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うつくしいひと。



-3年前の朝の出来事を、今も忘れられずにいます-


自転車を漕いでいると、
道にうずくまる若い女性が目に入り
慌てて駆け寄りました。

体が勝手に動くというのは、こういうことなんだ。
それをはじめて体験する朝になるとは。。

わたしが女性の体に触れると
もう倒れ込むという感じで
わたしの腕の中に、彼女の体の重みが。

「どうしましたか!大丈夫ですか!?」

彼女を支えながら声を掛けるも
か細い声が聞こえるだけ。


そこに男性が
風のようにサッと走ってきてくれ、

「何があったんです!?」

「わたしが来た時にはすでにうずくまっていて。。彼女とても苦しそうなんです。。」

男性は間髪入れず、
「救急車を呼びましょう…!」
そう言いながら
すでにコールしてくれているようでした。

わたしは彼女に、
「もうすぐ救急車が到着するから」
安心してほしいと伝え
彼女の背中を抱きとめながら、
男性のその落ち着いた対応に
彼女と共にほっとしていました。

そして改めて男性に目をむけて
こう尋ねたのです。

「あの。。これからお仕事ではないですか?
わたしは今娘を幼稚園に送ってきたところなので、救急車に同乗できます」

「僕も今送ってきたところです!大丈夫です。とにかく待ちましょう!」



その時一人の青年が、気持ちは焦りながらしかし信じられないという面持ちで、ゆっくりと近づいてきました。


「ぼくの友達なんです!彼女、先に家を出て。。朝から気分が悪そうで、だから、学校に遅れる電話をしていたんです。。あぁ。。一緒に家を出ればよかった。。」


彼の動揺が一瞬にしてわたしの体にも伝染します。


「あなたが来てくれて彼女もほっとしていると思いますよ。。声を掛けてあげて下さい」


わたしはそう言うのが精いっぱい。
彼に彼女を託して、
若い2人がお互い引き合って支えあいました。

無事に救急車が到着して
彼が同乗することに。

男性は彼に寄り添って、
「あとでもう一度学校に連絡をして、説明したほうがいいです」

「。。できますか?」

そう伝えて、
彼の背中に大事そうにそっと手を添えたのでした。
そして、しばらくその手は添えたままでした。


その最後の光景は
今も私のまぶたに残っています。


わたし一人ではきっと
どうしたらいいかわからなかった。


とても「うつくしい人」だと思いました。






9年前、
一人目の子どもを妊娠中の出来事です。
アクシデントがあり
救急車に運ばれることがありました。
わたしは予期せぬ出来事に
震えて立ちすくんでいたと思います。
もうその時の記憶はあまりありません。。
(全身血だらけでした。。)

たまたまその場に居合わせた男性が
「心細いでしょうから」
そう言って救急車に同乗してくれることに。

感謝しかありませんでした。

あとで
小さな子を持つお父さんだと分かって、
お腹の大きなわたしを
放ってはおけなかったことを知ったのです。


この世界は
こうやって
成り立っているのかな?



うつくしい人たちで。

sar

嬉しくて飛び跳ねちゃいます♡