。

西岡:
仕事は人生の多くの時間を占めるものですので、人生を豊かにするために、ぜひ皆さんには仕事を楽しんでいただけたらいいなと心の底から思っています。
仕事を楽しむには、スキルとスタンスの2つがマッチしていることが重要だと考えています。今の環境がこの2つどちらにもマッチしてないのであれば、他の環境を模索することも選択肢の一つかもしれません。
既存のロールモデルに固執せず、自分らしいキャリア、生き方を歩んでいく方が増えていくと嬉しいです。その上で、周りに相談することもとても重要な影響をもたらすと思います。cotreeはキャリアカウンセリングの他、様々なお悩みに対応できるカウンセリングを提供してますので、ご興味あればぜひ一度活用してみていただき、人生の大切な決断の時にパートナーにしていただけれたら嬉しく思います。

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