惑わす女

以前、あんりちゃんからこんなLINEが送られてきました。

「神保町の劇場にやってきた田辺さんが座る前に『私最近愚痴っぽいわよね。すごく反省してるの。直すわ!』って言って床に座ったんですけど、『神保町って座りにくいね。くつろげないわ』ってすぐ愚痴ってました。」

あんりちゃんと私はあまりにも田辺さんがテキトーなことばかり言うので、たまにこうやって報告し合うようになりました。

田辺さんに「なんでこんなに田辺さんの会話って矛盾するの?」と聞いたら

「多分自分の発言に責任を持ってないからだろうね!」

と、責任を持ってないことが伝わってくる返事がきました。(多分、だろうね、などから滲み出ていますね)田辺さんは続けました。

「責任持たなくても大丈夫なことしか言ってないから平気よ!」

私はそれを聞いて昔のことを思い出しました。それは田辺さんと私がまだコンビだった頃の出来事です。(ぼる塾はあんりちゃんとはるちゃんのコンビ「しんぼる」と田辺さんと私のコンビ「猫塾」が合体してできたカルテットです。)

「今月アルバイト頑張ったから自分達にご褒美をあげよう!」

アルバイトを頑張った月(=芸人の仕事が皆無)にご褒美としてムーミンカフェでランチをすることにしました。ムーミンカフェは2人の憧れだったので案内された席にムーミンママの巨大なぬいぐるみが座っていた時は2人してとてもテンションがあがりました。

田辺さん「酒寄さん!ムーミンママの隣に座って良いわよ!」

私「え、良いの?」

田辺さん「写真撮ってあげる!」

私「ありがとう!田辺さんもムーミンママと撮ろうか?」

田辺さん「ムーミンママに移動してもらうの悪いわよ。お疲れだろうから座らせといてあげましょう。」

田辺さんが移動するという考えはないようでした。

田辺さん「ランチはパンが食べ放題なのよね!嬉しいわ!」

メニューを見ながら、田辺さんは「パン食べ放題を考えた人に言いたいわ!沢山食べさせてくれてありがとう!って。」と全く捻らないそのままの思いを語ってきました。

田辺さん「パン食べ放題がつくこと考えてメインを決めたいわね。」

メニューを見てみると、どのランチのメインもなかなかボリュームがありそうでした。

私「そうだね。パスタとかも美味しそうだけどパンが入らなくなりそう。」

田辺さん「せっかくならパン沢山食べたいわよね!あ!酒寄さん!レディースデー限定でスープのランチがあるわよ!今日水曜日だからレディースデーじゃない!!」

私「本当だ!これならスープとサラダだけだからパン沢山食べられるね!!」

田辺さん「しかもこのスープ美味しそうよ!」

私「ね!これめっちゃ良いね。私これにしよう!」

田辺さん「めっちゃ良いわ!じゃあ私この米のにする。」

私「え、今までの流れは?」

田辺さんは店員さんを呼んで一番ボリュームのある米のメニューを注文しました。

田辺さん「あのね、パン食べ放題で食べられるパンの量ってメインの重さに関係ないと思うの。」

私「じゃあなんでスープランチ推してきたの?」

田辺さん「何でだろうね?」

この時の疑問の答えは今も謎のままです。

田辺さん「パン食べ放題のパンの限界は満腹じゃないのよ!伝わるかしら?これ伝わる人とは私旅行できるわ。」

そう熱く語りながらパン食べ放題のパンを田辺さんはおかわりしまくりました。田辺さんは「米とあうパンだね。」と新たな名言を生み出していました。

田辺さん「あーごちそうさま。パン大好きだけど当分パン見たくないわ!」

私「すごいおかわりしてたもんね。」

私たちはレジでお会計をして、店を出ようとしました。 

田辺さん「あ、隣のパン屋でパン買って行きたいから寄って良い?」

って言ってました。


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