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2022年映画ランキング

毎年やっている映画ランキングです。
今年は鑑賞数が少ないのと、配信作(今年劇場公開作に限る)が混ざるのがちょっと無念。
来年はもっと観たいなー

第1位 ベイビー・ブローカー ☆4.8
第2位 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム ☆5.0
第3位 ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!☆4.8
第4位 カモン カモン ☆4.7
第5位 ナイトメア・アリー ☆4.7
第6位 NOPE ☆4.7
第7位 さかなのこ ☆4.7
第8位 THE FIRST SLAM DUNK ☆4.6
第9位 ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ☆4.6
第10位 トップガンマーヴェリック ☆4.5

第11位 (辻占恋慕) ☆4.2
第12位 ブラックパンサー/ワガンダ・フォーエバー ☆4.4
第13位 (X) ☆4.2
第14位 神は見返りを求める ☆4.0
第15位 ソー:ラブ&サンダー ☆4.0
第16位 アネット ☆4.0
第17位 ちょっと思い出しただけ ☆4.0
第18位 THE BATMAN ☆3.9
第19位 暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー ☆4.3
第20位 ハウス・オブ・グッチ ☆3.9

第21位 シン・ウルトラマン ☆3.8
第22位 ハッチング ☆3.6
第23位 (Starfish) ☆3.5
第24位 ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 ☆3.0
※()は配信視聴

総括と傾向

なんだか映画って総合芸術だよなぁ、という初心に戻った一年でした。というのも今年短歌を始めまして。あちらは少ない言葉でどれだけ描けるかというミニマムな芸術なため、逆に映画のマキシマム具合とか、結果として映画体験じゃないと味わえないこととか、そう言ったあたりに意識がいきました。あと時間のことをすごい考えました。

映画って単純に音楽・映像・物語と要素が多いし、なんか外側の文脈を知ってこんなに面白さが増したりするの映画くらいな気がするんだよね。

音楽が素晴らしいアネット、ジャンル映画という枠組みを意識させるからこそフレッシュで本題が際立つXブラックパンサーも主演の逝去と悲劇を意識せずには観られない、そして作り手もめちゃくちゃ大変だったろう中でお見事でした。AI美空ひばりみたいなことにならなくて本当によかった!

TOP10に移りまして、トップガンマーヴェリックは最高の映像体験をさせてくれました。1作目と言うベースがあるからこそ、そしてトムクルーズ自身がほぼリアルタイムで年齢と経験を経て作った作品だからこその重みがあったような。操縦までできるようになったこの30年の重みよ。おかげで気迫と臨場感がすごかったです。
あと何よりエンタメ映画としてずーっと楽しいんだよな。映画全部こんな感じにしてくれと思ったもん。

9位ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスはワンダかわいそう!と先生最高!で引き裂かれ、先生大好き!に落着しました。結局脚本が見事なんだとおもうんだよな・・・。ストレンジ先生の欠点とされてきた傲慢さを気高さとして描き切っていて、彼のこれまで、そして彼自身を肯定するかのような最高の着地。ワンダも最後は気高かったので、これは気高さの話だとおもう。

8位THE FIRST SLAM DUNKはベースは漫画で読んだ話なのに、追加エピソードによる話の軸の通し方、画角の切り取り方による人と話の整理のされ方がまさに映画の醍醐味という感じで本当に良い体験でした。コートのシーン本当にコートにいるのかと思ったし、結果知ってるのにずっと(入れ・・!)って応援してしまった。作中の時計ずっと見ちゃうし。

7位さかなのこは役者も話も、なんならパンフもよかった。さかなクンご本人という外側というか内側というかな要素が作中にご登場するびっくりもさることながら、やっぱり企画自体がよかったな・・・

6位NOPEは雲の中にいる未確認飛行物体(?)を追う話で、エンタメとしてずっと面白いです。未確認飛行物体が最初から最後までフレッシュだし。
でも登場人物の一挙一動や人物ごとの対比なんかに全部意味があって、本題は全然未確認飛行物体を追うだけの話ではない。

5位ナイトメア・アリーは大好きなデルトロの作品で、絵面はデルトロらしいけど話の進み方は今までのデルトロとはちょっと違う。(原作あるしね)怪しげなサーカス一座と出会った野心家の青年がトップ興行師となってそれから・・・と言う話。デルトロらしい画面構成で終始オカルティックでありながら、画面の背後に映るいかにもデルトロ!って感じの陳列品それぞれに意味があって、ずっと観ちゃう。終盤にいくにつれ本当に震えるほど怖くなる。いつものデルトロの怖さとは違う種類の。綺麗な落語のようなラストと、役者陣の演技も素晴らしかった。

