見出し画像

阿波しじらが好き

 だいぶ間が空いてしまいました。すっかり暑くなりましたね。
 近年肌が弱くなり、ひどく汗かぶれすることもあって、浴衣でもなるべく涼しいものに手が伸びます。
 綿麻、太い糸を格子に入れて布に凹凸を作った「紅梅」、やはり凹凸のある「変わり織り」と表記されているもの… 特に扱いやすくて大好きなのが「阿波しじら」です。

 阿波しじらは木綿ですが、縦に細かいシボがあって、肌に張り付かず風通しがいい。シボのために柄がなくても縦のラインが見えます。色柄は格子や縞ものが中心でシックなものが多く、キモノとして着ても自然。キモノとしてなら5月くらいから秋まで着られます。洗濯もとても楽ちん。もともとシワがあるのでアイロンいらず。ネットに入れて洗濯機で洗い、全体を軽く伸ばして干すだけでOK。最高です。お値段もお安い。反物が1万円前後なので、3万もあれば自分サイズで仕立てられます。同じ生地を何反も織るので、身長のある人は布を足してもらうこともできます。洋服や甚平などもたくさん作られています。

画像1

 阿波しじらは
「「阿波しじら織」は、18世紀の末に阿波地方で盛んに織られていた「たたえ織」という木綿縞に、明治時代の初めに、阿波国名東郡安宅村(現徳島市安宅)の海部ハナがそれを改良して創案したと言われています。改良のきっかけについては諸説ありますが、干していた着物がにわか雨に濡れてそのまま日光で乾かしたところ、縮んだことにヒントを得て創られたと言われる説が定説となっています」
藍布屋さんサイトより http://rampuya.com/shijira/

 作った人の名前が残ってるとこがすごい。
 阿波では藍も作られます。本藍を使っているものがもともとで、「阿波正藍しじら織」は伝統工芸品として通産大臣の指定を受けています。

画像2

 織物としての特徴は布面に独特の〈シボ〉と呼ばれる凹凸があることだが,これが生ずるのは,織物の組織を平織と緯畝(ぬきうね)織とを交互に配した混合組織としているからである。つまり,製織後湯通しをすると糸に加えたのりが落ちて経糸が収縮するが,その際平織の部分と緯畝織のところとでは縮み方が違い,緯畝織のほうが組織が粗いため平織の部分より縮み方がいちじるしくなり,そこに〈シボ〉が生ずるわけである。
世界大百科事典 より「阿波しじら」の項

734803_46476832_1largeのコピー

 まあ、一度着てみたら戻れないですよ、阿波しじらの涼しさは。
 ショップ限定の色柄、とてもポップで可愛いものもあります。同じ阿波しじらでも色柄でずいぶん雰囲気が変わります。欠番するとしばらく待たされますし、限定柄売り切りや製造中止になることもあるので、気に入った柄はすぐ仕立てなくても買っておくことをお勧めします。正藍のものでも反物で1万円程度と大変リーズナブルですから!

月兎耳庵

サポートいただければ嬉しいです!勉強やイベント出展資金にさせていただきます。キモノ沼をもっと深く広く!