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池波正太郎『男の作法』に学ぶ性教育

 『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人 藤枝梅安』『真田太平記』などの時代小説で知られる、戦後を代表する昭和の大作家、池波正太郎。

 彼は小説家であるほか、美食家・映画評論家としても有名で、その生活から生まれた数々のエッセイを残しています。

 そんな池波正太郎先生(以下、敬意を込め先生と呼ばせていただきます)がその独自の美学について語り記録した、いわば『語りおろし』と言える形式のエッセイが書籍『男の作法』です。



池波正太郎、男を語る

 当時既に50代となっていた先生が若手の編集者を聞き手として語る形式ですが、当時においてすらそのまま通用するものではないことを前書きで認めています。

 現在はそこから既に35年以上が経過しているわけで、既に遥か遠くなった時代の話であることは紛れもない事実です。

 この本の中で私が語っていることは、かつては「男の常識」とされていたことばかりです。しかし、それは所詮、私の時代の常識であり、現代の男たちには恐らく実行不可能でありましょう。時代と社会がそれほど変わってしまっているということです。
引用:『男の作法』/池波正太郎

 しかしその根底にある独自の「男の美学」には普遍的なダンディズムが存在しています。

 私は高校生の頃に、読書家であった祖父の書棚からこの本を見つけたのですが、そこで語られていた衣食住全般の流儀や「大人の男はかくあるべし」という男性哲学に大変な衝撃を受け、貪るように読んだのを今でも覚えています。

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