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クリエイティブの死

デザイナー側から見た
広報媒体や広告界隈でよくある話です。w

結局のところ、他の意見や思惑で、「これいいですよね!これで行きましょう!!」という担当者とデザイナーの仕事ベクトルじゃなくなるなら、もうその案件はもうダメなんだということなんですよね。

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デザイナーと担当者がいいと思ったものには、さまざまな要因で命が吹き込まれます。
その媒体自体が枝葉を付けて、作り始めよりもさらに素敵なクリエイティブに育ってゆくことがあるのです。
そうなる条件として、やはりクリエイティブが主導権を持って進められるかどうかで、そこに複合的に存在する企画のベクトルやクライアントへのアピールパーツは当然必要なのですが、そこに囚われてないことが重要で、クリエイティブの成長とともにそこは変容していくのが、最ものちの効果を生む制作過程だと思うのですね。
営業的に話しやすい内容や、型にはめてゆくギュウギュウのロジックを優先するあまり、クリエイティブを削って収めてゆくなど、他のディレクターやプロデューサーや営業が方向を変えてしまう案件はもうそこで命が終わるのものなのです。
本当に僕の経験上、間違いなくロクなことにはならないわけでね。
もちろん最後まで手を尽くすし、その望みに限りなく近いものを仕上げますが、それがプレゼン案件なら間違いなく通らない。
ほんと見事にすべからく通らないですから。
しかもそういうことって意外と多いから厄介なんですよね。笑

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僕がこれまでプレゼンで獲得した案件はかなりありますが、
そのすべてが、担当者と僕がいいねこれ!と思って作っていったモノだし、
逆に、獲得できなかったモノのほとんどは、
ディレクターやプロデューサーや営業が考えた方向や味付けの案件で、
デザインのインパクトやテイストの効果はまったく発揮できないモノたちです。
いつもその工程や制作のベクトルに深い痛みと絶望を感じてきたんですよね。
本当に大きな溝なんだと思います。
何か自分の功績を移植したいのか、それとも何にもわかってないのか、はっきりとした理由や原因を特定することは困難なのですが、
そもそもの話で僕にクリエイティブを頼んでくれたのに、途中でそうなることは本当にやめて欲しいといつも思っています。
最初からそういう案件だとわかっていたら、丁重にお断りも出来たであろうに、終わる頃には関わる全ての人が苦々しい思いで終わるという案件になりがちですから。

「それ、僕に頼んだのはなぜですか??」

明らかなクリエイティブの死を目の当たりにしながらのフィニッシュほど悲しい結末はありませんからね。。

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それに比べて出版の場合はどうかというと、
同じように編集長や営業が存在しますが、
広報&広告界隈に比べてかなりクリエイティブが守られる世界なんですね。

特に担当編集者は、デザイナーのクリエイティブを信じているような人が本当に多いと思います。
そこにどこにでもよくいる「デザイナーはオナニー野郎」だと思ってるディレクターやプロデューサーのような、自分の狭い価値観を正義としている風情はあまりなく、自分の企画や担当企画がどういうクリエイティブと出会って育ってゆくのかを楽しみにしてる感じもあってね。

もちろん、担当者は楽しみにしながら書籍が仕上がってゆく過程にワクワクしてても、編集長や営業が力を持ってて、一過言しないと気が済まないそういう人たちを経由しないといけない現場もあるにはあります。
でもそういう出版社での仕事は、元々クリエイティブを大事にしてない現場なので、自ずとクリエイターへの発注は続きません。
そして、そういう現場を力ある編集者はいつか離れてゆくものですからね。

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多くのクリエイティブの死に立ち会ってきました。
なので、そういう現場でも仕事は完遂しますし、ちゃんとしたものを提供し、納品供養をしてきました。
僕は芸術家ではなく職業デザイナーだということはよくわかってますから、そこは問題なくこなせてしまうものなんです。

なので、何をもってクリエイティブなのか、なんて議論は吹っ掛けないでいただきたい。
立場も違えば意見も違うだろうし、ここで語った側の人たちは自己の正当化や自己擁護をしたい場合もあるとは思いますが、この場は僕の領域なので議論は必要ありませんから。

わかってる人がわかってくれればいいし、まあ言ってみれば、1デザイナーのただの個人的な愚痴以外の何物でもありませんからね。笑

そして明日からも、たくさんの死を弔って生きてゆこうと思います。笑

僕が生み出しそうになった素敵な(はずだった)クリエイティブの子供たちよ。
天国でクリエイティブの綺麗な花を咲かせて待っててくださいな。w
僕もいつかそこに行きますから。笑



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