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野球選手が夢だった

 野球が好きだ。
 子どもの頃は、父の影響でジャイアンツファンだった。日本ハムファイターズが北海道に移転してきてから、ファイターズファンになった。松本剛選手が大好きで2016年から推し続けている。年に数回球場へ足を運んでいる。
 野球選手になりたかった。
 今のように女子野球が盛んではない時代に生まれた。残念ながらプレイヤーになる夢は叶わなかった。
 入学した高校の野球部は、甲子園に出場したことのある強豪校だった。もしも、もしも夢が叶うなら野球部のマネージャーになって甲子園に行きたい。意を決して野球部の部室に行くと、そこはマネージャーになりたい女の子が殺到していた。当時のわたしは自分のことをブス(もう死語かもしれない)だと思っていた。だから自分には相応しくないなどと勝手に落ち込みその場を後にした。
 縁あってわたしはサッカー部のマネージャーになった。サッカー部は、かわいい人よりも根性のある人を探していたらしい。マネージャーの仕事は漫画のように甘いものではなく、泥だらけになってやるものだから、見た目を気にするような生徒では務まらないというのが監督の考えだった。その考えにわたしは合っていたらしい。サッカーの話はまたいつか書くとして、ずっと野球が好きだった。
 大人になって少年野球に関わる機会があった。ルールはわかっていたつもりだったが、小学生の野球はプロ野球と違い、予想外のプレーも多くスコアをつけるのに難渋した。大きな大会では憧れのウグイス嬢も務めた。少しだけ夢が叶ったような気がした。

 今年転居をした。冬から春にかけてとても落ち込んでいた。思い切ってCSの野球セットを契約した。セ・リーグもパ・リーグもファーム戦も視聴できる。録画機能を使えばいつだって好きな野球を見ることができる。
 野球選手にはなれなかった。
 テレビ中継が始まった。推しは2番スタメン。5/23は現地観戦だ。
 ヒット一本、ホームラン一本で人生が変わる選手に自分を重ね続ける。逆点満塁ホームラン。そんな日が来ることをまだ夢見て、用意していたポテトチップスの袋を開けた。先制タイムリーヒットは万波選手。炭酸の効いたコーラがわたしの喉元を通過した。

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