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なぜやめられないのか 依存症に陥る脳

「ダメ ゼッタイ」
標語とともに小学校からすでに習い始める
薬物・ドラッグの怖さ。

一度手をつけるとやめられなくなると教えられ
育ってきたが誰しもが、
私なら、一度だけならやめられるのでは、
と思ったことがあるのではないだろうか。

私自身、薬物の依存度の高さ、
体を蝕む怖さを繰り返し教えられても
一度だけなら大丈夫じゃないか
と思ったことがある。

(その時は、間食のお菓子もやめられない
 自制心無の私は一度手を出したら終わりだな
 と思い考えを改めたが)

一度手を出せば抜け出せないと信じながら、

なぜやめられないのか、
本当にやめられないのか、

と疑問に思い育ってきた。

そこで本書と出会う。

「快感回路 
  なぜ気持ちいいのか 
    なぜやめられないのか」

ドラッグがなぜやめられないのか。

答えはドラッグが脳を変異させてしまう

ということらしい。

コカインの依存症


コカインによる依存症がわかりやすかったので簡単にまとめる。

脳には報酬系という部位がある。

報酬系では”気持ちいい”行動をすると
ドーパミンが放出される。

逆説的に言えば、
ドーパミンが出る行動を人は気持ちいいと感じる

実際、マウスの実験で、
マウスがボタンを押したら脳を電気刺激し
ドーパミンを強制的に出させるようにすると
マウスはボタンを押し続けるようになる。

マウスにとってボタンを押す行為が
気持ちいい行為になったということだ。

コカインはこの報酬系を変異させる効果がある。

説明が少し難しいので
報酬系を中華屋に例えてみる。

報酬系にはドーパミンを出す側(厨房)と
ドーパミンを受け取る側(客)が存在する。

厨房から出されたドーパミン(料理)を
客が食べることで、脳は気持ちいいと感じる。

ただこの”厨房”は計算ができず、
毎回”客”の要望以上に料理を作りすぎてしまう。

そのため客が料理を受け取り切ったら、
残った料理を回収する店員も存在する。

コカインはこの”店員”を動けなくし、
残された料理を回収できなくさせてしまう。

そのため中華屋は残った料理で溢れ、
料理を食べ切った客は残された料理をまた食べ、
脳はまた気持ちいいと感じる。

”気持ちいい”が連続してしまうのだ。

コカインによる通常ではあり得ない
”気持ちいい”の連続により、
人は強度の快感を感じてしまう。

ここで終われば依存症にはならないのかもしれないが、
コカインのメカニズムはまだ終わらない。

コカインは何回か摂取し続けると
報酬系の”客”を増やしてしまう。

すると通常の気持ちいい行為では
”客”に”料理”が行き渡らなくなってしまい、
人は不足感で再びコカインに手を出してしまう。

こうなってしまうとコカイン無しでは
いられない脳に変わってしまうのだ。

感想


本書は薬物だけではなく
ギャンブル セックス 暴食
といった依存症になってしまう事柄について
依存してしまうメカニズムを説明している。

だが基本的にどの依存症も、
報酬系の変異によって生じるとのことだ。

依存症など理性によってどうにでもできる
我慢のできない怠惰な人が陥ること

心のどこかで思っていた。
しかし理性を司る脳を変更されてしまうのなら、
理性でどうこうできる問題ではないだろう。

依存症のメカニズムを知ることによって
より依存症の怖さや予防に力を入れようと
思うようになった。

学校でもこのような話をして欲しかったな。
最近ではしているのかな?



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