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【選挙ウォッチャー】 新型コロナウイルス・最新情報(#64)。

僕は「選挙ウォッチャー」という立場から、「バカを政治家にしてはいけない」と皆さんに訴え続けています。理由は、バカを政治家にすると、バカな政策を次々に出してくるので、有事の際に国民の命が危険に晒されることになるからです。8月4日、大阪府の吉村洋文知事が、実に衝撃的な記者会見を繰り広げました。なんと、新型コロナウイルスの重症化を防ぐのに「イソジン」が有効かもしれないと言い出したのです。この会見は「ミヤネ屋」などを通じて全国に放送され、全国の薬局から「イソジン」が消えました。アホです。


■ 新型コロナウイルスに「イソジン」が効く!?

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まさに強いリーダーシップを発揮し、新型コロナウイルスと闘う正義のヒーローみたいなスタンスでメディアに出演しまくっていた大阪維新の会の吉村洋文知事。新型コロナウイルスが問題になってからは特に人気で、Tシャツをはじめ、さまざまな吉村洋文グッズが大阪土産となりました。日本維新の会の候補者の選挙ポスターも、候補者と同じぐらいのサイズで吉村洋文知事の顔が採用されているほど。しかし、大阪の皆さんがどれだけ気づいているかは知りませんが、ここだけの話、吉村洋文知事は超ポンコツです。8月4日の記者会見で吉村洋文知事は、テーブルの上にさまざまなタイプのうがい薬を並べ、ドヤ顔でこう語り出しました。

「嘘みたいな本当の話で、嘘みたいな真面目な話をこれからさせていただきたいと思います」

まるで都市伝説でも語り出しそうなイントロですが、最終的に「信じるか信じないかは、あなた次第です」と言い出したら、頭をひっぱたいてやりましょう。えぇ、言い出さなくても頭をひっぱたいてやりたくなるような記者会見なのですが・・・。

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「ポピドンヨードを使ったうがい薬、あ、今、目の前にいくつか種類がありますが、皆さんもよく知っているこのうがい薬を使って、そして、うがいをすることによってですね、コロナの患者さん、このコロナがある意味、減っていく。コロナの陽性者が減っていく。まあ、薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出ましたので、それをまず皆さんにご紹介するのと、それから府民の皆さんへの呼びかけをさせていただきたいと思います」

かなり衝撃的なのですが、吉村洋文知事が記者会見で「イソジンが新型コロナウイルスに効く」と言い出しました。しかも、イソジンでうがいをすれば軽症の患者の重症化を防ぐことができるとまで言い出しています。吉村洋文知事は、今日の今日までメディアに出演しまくり、新型コロナウイルスと闘う知事として知られてきたわけですが、この解説が素人でもわかるぐらいにアホアホなので、とくとご覧ください。

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「41名の方を対象として実施をしました。これは大阪府・市が研究に協力をいたしました。1日4回ですね、このうがい薬をやる。朝起きた時、夜寝る前、それから昼ごはん前、夜ごはん前と。1日4回ポビドンヨードによるうがいを実施いたします。そして、入所中ですね、この患者対象の方に毎日PCR検査を実施します。どのように推移したのかということを研究したわけであります。その結果ですね、このポビドンヨードを含むうがいによって宿泊療養者のウイルスについての頻度は低下するということが判明をいたしました。これがそのデータですけれども、1日目、ホテルに入所された方の1日目、このブルー、青い方がですね、ポビドンヨードを使わない普通のうがいをされた方、そしてオレンジの方がですね、ポビドンヨードを使ったうがい薬をした方の群に分けています。毎日先程申し上げた通り、うがいをしてもらって、PCR検査をしてもらったところですね、4日目においてはうがい薬をつかっていない群はまだ40%の陽性者の方がいるわけですけれども、うがい薬、ポビドンヨードを使ったうがい薬の群については9.5%にまで下がりました。つまり、10人中9人、陽性でなくなったという結果がこの研究によって明らかになってます

