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【選挙ウォッチャー】 「つばさの党」の共同生活についての解説。

 まさか、こんな時代が来るとは思いませんでした。
 悪い意味で、日本中が注目するようになってしまった「つばさの党」を今日の今日までお金にもならないのに取材し続けてしまった男、選挙ウォッチャーちだい。
 世間の皆さんが、今になって「『つばさの党』って何?」となり、知れば知るほど「気持ち悪っ!」となっているのですが、いかんせん朝霞市に1議席を持つだけの超マイナー政治団体ゆえ、追いかけている人間なんぞ他にいるはずがなく、ひょんなことから「つばさの党に最も詳しい人間」となってしまい、おかげさまで、僕もまた少しずつ注目されるようになりました。

 僕が最も専門としているのは、反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」ですが、立花孝志が提唱した「諸派党構想」という弱小政党を集めてN国党の支配下に置き、衆院選に挑戦するための300万円の供託金を払えば、受け取れる政党助成金を分配してもらえるプロジェクトに「オリーブの木(現・つばさの党)」が乗っかり、幹事長まで出世したことで、黒川敦彦らの集団を徹底的に取材することになりました。
 詳しい話は本を読んでいただくとして、お近くの書店やAmazonでも買えますが、大きめの図書館なら1冊ぐらい置いてあるかもしれないので、ぜひ借りて読んでいただければ幸いです。


■ 共同生活をする「つばさの党」

 今日、解説するのは「つばさの党」の共同生活についてです。
 5月19日付の「朝日新聞」の朝刊で、「つばさの党」が10人前後で共同生活をしていたとする記事が出て、たくさんの人が「めちゃくちゃ宗教っぽい!」と思ったのではないでしょうか。
 ある人は、「サティアンじゃねぇか!」とツッコんでいたのですが、実態は、それほど「オウム真理教」に近くはありません。「つばさの党」のカルトぶりについては、昨日、カルトの専門家である「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎さんが、「つばさの党」の逮捕を受けて緊急で開催することになったイベントに飛び入り参加してくれて、イベントの頭からケツまで、ずっと出演して解説してくれましたので、十分に2000円の価値がある内容になったのではないかと思います。

「つばさの党」の実態を語る緊急イベントを開催(引用元リンク

 このイベントでも話しているのですが、「オウム真理教」に近いのは、立花孝志を「尊師」とする「NHKから国民を守る党」の方で、黒川敦彦率いる「つばさの党」は、オウム真理教における「山田らの集団」みたいな感じで、「黒川らの集団」と呼んだ方が実態に近いです。
 もともと「つばさの党」は、黒川敦彦と外山麻貴を中心とする「カルト活動家集団」です。外山麻貴が現職の朝霞市議なので、「政治団体」とも言えるのですが、実態を考えた時には「活動家集団が政治に参入してきた」と言った方が近いかもしれません。
 実は、「つばさの党」「NHKから国民を守る党」には、「なんとなく仕事をしていない、うだつの上がらない人たちを食わせる」という共通点があります。
 N国党は規模が大きいこともあって、生活の面倒を見てやる人の数も多いのですが、「つばさの党」も同様です。黒川敦彦らと逮捕された杉田勇人はキャバ嬢のヒモだったと公言しており、住所不定の男です。その他にも複数の人たちと共同生活をしていて、まもなく事情を聴かれそうな芸能ライターの山本武彦さんも、共同生活をしていました。
 N国党と決定的に違うのは、N国党は立花孝志を「尊師」とし、立花孝志に絶対的な力があって、「信者」たちが従うスタイルになっています。一方で、黒川らの集団である「つばさの党」は、黒川敦彦に絶対的な力があるわけではなく、黒川敦彦をなんとなくのリーダーとしているものの、けっして黒川敦彦に絶対的な指揮権があるというわけではありません。どちらかと言えば、それぞれが自主的に動く組織となっており、黒川敦彦ら3人が逮捕された後も、「つばさの党」のメンバーは自主的に街宣などを繰り返しているという状態です。
 また、N国党と異なるのは、女性も共同生活のメンバーに入っていると言われていますが、「男女の関係にはない」ということも特徴です。黒川敦彦と外山麻貴こそ夫婦ですが、共同生活の中で恋愛に発展するような仕組みにはなっていません。これも「つばさの党」「NHKから国民を守る党」の異なる点です。
 反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」は、下半身のネタが尽きません。尊師・立花孝志自身が集まってくる女に手を出しており、教団幹部の粟飯原美佳を筆頭に、松戸市議の中村典子、顧問司法書士の加陽麻里布など、歴代の彼女たちを囲い、最近は「政治家女子48党」に参加した熊本愛と付き合っていることを公言していました。信者たちは、そんな尊師の背中を見て、ボランティア同士で集まり、下半身を含んだコミュニティーを形成しています。不倫をする者もいるし、童貞を卒業する者もいるしで、ある意味、「セックス教団」のような感じに仕上がっています。
 なので、「つばさの党」は新興宗教というより、昔の極左集団に性格が似ており、今のところ、テロ行為に走りそうな雰囲気はありませんが、今回の逮捕などによって性格を変えた場合、非常に危険な組織になる可能性がありますので、監視の目を緩めることができません。

