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人生オークション 原田ひ香

家庭での断捨離を前に読みたいと思っていた一冊。
「人生オークション」「あめよび」の2つの物語。

人生オークション
不倫の果てに傷害事件を起こし、離婚した叔母のりり子と就職出来ずに鬱積が溜まってる姪っ子の瑞希のそれぞれの変化をオークションを通じて描かれてる。

叔母のりり子は格別の美人でもなく、艶やかさもないどちらかというと40を前にした普通の容姿だが大胆な肝を持ってる。
離婚後、少しでも生活の糧にと浪費癖から集めた膨大な荷物を引っ越し先に持ってきた。
それを見た姪っ子の瑞希がオークションで捌いてくうちにりり子の心境に変化が現れる。
社会での接点を見失った2人、オークションをしていく中、相手からの感謝が存在意義を灯したのだろう、何かが解れていく描写は人生のリハビリとも言える。

りり子の容疑を疑った身内に嫌な感情が芽生えたのは私だけだろうか?
真実は読まれてのお楽しみだが、冷たく突き放す姉の気持ちは理解できなかった。
欠点や面倒を抱えての営みだと考えてるので、真実を確かめようとせずにいたのは切なく感じたな。

瑞希に本当に不倫相手の妻を刺したのかと問われた時、私のこれまでの経過が姉から信じて貰えないのだから仕方がないと、達観してるところは人は本来一人なんだという自立した強さを見た気がする。

又、就活の自己分析で挫けた瑞希、その心境を見抜いたりり子は己に似てると近しく慈しむようになり、瑞希も暗く閉ざしてたものが開けてく。

この2人が何か憑き物が取れ、吹っ切れたように再起を歩みだすが良かったです。

あめよび

ラジオ投稿を続けつつ放送作家になる夢を追う彼と6年も付き合った彼女。
人生の意味を見出したく、遂に自分から結婚を迫る。
好きだ、愛してると言いながら俺は結婚に向かないと拒絶する彼。
現状に満足してるという彼に別れを決めた彼女の未来は?

彼氏の輝男、男はやっぱり結婚はある程度己に自信がついてからとかそんな気持ちなのかなと想像したしりして。
美子の気持ちも痛いほど嬉しいしね、男側は。
じゃあ、結ばれるかというと・・・

ラストの空港でのシーンは距離と時間がはっきり確信させたのか、良い恋愛だったと誇れるだろうな、2人共幸せを願わずにいられない素敵なお話でした。


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