見出し画像

住宅街で自家焙煎店をする方法

「そうや。マスターに聞きたことがあってん」

そう言われると、なぜかドキッとする小さい自分がいる・・・。

「・・・、なんでしょう?」

「知り合いの男の子が近々お店をオープンさせんねんけどな、ちょっと困ったことがあって・・」

よかった。なんか悪いことでもやらかしてしまったかと思った。

そんな小さい自分のことは置いといて、相談内容を要約するとこんな感じだ。

1 今までシェアキッチンでカフェをやっていた男の子が、テナントを借りて自家焙煎のカフェを始めることになった

2 しかし、テナント周辺の住民から飲食店営業は構わないが、煙や匂いが外に出るようなことはやめてほしいと言われた

3 現在のところ焙煎は別の場所で行い、カフェだけそのテナントで営業する予定

4 しかし時間と費用のコストがかかるので、同じカフェのテナント内で焙煎もしたいと考えている

と、こんな感じだ。

「なんかいいアドバイスある?」

う〜ん、なるほどね・・・。確かにうちも住宅街で焙煎してるからなぁ。
開業当初はどういったことに気を配ってやっていたかなぁ・・・・。

「そうや!掃除ですよ!」

思い出したのと同時に口にしていた。

「掃除?」

急な一言に意味を測りかねた様子で聞き返される。

「とにかく最初は自分の店の前だけでなく、町内一角を毎日掃除するんですよ」

「ほぉ・・・」

「そしたら近所に住んでいる人としょっちゅう顔を合わせるので、その度に元気よく「おはようございます!」とか「いってらっしゃい!」って声かけるんです」

「なるほど、そういうことか」

「一年ぐらい続けて信頼関係ができてきたら、「実は費用面がきつくて、ここで焙煎もしたいと思ってるんです」って切り出すんですよ。そしたら大抵は「あんまり早い時間や遅い時間はやめてや」くらいで承知してもらえたりしますよ」

まあ、かなり理想的な話かもしれない。
しかし、どうしてもその場所がよければ、その方法くらいしかないのではないだろうか。

長く珈琲屋をやっていると色々なお店の噂が舞い込んでくる。
「あそこは高級なコーヒーを扱っている」とか「あそこはこんな変わったやり方で提供している」などはよく耳にするが、「あそこの人はいつも清潔できちっとして気持ちがいい」とか「前を通りがかっただけで明るく挨拶してくれて嬉しい」というようなお店の評判は聞いたことがない。

しかし、実はこんなことが地域で長くやっていくには重要なことではないかと思っている。
地域に愛され、社会的にも必要なお店。

そんな個人店が多くなれば、「こういう生き方や仕事がしたい」と考える若い人も増えるのではないだろうか?

なんて言ってて、「最近はできてないなぁ」と反省してしまうのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?