たくさんの報道陣に向かってラップを披露する「つばさの党」のメンバー

 これまで「つばさの党」の面々が共同生活してきたのは、練馬区にある根本良輔が拠点にしていた家です。ここは彼らが「アジト」と呼んでおり、いわゆる「共同生活」を送っていました。ただ、10人が同時に寝泊まりしていたのかと言うと、やや怪しいところがあり、少なくとも根本良輔、杉田勇人、山本武彦の3名は寝泊まりしていたと思いますし、その他にも数人のスタッフが寝泊まりしていたと思いますが、本当に「アジト」と呼ぶのがふさわしい状態で、本当は自宅があるけど、ここに入り浸っているというような人もいたと考えられます。実際、黒川敦彦も「アジト」で寝泊まりするようなことはあったかもしれませんが、基本的には外山麻貴と朝霞市で暮らしています。
 なぜ共同生活のようなことが起こるのかと言えば、「寂しいから居場所がない」というより、もっと物理的に「住む家がない」という人たちが集まっています。実は、「アジト」で暮らすようになったのは割と最近で、それまでは半蔵門の本部事務所で寝泊まりをしていました。本部事務所は雑魚寝ぐらいしかできない状態で、風呂がなく、よく杉田勇人と山本武彦で銭湯に行く配信をしていました。練馬区のアジトに引っ越すようになって、住環境は劇的に改善されたと言ってもいいのではないかと思います。
 なので、「共同生活」という言葉を聞いて、「オウム真理教」「サティアン」のようなものを連想した人もいるかもしれませんが、何か活動をするために集まって共同生活をするようになったというわけではなく、住所不定のオジサンたちが自然に住み着いているというイメージで、しかも、一人暮らしではなかなか食べられないような鍋料理などを楽しんでおり、安定して食料が手に入るため、非常に居心地の良い状態となっています。
 ここには幼児も暮らしていて、幼児の面倒を「みんなで見ている」という感じになっています。なので、よりコミューン感が強くなってしまうのですが、思想的なつながりというよりは、もっと現実的に「支え合い」といった方が近いかもしれません。なので、緩やかに貧困問題と直結している問題と言うこともでき、ネットでの拡散力が物を言う時代になってしまったことと合わせ、働いたところでワーキングプアになってしまう人たちが寄り添って政治的な不満を持ち合わせ、こうした「共同生活」を形成していると言えます。
 ちなみに、共同生活をしているからと言って、次はどこに街宣をかけるのかを話し合っているという感じではありません。「つばさの党」には基本的に計画性がなく、東京15区の衆院補選でも「見つけた陣営を凸る」という感じになっていて、日々、計画を立てて実行するという感じではありませんでした。なので、共同生活によって組織力が強固になっていたり、計画性が増しているというわけでもありません。
 さらに、メンバーにはそれぞれに部屋が与えられているそうで、昔のようにワンルームに雑魚寝をしているというわけではないので、アジトでの生活のイメージは「シェアハウス」のような感じです。なので、朝日新聞の見出しが「共同生活」などと言うもので、いかにもカルトっぽさをプンプンさせているのですが、彼らは「カルト活動家集団」ではあるけど、そこまで宗教っぽいイメージではなく、現時点では、そこまで危険性のある団体ではないという感じです。
 この「危険性がない」というのは、「NHKから国民を守る党」も似たような雰囲気なのですが、オウム真理教のように、ある意味、頭の良い人たちが集まっている集団ではないということです。定職に就いて、ワーキングプア状態で働くことからドロップアウトしている人たちが中心なので、バリバリに仕事ができるというわけではなく、かなり不器用に生きている人たちの集団であり、だからこそ、まったく新しいイノベーションを起こすことができず、選挙妨害や迷惑街宣になってしまうのです。このまま暴力性を身につけることがなければ、現時点では、あまり心配するような団体ではありません。それよりは反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」の方がよっぽど危険な団体であると言えるのではないかと思います。