4位のカモンカモンはマイク・ミルズ監督(好き)の最新作。ホアキンフェニックス扮する伯父さんが、一時的に甥っ子の面倒を見るうちにお互いちょっとずつ歩み寄る話で、わたしの一番好きな「個として相手をきちんと扱う話」でもある。
これ実際の子供たちのインタビューがドキュメンタリー性を出してる反面、甥っ子役の子があまりに自然に見える演技をしてたりとか(あまりに自然なので、自由にさせて脚本を合わせてるのかと思ったほど。でもイギリス人なのにアメリカ訛りで演技してるレベルだそうだ。天才)、なんか映画ってなんなんだろうな・・・とおもう。計算して撮る部分と偶然の部分とが合わさってできてるんだね。是枝さんのとかもそうだけど。
監督自身が子育てしているからこそのリアルで誠実な”対・子ども”で、これも2時間ずっとホアキンフェニックスがもがいているのに共感してしまった。だからこそ終盤が切ない・・・

3位ひつじのショーンはあんまりあげてる人いないので激推しする。大好きなストップモーションアニメの新作に旧作3本という構成で、結果として技術の進歩がありありとわかる。何気に画角とかアングルもすごく凝っていて素晴らしい映画です。今回は雪の表現、ライトの表現、氷の表現あたりが特に素晴らしい。
何より映画の中でちゃんとキャラクターたち自身にフレッシュな工夫をさせてるのがえらい。セーターを編むシーンなんて、①まず羊をレインボーからに塗ります②その羊に編み針を刺します③そのまま編みます④レインボーカラーのセーターが完成します!という斬新ぶりだった。

2位スパイダーマンはMCU含むスパイダーマンもろもろをリアルタイムで追ってきて、時に喜び時に落胆し、いうことにずっと付き合ってきて本当によかった。アメスパが2で終わった時にめちゃくちゃ怒ったの無駄じゃなかった。これはリアルタイムで追ってなきゃ味わえない映画体験だったとおもうし、これからも映画をできるだけリアルタイムで観ようと思わせてくれた体験でした。アメスパの無念成仏したよありがとう!!
シリーズの最後にして歴代の中で最もスパイダーマンらしいところに着陸したところ、そして孤独だけど孤独じゃないという救い、神業のような脚本に満点をつけます。

1位は是枝監督が韓国で撮った孤児を売りにゆく話ベイビー・ブローカーにしました。わたしぶっ刺さったのにあんまりベスト10に入れてる人がいなくて・・・!なんで!?その分推すが!?
映画ってやっぱり2時間くらい登場人物に付き合うわけで、2時間かけて色々起きたり登場人物の価値観が変わっていくわけです。小説は読むスピードって人によるし、ドラマは週を跨ぐしで、作り手が時間までコントロールして心情の変化の流れを作るのって基本的には映画だけな気がするんだよね。で、そんな心情の変化に一番シンクロできたのが今年この一本だったなと。
最初は登場人物をモラルも愛もない奴らだと思って見始めるのだけど(刑事さんと同じ目線)、ちょっとずつほのかに明かされるみんなの背景や光と影の描写、会話やなんかで登場人物もちょっと変わってゆくしこちらの価値観も変わってゆきました(なおこれも刑事さんと同じ目線)。彼らにモラルはともかく、愛はあるんだなと最後は思う。

こうやって見ると映画って上映時間中の短期的な時間と、シリーズ映画が3年おきに公開とかそれこそ30年経ってトップガンの続編が公開とか、長期的な時間があるなと思う。映画の中の時間と外の時間といってもいいけど。
今年はそのどちらか(あるいは両方)をうまく使った映画に良いものが多かったなという印象です。スラムダンクの映画がまさか今公開されるなんてびっくりしたけど、技術が追いついてしっかり今公開されるだけの内容になっていたし(長期的な時間)、しかも作中での時間は試合の時間とシンクロしている(短期的な時間)というような。
ひつじのショーンも旧作付いてるから技術の進歩が伝わったわけだし…。
ファスト映画とかが問題になってる今こそ、この時間をしっかり味わいたいなと思う。

そして我々の時間は悲しいかな有限なので、しっかり意識して映画を観る時間を(短期的にも長期的にも)取りたいなと思う年末でありました。
掘り出し物だった辻占恋慕の言葉を借りれば、「好きなものなら吸収したくなるでしょ」です。

それではみなさま良いお年をー!

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