そもそも41人を「普通の水でのうがい」「イソジンでのうがい」に分けちゃったら、それぞれ20人と21人になっちゃうわけで、データにしてはサンプル数があまりに少なすぎると思いますが、このグラフもよくわからなくて、PCR検査で陽性だと判明して療養施設に入ったのに、1日目の時点で50%ぐらいの人しか陽性になっていないのであれば、入所するまでの間に半分ぐらいの人が治っているということだと思います。そして、初日の陽性率が約50%で、4日目に9.5%になった場合、「10人中9人が陽性ではなくなった」と言えるのでしょうか。そもそも水でも治っちゃっているわけですし、唾液を採取するタイプのPCR検査をしているのに、検査をする前にイソジンをしちゃうなんて、肝心な部分を思いっきり見失っているように思えてなりません。

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「もともとこの唾液の中に非常に多くあるというのが、このコロナの特徴です。これも、コロナで僕も一生懸命、1にも2にも3にも唾液だとか、唾液が飛び交う環境を避けてください、申しておった通りですね、非常に唾液にこのウイルスが含まれる。その原因として、この舌にですね、ウイルスが付着して、そこから増殖すると、そういうふうにされています。で、唾液腺というのが舌の裏側にありますから、その唾液腺、舌の裏側にある、唾液が出て、その舌にあるウイルスとこうカラみ合ってですね、そしてそれがある意味、外に飛び散ることによって広がっていく。そこにある唾液のところのですね、このうがいをすることで、この唾液のPCRをした時にですね、圧倒的にこれが、陽性が減るという状況です」

驚いたことに、半年以上もコロナと闘う知事をアピールしておきながら、吉村洋文知事の認識というのは、この程度だということです。なんと、ウイルスは舌についているものが増殖しているだけなので、イソジンでうがいをすれば、ウイルスをやっつけることができると思っているのです。アホです。アホすぎます。きょうび、新型コロナウイルスに対してそんな認識になっているのは、吉村洋文さんしかいないのではないでしょうか。しかも、吉村洋文知事はこの説明の後に、こんなことも言っています。

このポビドンヨードによるうがい薬をすることによってですね、このコロナに、ある意味、打ち勝てるんじゃないかというふうにすら思っています。ただ、これはまだ、今、研究段階ですので、これは確定的に言うことはできません。それから薬事法があるので、これがコロナに効くということは薬事法上言うことはできませんが、この研究結果が明らかになったということです」

ということで、この吉村洋文知事の「イソジン最強説」により、大阪府では宿泊療養施設の患者全員にイソジンでうがいしてもらうことになりました。そうなると、本当は体内にウイルスがあるのに、イソジンの効果で口の中が殺菌されてしまい、唾液によるPCR検査をした時に、本当は体内にウイルスがあるから陽性なのに、口の中のウイルスが死滅していて陰性になる「ニュータイプの偽陰性」が起こる可能性があります。本当はもう少し長く宿泊療養施設に留まっていなければならない人間が野に放たれ、結果、大阪でさらに感染が広がる悪循環です。

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その上で吉村洋文知事は、これから8月20日までの間、この「イソジン最強説」を大阪府民の皆様にも実感してもらおうと、発熱など風邪に似たような症状のある方とその同居家族、接待を伴う飲食店の従業員の方、医療従事者や介護事業者の方には特にイソジンでうがいしてもらいたいと言い出しました。こんなもん、ますます唾液によるPCR検査を受けた時に偽陰性になってしまう可能性が高くなるだけで、「こんなところで陽性になっちまったら明日から働けない。せや、イソジンや!」になりかねません。

