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人種差別デモとシアトルの自治区「CHAZ」

6/12(金)にこんなニュースが。

米シアトル、デモ隊が「自治区」 大統領は強硬策示唆

米西部ワシントン州シアトル市で、黒人差別に抗議するデモ隊が警察署周辺を取り囲み「自治区」の設立を宣言した。11日までに警察が占拠された地域での業務を一時中断する一方、トランプ米大統領がデモ隊を「無政府主義者」と呼んで州知事や市長に「即時奪還」を求めるなど混乱が続いている。
ニュース元記事

私へも友人や家族から「大丈夫!?」「アメリカ内戦起きてるの?」というどこで誤解が起きたのかわからない心配メールをいただきましたが、基本的に6月13日(土)=シアトル時間現在、とても平和です。

CHAZができるまでの流れ(ざっくり)

始まりは5月末。シアトルで人種差別への抗議デモが始まる。
最初は普通のデモだったものの、一部暴力的なメンバーが混ざっていたようで(ワシントン州外から暴動を起こすために来たという噂も)、数々の店舗を破壊し、車を炎上させるに至りました。

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でも翌日の早朝には地元の人たちが1000人くらい集まってお掃除。すごい速さで綺麗になりました。

とはいえリスクはまだ続くので、緊急でここから6/3まで「夕方〜朝方」は外出禁止令が出ました。当時の緊張感すごかった。

写真の元ツイート

6月頭

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その後もデモは毎日続きます。基本は平和的なデモです。しかし、いつまた暴動化するかわからないので、決められたコースを歩くよう&監視のために様々な場所で警察がバリケードを作る。

いろんなところでデモ隊と警察が衝突を繰り返す。抗議デモ参加者の行動がエスカレートし、警官に向かって石、瓶、花火を投げつけ、バリケードを突破しようと試みたりもする。警官は群衆を分散させるために催涙スプレーや閃光弾を使用。ここら辺のやりとりが事態を今後複雑にしていく。

6月7日

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抗議デモの群衆に一般人の男が車で突入。さらに、車に近づいた参加者の男性に発砲して肩を負傷させる事件が発生。
その後、警察とデモ隊が激しく衝突する場面もあった。

6月8日

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デモ連続11日目。デモは平和的に終了。
ただし、ミネソタ州で黒人男性が白人警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件に対する抗議デモという背景もあって、シアトルの警察署(キャピトルヒルというエリアにある)も破壊の標的として狙われたり、脅迫が届いたりしている模様。

この日、警官と抗議デモ参加者の安全のため、警察はバリケードを撤去し道路の通行再開。周辺を警備する警官数の減員、警察署の窓に板を張るなどの変更や措置を発表。

ここまでにデモ隊に対して警察が、催涙剤など化学物質を使った対応策をしてたことに対して批判が高まる。(デモ隊も物を投げまくっているし、警察を傷つけているのですが)

6月10日

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「キャピトルヒル自治区」に、Black Lives Matterの壁画やロゴアートの始まりが形作られ始めた。このゾーンはデモ隊とシアトル警察が衝突したエリアが含まれている。

この日、キャピトルヒルからシアトル市庁舎までデモ行進が行われた。デモ隊は午後9時頃に市庁舎に到着。数百人が建物に入り、ロビーでシアトル市長であるダーカン市長の辞職とシアトル警察の予算打ち切りを求めて抗議した。

シアトル市議会のサワント議員が市庁舎の入り口ドアを解錠し、デモ隊を中に入れたと言われている。(これは議員としてパフォーマンスなのではないかという見方もある)

この事態に怒ったトランプ大統領がツイートしたことで、世界的にも大き報道されたと思われる。

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トランプ大統領は「シアトルのダーカン市長」と「ワシントン州のインスリー知事」に対し、

「急進左派知事とシアトル市長は、この偉大な国がこれまでに見たこともないようなレベルで嘲笑され、遊ばれている。今すぐ街を奪還しろ。そうしないなら、俺がやるぞ。遊びじゃないんだ。この醜いアナーキストたちはすぐに止めないといけない。早く動け!」

