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着物を権威づけするな!

今日はちょっと怒っています。
以下は、ある着物業界の方のSNSの書き込みについたコメントなのですが

・普段着の着物が欲しいと言ったら、訪問着や喪服を揃えてからだと言われた

・母親に習った着付けを、着付けの先生に全否定された

・紬を外出に着るなんて笑われるからやめるようにと言われた

・着物を気軽に着る方法を知りたかったのに教えてくれない 二部式襦袢を却下された

・おしゃれの一つとして着物を着たいと思ったのに「正しい着物」のことばかり言われ、どうしたらおしゃれに着こなせるかの話にならない

・呉服店の店主から着物でジャズを聴きに行こうとお誘いがあり、訪問着か色無地を着るように言われた。その通りにして行ったところ、他のお客さんは皆デニムなど着ていて、すっかり浮いてしまい、恥ずかしい思いをした

・歌舞伎や能は訪問着以上のものを着なければならない、マナーがあるから紬はだめと言われ、そのような場に着物を着て行くのが怖くなった


着付け教室や呉服屋での話だということです。
呆れるほかありません。
歌舞伎座にはドレスコードなんかありませんから紬がダメなんて明らかな嘘だし、生徒さんがお母さんに習った着付けを全否定なんて、一体何様でしょうか。言われた方は悲しい思いをしたのではないでしょうか。

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着物を日常的に着ている人たちのコミュニティでは、礼装を着る機会が少ないこともあって訪問着の出番がない、実は小紋もあまり着なくなった、という人が特に中年以上に増えているように感じます。アップされる着装写真も、卒業式や結婚式など以外はほとんど紬、または木綿などの街着です。友人と出かけるような時でも、多くの人が紬を着て行きたいのです。実は私もそうで、普段に柔らか物を着ることが本当に少なくなりました。
なぜ紬なのか。
洋服はほとんどの方が地味なものを着ています。発色がマットな紬はそんな洋服の中にもなじみやすい。また訪問着は髪をきっちりアップし、メイクもしっかりしないと着物とのバランスが悪いですが、紬はそうではありません。ラフに気軽に着られるのです。同じ場所に行くのに、洋服ならTシャツなど着ていく人が、着物になった途端お堅いものを着るでしょうか?

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先のような呉服店や着付け教室の考え方?は、一般庶民の生活から大きくかけ離れています。その考え方で店頭に置かれる着物も当然かけ離れます。セレブしか相手にしないと言うなら良いでしょうが、そうじゃないですよね?それでどうして売れないのかわからないと言うのですね。
上記の書き込みには、「それはおかしい」という内容のコメントがたくさんつきました。書き込んだ人はそれを読んでどう思うでしょうか?着付けの先生は信用ならないと考えるのではないでしょうか?

一部の「着物好き」の中にも、着物に権威を求める人はいます。それこそ歌舞伎座などに高価な着物で行って、他の人が気軽な価格の街着で来場していることに腹をたてる人が時々見受けられます。他の人にも気張ってもらわないと嫌なんでしょうね。でも式典でもないその「場」を設けたのが自分でないなら、ドレスコードは自由にはならないのです。気張ったものしか着て欲しくないなら、ご自分でお金を出して何か催されたらよろしいです。スポンサーはどこでも大歓迎されると思いますよ!

月兎耳庵

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