■ 今後も逮捕者が続々と出そうである

 皆さんもご存知の通り、『チダイズム』では、これほど大きな話題になる前から、「つばさの党」による選挙妨害を取材してきました。なので、その記録を見れば、選挙妨害に携わっているのが、黒川敦彦、根本良輔、杉田勇人の3名に留まらないことは明らかだと思います。
 撮影しながら選挙カーの前に立ちふさがっていた人もいますし、YouTubeの公式チャンネルのカメラを回しているだけでも十分に共犯とみなされる可能性があります。また、一緒にマイクを持ってしまった人間もいたので、このあたりが罪に問われる可能性があります。
 既に新聞などで報じられていますが、警視庁は「他にも選挙妨害に携わったスタッフがいる」と見ており、今後も逮捕者が出る可能性を示唆しています。18年ぶりの特別捜査本部が設置されていますので、やはり3人を逮捕して終わる話ではないと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 たくさんの方が「#ちだいを出せ」と言ってくれたおかげで、ついに、5月19日午後10時からフジテレビ系「Mr.サンデー」にVTR出演することが決まりました。「選挙ウォッチャーちだい」として、テレビ出演するのは、これが初めてです。
 今回の出演をキッカケに、僕が長年にわたって「つばさの党」を取材してきた人間であることは伝わると思いますので、今まで以上に多くの問い合わせをいただくことを期待しています。
 僕が「つばさの党」を熱心に取材するようになったのは、あくまで反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」を取材する上での副産物的なものだったのですが、結局、どうして「つばさの党」が、このような過激な活動を始めるようになってしまったのかと言えば、諸悪の根源は「NHKから国民を守る党」なのです。
 もし黒川敦彦が立花孝志と出会うことなく、細々と「つばさの党」として活動していれば、今のような形にはなっていなかったのではないかと思います。これまでも問題の多い人間ではありましたが、ここまで国民的な関心を集める大事件を起こす人間にはならなかったかもしれませんので、そういう意味で、立花孝志と関わる人間たちは、ことごとく不幸になっています。
 今のように「つばさの党」が問題を起こす前は、平塚正幸率いる「国民主権党」が問題を起こし、逮捕されたことがありました。立花孝志と出会って炎上狙いの過激な活動をするようになって、最終的に逮捕されてしまうのですから、ろくなものではありません。
 今回の捜査2課の特別捜査本部が、どこまで捜査の手を伸ばすのか。その手が奥の方まで及ぶことを期待したいと思います。

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