国の軍隊を派遣するというニュアンスの脅しの前に市長は、

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「みんなを安全にするために地下壕に戻って」

と皮肉めいたツイートを返している。(5月29日にホワイトハウスの外で抗議活動が起きた際にトランプ大統領がシークレットサービスの指示でホワイトハウスの地下壕に避難したことを指している)

インスリー知事も

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「完全に統治能力のない人は、ワシントン州内で対応できることに関わるべきではない」

とツイート。大統領が stop を stoop とタイプミスしたことへの皮肉を込めて“stoop” tweeting(ツイートやめろ)と締めくくった。

さらに、デモ隊を市庁舎に誘導したサワント市議は、

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「若者主導の人種差別反対運動への報復としてトランプがシアトルに軍を送ると脅したことは、右派がこの強力な実例をますます恐れていることを示している。トランプと彼の恐ろしい、反動的な意図を拒否する。軍隊も州兵も人種差別的な警察もいらない」

とツイート。

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写真は「キャピトルヒル自治区」の入り口で警備をするボランティア。

ちなみにワシントン州では、民間人が銃を持ち歩くのは合法。5月末〜6月頭にデモが暴徒化した時も、民間人がみんな銃を持って、自分たちの居住区を警備する様子があった。

6月11日

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キャピトルヒルエリア、約6ブロックで道路が封鎖され、デモ隊が集合。抗議者はこのエリアを「Capitol Hill Autonomous Zone(CHAZ)=キャピトルヒル自治区」と呼び、警察署の表にある「Seattle Police Department」の看板の文字を「Seattle People Department」に書き換えた。

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このエリアでは飲食も十分用意され、スピーチやダンス、映画の上映などを行いながらデモを続けているとのこと。(6/12は無言で行進するサイレントデモが行われた)

この時点で、デモ隊の平和的デモ活動をサポートする目的で、警察署から警察官は退去している。シアトル警察はデモ隊と事態の改善に向けて話し合いの場を持てるよう動き始めた。(現段階では、6/14には警察が警察署に戻るのでは、という報道もある)

CHAZの要求は何?

デモ隊メンバーの中には、30の要求リストをWebに公開した者もいる。その内容は、
●シアトル市がシアトル警察を廃止して廃止すること
●武力行使を禁止すること
●警察の残虐行為の被害者に賠償金を提供すること
などが含まれている。

また、デモ隊を市庁舎に誘導したサワント市議は、
●ジェニー・ダーカン市長の辞任
●アマゾンへの課税計画を宣伝
●警察署を "回復的正義のためのコミュニティセンター "に変換したい

とツイッターなどで発信。(しかし、デモに政治家が絡むことで、本来のデモと意味合いが変わってくることを懸念する声もある)

CHAZの様子

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写真の元ツイート

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写真の元ツイート

<6月13日(日本は6月14日)追記>

6月13日朝のCHAZの様子を、シアトルの非営利メディア Crosscutのレポーターがポストしてくれてました。タイムラインにもいろいろあります。

さらに「CHAZ」の名前が「CHOP」に変更がありました。
これは自治を意味する「Autonomous」が、違う意味合いで捉えられて、が広まってしまったから。(おそらく、占領して独立するぞ!的な意味合い)

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「CHOP」は「Capitol Hill Organized Protest」の略。
アメリカ合衆国からの独立を目指しているということではなく、あくまで警察による暴力・人種差別に対する抗議活動として、この地域に座り込んでいるだけ、というニュアンスを付け加えたかったと思われます。

日本語にすると「キャピトルヒル組織化抗議行動」とか「団結抗議行動」的な感じかな?もっといい日本語訳あったら教えてください。

最後にロゴアートの動画をどうぞ。

Twitterやっています

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https://twitter.com/copy_marketer

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参考サイト


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