「公開質問状」への回答に対する声明

 2020年9月11日(金)、私たち「入試改革を考える会」は、文部科学大臣と大学入試センター理事長宛に、大学入学共通テストに関する「公開質問状」を出しました。この公開質問状に対して、9月25日、文部科学省大学振興課大学入試室と独立行政法人大学入試センターから「入試改革を考える会への回答」がありました。この回答に対する声明を発表します。
 
回答の「1.について」
  大学入学共通テストの出願において、受験生の記入する願書には第1日程か第2日程かを記入する欄がないことに対して、「万が一、高等学校において生徒が選択した受験日を誤っていた場合は、訂正することが可能となっています」と回答にあります。
  私たちの質問は「ミスの危険性」だけではありません。日程を記入する欄がないことによって、すでに「学校現場や生徒からも不安の声が上がっている」という「混乱」に対して「どう考えているのか」を尋ねていますが、この質問には答えていません。

回答の「2.~5.について」
  最初に述べますが、私たちの2~5の質問にそれぞれ答えるのではなく、まとめて回答することは論点を曖昧にします。質問への回答形式として望ましくないと考えます。  質問2の、第2日程の出題科目のなかに、特例追試験の出題科目には入っていない科目があることへの質問に対して、「受験案内等においてその旨を事前に周知しているところです」という回答でした。
 これは私たちの質問の趣旨を無視した回答となっています。私たちの質問の趣旨は、第2日程の出題科目のなかに、特例追試験の出題科目には入っていない科目があることにより、その科目で試験を受ける受験生が第2日程を選ぶことが困難となる制度上の欠陥、試験の公平性が維持されていないことを問題にしています。
  質問3の、2週間では、3ヶ月の「学業の遅れ」の補償とはならないのではないか?また各大学の個別学力検査の出題範囲に関し、配慮や工夫を求めているのに対して、大学入学共通テストで出題範囲に関し、なぜ配慮や工夫をしなのか?これら2つの質問に対する回答は全くありません。
  質問4の、第1日程と第2日程の難易度を統一し公平性を確保できる根拠を尋ねた質問への回答は、「同じ問題作成者が、両者のバランスをとるようにして作成した試験であり、同等の試験であると認識しています」でした。どうして公平性を確保することができるのかについての客観的な根拠が何一つ示されていません。
  質問5の、大学入学共通テストとは試験方法や試験時間が異なる特例追試験とで、試験の公平性・公正性がどうやって確保できるのか?という質問への答えは、「受験生の受験機会を最大限確保することが重要であると考えています」でした。論点が完全にずれていて、質問に対する答えにはなっていません。
  今回の「入試改革を考える会への回答」は、私たちが提出した質問への回答にはなっておらず、受験生や保護者、学校現場の不安の声を無視した内容となっています。大学入試を実施するという重要な立場でありながら、私たちの質問の趣旨を意図的にはぐらかして回答する姿勢は、極めて無責任かつ不誠実だと考えます。

回答はこちらです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?