見出し画像

Dubai World Cup Meeting 2024

※馬券発売対象分のみ記載します。


・メイダン競馬場

左回りの競馬場で外周が芝、内周がダートというJRAの競馬場と同様のコース配置となっている。1周2400mの芝コースと1750mのダートコースとなっており、最後の直線は芝が約450m、ダートが約400m。芝コースには2コーナーと4コーナーの奥にシュートが設けられており、ドバイターフは2コーナー奥のシュート上からのスタート。アルクオーツスプリントはアイビスサマーダッシュのように4コーナー奥のシュート上からのスタートとなっている。同じくダートコースにも2コーナーに2本のシュートがあり、ゴドルフィンマイルは斜めに伸びたシュート上からの発走となっている。

メイダン競馬場のコース形態はほぼ平坦となっているが、コーナーには芝で5%、ダートでは5.5%のバンクを設けている。JRAの競馬場で最もバンクがきつい中京競馬場で約3.5%だからメイダン競馬場のほうがバンクの傾斜率は高いことになる。

芝はバミューダグラスをベースにペレニアルライグラスをオーバーシードされた馬場となっており、この仕様は香港の沙田競馬場やアメリカ西海岸の競馬場で主に使用されている。いわゆる洋芝の一種だが、札幌や函館で使用されているケンタッキーブルーグラス、トールフェスクは寒冷地など低温気候に適しているのに対し、バミューダグラスは暖地型の芝であるため、比較的温暖な地域で採用されやすい。そこにペレニアルライグラスをオーバーシードすることによって色味が栄えやすくなっている。
沙田競馬場とメイダン競馬場の芝質の構成が同様ということから適性は同じものを求められやすいように感じるが、沙田競馬場は9月から翌年の7月までと週1回約10ヶ月間の開催となっていることに対してメイダン競馬場では11月~3月まで週1回約5ヶ月間の開催であることは大きな違いであり、一概に一括りにすることはできないかと思います。

ダートコースは2014年3月まではオールウェザーでレースが行われていたが、オールウェザーは人工の素材であるためワックスやゴムを使用されていることから温暖な地域では溶けやすく本来の水捌け機能を発揮しにくい。そのため気温の変化が激しい地域では馬場の管理が難しく、アメリカ調教馬の参戦を促す意味合いもあってダートに変更された。
ダートは表層素材の90%弱が砂で表層の厚さは17.5㎝、残りはそれよりも粒子の細かい沈泥や粘土。日本のダートよりも細かい砂がかなり多く、馬場はアメリカのダートに近い。


※豆知識

2024年3月8日から9日にかけてドバイでは記録的大雨が降り、雨季がないドバイでの大雨は非常に珍しいため日本のニュースでも報道されました。
その影響があるのか、メイダン競馬場で調教をつけている各陣営からは「ダートは例年よりも軽い」、「芝は緩い」などの声が散見されていました。
雨が多かったとはいえ約20日も前の雨の影響が残るのか、と思いがちですが、日本の排水技術はトップクラスであるため、世界各国での競馬場では数か月前の雨が大きく影響する、なんてことはざらにある話しだったりします。
前述したようにドバイは雨季がありませんから、馬場の排水技術に重きを置いているとは考えにくく、いくら金の亡者が作った競馬場とはいえ排水技術にまで重きを置いて作ったとは考えにくい。稀に大雨が降った際には町中が冠水するくらいですから、競馬場だけが排水設備を整えているとは考えにくい。にもかかわらず、メイダン競馬場芝コースはここ数日毎日のように散水しているとのこと。数日前にはエアレーションを実施したとの情報もありました。アラブ首長国連邦は暑さの影響を受けやすく、雨季が無いことが直接的に水不足に影響している国です。芝の生育には水分が必要不可欠であり、暑さに強い暖地型のバミューダグラスを採用しているくらいですから、雨が降ったとはいえ定期的な散水は芝の生育の面から必要不可欠。いくら芝コースの馬場が緩いとはいえ、散水しなければ一気に馬場が悪くなる懸念が残る。その可能性を取り払いたいのでは、と考えれば納得できます。

では過去のデータを参考に出来ないのか、となりますが、ある年だけデータが使える可能性は残っています。
前述したようにアラブ首長国連邦は雨季が無く、通年水不足に悩まされている国です。その問題点を解消しようと10年間で15億超の国家予算をつぎ込み、2017年に人工的に雨を降らせたことがありました。いわゆるCloud Seedingというものです。具体的にはドローンを使用して雲にレーザー光線を照射し、帯電させることで雲粒を雨粒に変えようとするものです。これによって2017年の降水量は例年の10-30%程度増加しました。
2017年のドバイワールドカップミーティング当日は昼過ぎまで大雨が降っており、開催直前の馬場状態はダートが重馬場。現地の発表ではMuddy(ドロドロ)となっていました。芝は稍重表記。現地では6段階中3段階目の表記となっていましたが、重馬場に近い状況だったとの声は少なくなかった。
2017年の開催はゴールデンシャヒーンは追い込み馬マインドユアビスケッツ、ワールドカップは怪物アロゲートが勝ちましたが、好走馬は先行脚質の馬が占めており、ダートは前が残りやすい状況。直線は強い追い風がある中での結果ですから相当馬場が硬かったとの認識で良いでしょう。
芝は日本馬ヴィブロスが勝ったものの、ターフの勝ちタイム1分50秒台は過去10年の中で最遅タイム、シーマクラシックの2分30秒台も過去10年の中で最遅タイムとなっていました。
雨の影響を検討するのであれば、2017年の傾向をもとに検討することも一つの手かもしれませんね。


・過去のレース映像

・ドバイゴールデンシャヒーン

2023年

2022年

2021年

2019年

2018年

2017年


・ドバイターフ

2023年

2022年

2021年

2019年

2018年

2017年


・ドバイシーマクラシック

2023年

2022年

2021年

2019年

2018年

2017年


・ドバイワールドカップ

2023年

2022年

2021年

2019年

2018年

2017年


ここから先は

12,895字 / 12画像

¥ 700

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?