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【最終回】東京ふたりごと ありがとうございました|30日後に東京で初めて公演する劇団、の記録

こんにちは。シイナナの藤田サティです。2022年12月2〜4日、東京ではじめての公演を行い、無事に幕を下ろすことができました、シイナナという劇団で、脚本・制作を担当しています。

「30日後に東京で初めて公演する劇団、の記録」と銘打って、このマガジンを更新してきました。関西の小さな劇団が東京に初上陸するまでの記録と、東京でお会いできるかもしれない、はじめましての皆さまに、シイナナのこと、公演のこと、などなどをお伝えしていければ…との想いで綴ってきた記録も、今日が最終回です。

公演情報はこちらから!シイナナ 二人芝居企画 Vol.3 『ふたりごと』in TOKYO

これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。千秋楽をあけて、滞在していた大阪チームのみんなも続々と帰阪し、ようやく「終わったなぁ」と日常に返りつつある今日、「ふたりごと」最後の記録を残しておこうと思います。

のべ80名のお客様にご来場いただきました

今回の「ふたりごと」は、各回20席5公演、トータル100席という、小規模の公演でした。全席完売とはならなかったものの、2回が完売、全公演で80名のお客様が、カフェ ムリウイさんまで足を運んでくださいました。

photo by Mariko Hasegawa

この数字は、みなさんの目にどのようにうつるでしょうか? 何百、何千という動員の公演も数多ある演劇の世界で、決して大きな数字とはいえないかもしれません。でも…私たちにとっては、それはそれは遥か遠くまで連れてきていただけた、涙が出るほど嬉しい数字です。

東京という場所で、なんの認知もされていないシイナナという劇団のために、いったいどのくらいのお客様がきてくださるのか、正直なところ、なんの保証もありませんでした。

予算段階では、セオリー通りのキャパシティ60%の動員で予測していたものの、予測した通りにご来場いただけるなんてわけもなく。直前まで、見込みをもっと下げないといけなかったかな、本当に埋まるのかなこの空席は・・と、不安だらけでした。

そんな中、一人、また一人とご予約が増え、ゲストを含めた座組みのみんなが、懸命に宣伝活動に取り組んでくれて、完売回がでて、当日券を求めてきてくださったかたがいて、直前までご予約は増え続け・・・気づけば予測を大幅に超える80名の方々が、本作品たちを見届けてくださいました。

photo by Mariko Hasegawa

はるばる地方から足を運んでくださったお客様もいらっしゃいました。「来たよ!」と声をかけてくださり、予定が合わずとも、メッセージを届けてくださいました。遠く離れた場所からも、気にかけ見守り続けてくださいました。

どれだけたくさんの大切な人たちに、この劇団は支えられているのだろうと、感じずにはいられない日々でした。

東京で、ほんとにお客さん来てくれるんかな…?

そんな風に思ったことが恥ずかしくなるような、誇らしい公演になりました。この公演が、シイナナの次のステップへの大きな礎となるのだろうと、今心から思えています。本当にありがとうございました。

初めての滞在制作

この数ヶ月を通して、そして、滞在していた濃密な毎日で、座組みは家族のような場所になりました。過ごしているうちに、一人一人まったく違う個性を持った、違う人間なのだなぁと、私は思っていました。みんな、バラバラで、一人と一人の集まり。

でも、だからこそ、そんな人たちが、同じ作品に向かって、笑ったり落ち込んだり泣いたりしながら、千秋楽を終えて弾けんばかりの笑顔を交わし、また必ず会おうと約束を交わせたことが、奇跡のように感じられるのです。

互いが互いを想い合うことができる、そして、目の前の作品に対して真摯に誠実に取り組み続けてくれる、ホッカホッカの座組みでした。シイナナは、あたたかい場所だと言ってくれた客演さんもいましたが、それは本当にみんなのおかげです。この空気は、作品を通して、きっとお客様にも伝わっているのだろうと思いますし、この場所を、私たちは守っていかなきゃいけないね・・そんな話を、昨日話していました。

夢のような時間でした。またいつか、必ず会いましょう。

シイナナらしさ

ご覧いただいた作品たちは、いかがでしたでしょうか? 少しでも何か、届いたでしょうか? 舞台は本当に難しくて、つかめたかと思ったら、つかめていなかったり。届くと思ったら、届かなかったり。そんなことは多々あります。

photo by Yuri Toma

だからでしょうか。たくさんいただいた感想、アンケート。みなさまからもらった、宝のような言葉のありがたみが、これまで以上に感じられる公演でした。やってよかったんですね、私たち。と、頭をナデナデしてもらえました。

photo by Yuri Toma

これまでの記録でも書いていた、”シイナナらしさ”。シイナナじゃないといけない、とお客さまに思ってもらえる何かが、今回の公演で見つかったのかと言われると、実はまだわかりません。きっとヒントは見つかっている、と思います。けど、まだ言葉にできません。

もしかしたらそれは、見つけたり生み出したりするものではなくて、考え続けていれば、いつか勝手に辿り着いているものかもしれないなぁと、いろんな人たちと過ごし言葉を交わした毎日で思えるようになりました。

photo by Yuri Toma

シイナナが、この公演を通して100倍パワーをつけたのかといえば、そんなことはないでしょう。だけど、1.1倍、いや、1.4倍くらいには変化することができた公演でした。

1が、1.4になって、2になって、3になって、10になって、50になって…その繰り返しで、いつのまにかこんな遠くにこれたなぁと、思えるのだろうと思います。(これ、公演中に言われたことの完全なる受け売り 笑)

photo by Yuri Toma

そこでみんなで見るのは、どんな景色なんだろうなぁ。その日までやめることなく続けられていれば、きっとご褒美のような場所に辿りつくことができるのでしょう。

いつかのその日まで、まだシイナナはあきらめずに頑張ります。
また劇場で会えるその日まで、みなさまお元気で!!!

photo by Yuri Toma


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