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球速・回転数の関係性

こんにちは、練習改革 by Mizunoです。

MA-Qでは投げたボールの球速と回転数を測定することができます。

しかし、回転数がなぜ高いのか?低いのか?がわからないと練習につなげられないという指導者の声は非常に多いです。

そこで、この記事では、以下のような悩みをお持ちの方に向けて、球速と回転数についてストレートと変化球に分けて解説します。ぜひ最後までご覧ください!

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・自分の投げたボールって平均と比較すると回転数はどうなっているの?
・投げ方と、回転数が大きい少ないの関係性は?
・球速や回転数が変わると、どのような効果があるの?
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1 ストレートの球速と回転数

はじめにストレートの球速と回転数の関係について、解説します。

ストレートの球速と回転数は、ズバリ比例関係(正確に表現すると、正の相関関係※)になっています。つまり、球速が速くなればなるほど、回転数も多くなるということです。実際の高校生のデータからもこの傾向をはっきりと読み取ることができます。


※相関係数 r=0.73

では、なぜ球速と回転数は比例関係になるのでしょうか?その理由について解説します。

投手はボールをリリースする際に、指先からボールにエネルギーを与えています。つまり、球速が大きいということはボールに対してより大きなエネルギーを与えているということになり、基本的には回転数も大きくなります。

高校生のストレートのデータから各球速毎の標準的な回転数はこの表から確認してください。

ただし、平均値から大きく離れた特殊なストレートを投げる投手もいます。それはボールをリリースする際の指の使い方が大きく関わっています。

・回転数が多い、指にかかったボールを投げる投手に共通している指の使い方は、第一関節(最も指先にある関節)が曲がって、第三関節が伸びているというものです。これにより、ボールに対して強い接線力を与えることができ、回転数が増加すると考えられます。

・逆に回転数が少ないストレートを投げる投手に共通している指の使い方は、第三関節が曲がり、第一関節が伸びた状態で、ボールを押し出すようにリリースするというものです。この指の使い方ではボールが進む方向へかかる力の成分が大きく、接線力はそれほど向上しません。

2 変化球の球速と回転数

一口に変化球と言っても様々な球種が存在します。ここでは球速順での比較と回転数順での比較を行います。

SPV (Spin Per Velocity)とは「回転数÷球速」 の値であり、SPVが大きいほど球速に対して回転数が多いボールということができます。

2-1 球速順での比較

変化球を球速順に分類したとき、ストレートに近いのは、ツーシーム、スプリット、カットといった球種です。ストレートに対する球速比(変化球の球速÷ストレートの球速)の平均値は、大きい方からそれぞれ、ツーシームが96%、スプリットが95%、カットが92%となっています。

高校生投手平均の各球種(速度順)

これらの変化球はストレートと似たような軌道から変化します。そのため、バッターがストレートと思ってスイングし、結果として打ち取ることができる確率が高くなると考えられます。

そのため、ストレートに対する球速比が平均値より低い場合はストレートと違う軌道と早めに判断される可能性があると言えます。例えば、130キロのストレートの選手が、カットボールの球速が115キロを投げたとします。その際の球速比は89%であるため、カットボールというよりもスライダーと打者には判断されると思います。球速比を参考に自分の球種の役割や目標値を一度考えていただけたらと思います。

2-2 回転数順の比較

変化球を回転数順に分類したとき、回転数が多い部類の球種としてはスライダーカットカーブなどが挙げられます。ただし、カーブについてはスローカーブやナックルカーブといった種類があるように、投手によって球速や回転数に大きくばらつきがあります。これらの球種が平均の回転数よりも低い場合は、上手く回転をかけれていないと考えられます。基本的には回転数が少なくなると変化量も小さくなる傾向にあるため、MA-Qを使った回転数の確認や、ボールをリリースする際の動画撮影をしながら練習に取り組みましょう。

また、チェンジアップ、スプリット、フォークといった落ちる系の球種については回転数が非常に少なくなります。落ちる系の球種は回転数が少なくなることで、回転による揚力が小さくなりボールに変化が生まれます。できるだけ回転がかからないようなリリースを身に付けることで、より変化の大きなボールを投げることができるようになります。

高校生投手平均の各球種(回転数順)

3 球質を正しく評価する際の注意点

3-1 変化量と回転軸

自分のボールの球質を評価するには、回転数だけでなく、回転軸も考慮した変化量が重要となります。縦の変化量が平均より大きくなるとバッターがフライを打つ確率が、平均より小さくなるとバッターがゴロを打つ可能性が高くなります。このように平均と比較して外れた値のストレートを投げるか?ということがバッターを打ち取るうえで重要な考え方の一つとなります。

例えば、回転数が多いストレートを投げたとしても、上から見た角度が大きいカットボールのような回転軸であれば、縦変化量は小さくなります。なので、変化量も合わせて確認しましょう。

変化量に関しての詳細はこちらのnoteをご覧ください。

3-2 球速

やはり球速が遅いと、バッターがボールを判断したり、見極めたりする時間が長くなり、試合の中で対応されてしまう可能性が高まります。そのために、フォームの改善や筋力アップは非常に重要です。球速を上げることが回転数も上げることにつながると思いますので、その面からもぜひ練習の内容を考えてください。

今回の記事は以上となります。次回もお楽しみに!

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