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トラック名のひと工夫で見えてくるもの

DAWで作業する時、トラックに名前を付けたりカラフルに色分けしたりして思い思いにトラックを整理していることだろう。

自分が作業しやすいのが1番なのだから、完全に好みでセッティングしていけばいい。俺の知人には、上から順に赤橙黄緑青......とレインボーカラーにしている人もいる。ゲーミングDAWか?

でもここでひとつ、手間とも言えないぐらいのワンポイントを加えてやると、曲作りの上でメリットになることが沢山出てくるので、なるほどと思ったら参考にして欲しい。

【トラック名は「プリセット名」にしよう】

配信やスクショで見る限り、多くの人がトラック名を「エレキギター」とか「Pad 01」とか、パート名だったり大まかな音色の総称で割り振っている。

確かにこれは一見してどのパートかすぐ分かるから使いやすい。だが、せっかく買った高い音源をもっと使いこなしたかったら「プリセット名」で割り振るべきだ。

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上図は実際にトラック名を、インストゥルメントの中で鳴らされているプリセットの名前で名付けた画像だ。

あなたが機材に詳しい人ではなく曲作りが上手い人になりたければ「MassiveXはSylenth1よりもスペックが〜〜で〜、Serumは〜Falconは〜」という話ができる必要はなく、自分の持っている道具一つ一つに精通していればいい。

その考えでいくと、音色を出す部分において「この音(プリセット)はこういう感じでこう使える」というのが頭の中で結びついているというのはかなり大事な能力だ。人の脳というのはサウンドそれ自体や名称単体よりも、それらを紐づけてやった方が何倍も覚えやすいという構造をしているので、検索しやすさを上げるためにも、名前まで一緒に覚えていると曲作りがかなり捗る。

だからトラック一つ一つに今鳴らしているプリセットの名前を、多少めんどくさくても付けるのだ。ちゃんと各プリセットの名前と実際の音色を記憶できていると「ここではDubrillを使おうかな」「低音はMinimoog004かな」といったように、サウンドの引き出しにサッと手を伸ばせる。

そういったプリセットの名称は、もちろん他の人間には言っても全く伝わらないが、自分でガンガン作業を進める分には問題ないだろう。ブツブツ自分にしかわからない呪文を唱え、あーでもないこーでもないと呟きながら音を並べるのだ。


もしあなたがDTM初心者なら、まずシンセというのはどんな音を鳴らせるポテンシャルがあるのかわからなくて四苦八苦しているかもしれないが、トラック名に「sine wave(サイン波)」とか「super saw(スーパーソウ)」とか書いておいたら、「ああ、こういう音がこの波形から出てくるんだな」というのを文字説明じゃなく弾いた耳で覚えられるのでより有効だ。

ちなみに、トラックカラーは「音源別」がいいと思う。俺の場合Serumなら緑、ドラム音源なら青、といった具合だ。特にこだわりがないならこれでやってみてほしい。
1つのソフト音源でどれだけの幅の音色が作れるか実感して、バカスカ買い物しようという気が起きなくなるかもしれない。

【「パート名」で割り振ることとの違い】

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多くの人のDAW画面は、配色や位置こそ違うものの上図みたいな感じだろう。このトラック名を前述のように変更してやることには、実はもうひとつメリットがある。

エセ心理学的な俺の考えなのだが、トラック名をパートで割り振っていると、例えば「Bassと名付けたトラックには低音しか担当させない」というような思い込みが無意識に生まれ、そのトラックから低い音以外の音を出そうとする柔軟さが鈍くなるのではないかと思う。

ベース音源と銘打ったソフトから鳴らされる音でも、音程の高い位置にある鍵盤を弾くと良い感じのLeadや、一発ネタの効果音が出てきたりする。それなのに「これはこのパートのトラックだから」と限られたオクターブの鍵盤しか触らなければ、そのソフト音源の3分の1ぐらいしか使っていないようなもので非常に勿体無い。

これが「このトラックは〇〇っていうプリセットから音を鳴らすトラックだ」という認識になれば、そのプリセットは可聴域の限り変幻自在に音程を行き来できるようになり、アレンジの幅がグッと広がる。音色以外の要素との連携もフレキシブルにできるようになって、音源が生きる。


このように、ちょっとした表記に気を配るだけでDTMの発想がグッと豊かになる。できるだけ金を使わないように、もっと今持っているもので最高のモノを作れるように、みんなも試行錯誤してほしい。

俺もこういう細々したテクニックはまだまだ開発中なので、「こうしたら便利よ!」というのがあったら読んでる人も教えてくれ。

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