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「現地の普通の生活」を楽しむ。

観光に出かけるのに、うってつけの季節だ。
でもこんな季節はどこに行っても混んでいる。
日本人にとって5月は観光の季節だもの。
そのうえインバウンドとやらで、どこの観光地も大混雑らしい。

最近は、観光地ではないはずの我が街までスーツケースをひいた外国人観光客がやってくるようになった。
彼らは特筆すべきもののない我が街に、何をしに来るのだろうか。

そういえば、安売りの有名店に行きたいという人を道案内したことがある。
あのときは、アジア系の人に英語で聞かれたんだった。
でも日本語以外で説明するには複雑すぎたので、結局「Let's go!」と言って、途中までは一緒に行ったのだった。

道すがら会話が出来ればよかったのだが、そんなことが出来るくらいなら最初から口頭で案内している。
仕方ないから黙々と歩いた。
怒っているわけではない、と分かってもらうために、ときどき振り返って「こっちですよ」というジェスチャーをした。

春先には、写真を撮る家族連れを見たことがある。
川沿いの桜並木が有名なところで、みんな桜を背景に写真を撮っている。
大きなスーツケースを並べた家族連れも、川を背にしてスマホをいじっている。

そして彼らが(自撮りで)スマホのカメラを向けたとき、彼らの顔は桜のかたわらの椿に寄り添っていた。

あれ?
椿なの?
・・・と一瞬思ったが、彼らがどの植物を愛でてもかまわない。

桜の季節には桜を愛でなければいけないというのは、もはや日本人に刷り込まれた強迫観念かもしれない、と思いながら歩いた。

またあるときは、100円ショップで楽しそうに買い物する親子連れも見かけた。
これまた大きなスーツケースをひいた母親と娘ふたり。
あれこれ手にとっては、めちゃめちゃ楽しそうに話している。

言葉は分からなくても、楽しそうにしていることは伝わってくる。
こちらまでウキウキしてしまった。

あれ?

我が街にやって来る外国人観光客の皆さんは、観光してるわけではなさそうだ。
どうやら、旅先で「現地の普通の生活」を楽しんでいる様子。

なるほど、そうなのか。

とすると、外国人観光客がスーパーで食べ物を買って、フードコートでランチにする・・・なんて日も、まもなく到来するのかもしれないな。


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