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この研究から分かることは、せいぜい「他人に感染させないために、イソジンでうがいをすることで、口の中のウイルスを減らしておくことは効果があるかもしれない」ということだけです。これはつまり、お姉さんとチョメチョメ的なことをするお店に行った時にイソジンをするのと同じレベルの話だと言えるかもしれません。イソジンにそれなりの効果がなければ、あんなに全国のファンタスティックな店でイソジンが大活躍することもないと思うので、イソジンにそれなりの効果があるだろうことは僕も知っていました。それを今さら記者会見でドヤられた末に、「みんなもイソジンやろうぜ!」と言われても、そんなのはプレイの前だけにさせていただきたい。もしかしたら、これから介護業界などで、介護士さんが人と接する前にイソジンでうがいをするようになるかもしれませんが、今、ここで「重症化を防ぐ」と言ってしまうのは、だいぶ頭が悪いと思います。


■ バカに釣られて薬局の棚からイソジンが消えた

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なんてったって全国放送の「ミヤネ屋」が、「“コロナ”治療 効果が期待できる薬 発表へ 大阪 吉村知事&松井市長 会見」というテロップをつけて大々的に報じてしまったため、「あの吉村洋文知事が言うんだから、きっと効果があるのだろう」と、みんなが薬局でイソジンを買いに走ったため、数時間も経たないうちに、どの薬局でも完売になってしまいました。メルカリではさっそく高額転売が始まり、「こんな時にデリヘルをやっている知り合いがいたらなぁ!」なんてボヤく始末。かつてはこの時間、みのもんた先生が「あの食材が体にいい」なんて言いながら、客席のババァにテレフォンカードを配り、夕方にはスーパーで話題の食材が売り切れていたものでしたが、とうとう令和の時代に、知事がイソジンを売り出す始末。日頃から新型コロナウイルスに罹らないように気を付けている我々一般の視聴者は、少しでも効果があると聞けば、それを試してみたくなるものですが、知事のアホアホ理論で薬局の棚が空になるって、こんなもん、世界の笑いものです。だいたいからして、新型コロナウイルスに困っているのは大阪だけではありません。日本のみならず、世界中で新型コロナウイルスに困っているのです。一刻も早く終息させたいのは大阪だけでなく、世界中の科学者や製薬メーカーの皆さんがさまざまなデータを解析しながら、あれが効くんじゃないか、これが効くんじゃないかとやり尽くしている中で、今さら「ジャジャーン!」とイソジンを出してきて「これが効くかもしれない」と言うのは、なんばグランド花月のステージの上だけで十分です。いくら地元の医師がそう言っているからって、それをそのまんま信じるのは頭がおかしいです。なにしろ、安倍昭恵夫人が仲良くしている医師は、自分を「88次元からやってきた」と自称し、「ウイルスはエネルギー体で、物質としては存在しない。不安な人のマスクの中に突然現れる」と言っているわけですから、一言に「医師」と言ってもピンキリなのです。そういう点で言えば、羽曳野市のお医者さんにはぜひともしっかりしていて欲しいのですが、「イソジンが効くかもしれない」とか言っている暇があったら、病床が足りなくならないようにどうしたらいいのかを考えるべきだと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

世の中には、現役の宇都宮市議と柏市議が「亜塩素酸ナトリウム水溶液にクエン酸を混ぜて飲むと体内の新型コロナウイルスが浄化できる」という動画を出して、それを信じたオバサンが実際にやってしまい、深夜に病院送りになる「NHKから国民を守る党」という超アホアホ政党もあるのですが、今回の吉村洋文知事もそれに匹敵するマヌケぶりで、世の中では「大阪イシンの会」「大阪イソジンの会」になったと揶揄されています。これで多くの方が、吉村洋文知事はただテレビに出まくってパフォーマンスをしているだけで、実際のところは脳味噌のほとんどが空き容量であるということに気づいたらいいなと思うのですが、これだけ街のドラッグストアからイソジンが消えているところを見ると、まだまだ維新旋風は吹き荒れ続けるのではないかと心配しています。イソジンが売れれば少しぐらい経済が回るのかもしれませんが、もともとうがい薬は品薄状態だったそうで、今回の記者会見ですっかり手に入らなくなってしまい、大阪府民の皆さんが8月20日まで重点的にイソジンでうがいする計画は破綻してしまいました。つくづくマヌケです。この国にまともな政党は存在しないのでしょうか。

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