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アフタートーク〜みなとまちのうたコンサート〜


みなとまちのうたプロジェクト

鍵盤楽器と声を用いたアンサンブルユニットのmica+hachi。「みなとまちのうた」をテーマにした彼女たちの楽曲制作過程を音と文字で綴った全5回シリーズ。今回は、その番外編として、プロジェクトの締めくくりとなったコンサートのダイジェスト映像と、その直後のトークをご紹介します。
聞き手は、港まちづくり協議会の古橋、アッセンブリッジ・ナゴヤ(以下:アッセンブリッジ)音楽プログラムディレクターの岩田、アシスタントの了徳寺でお送りします。

これまでの記事はこちらから ↓   

第1回:はじまりのオトケシキ 


第2回:その音楽はどんなカタチで届くのか? 


第3回:みんなが口ずさめるようなきっかけを

第4回:うたは生まれて育つもの〜「変わらない1日」のはじまり

第5回:つながりあう「点と線」




ライブ版note

mica
今日はなんだか、うまく話せませんでした(笑)
演奏に入ったら緩むんですけど、MCになったら緊張しちゃって。「何からどう話したら伝わるんだろう?」って頭がいっぱいになっちゃっいました(笑)

古橋
確かに、今日は珍しくというか。でも、最初に金剛寺でコンサートしたときには、MCもとってもスムーズでしたよね。

mica
あの時は気負いもなくて。でも、今回はプロジェクトのまとめみたいなものを勝手に背負ってたんですよ。

了徳寺
それだけいろんなことがあったからですよね。

mica
しかもプログラムがすごい短いからあっという間で。でも言いたいこともいっぱいあって…。とはいえ気づけば1時間くらいはやってたんですよね?

古橋
「最後の曲です」って言ったら、お客さんの方からも「え!もう?」みたいな声もあがってました。

了徳寺
ほぼ半分くらいは、話してたんじゃないですか?普通のコンサートではありえないですよね。でも全然退屈じゃなかったです。そしてあっという間でした。

mica
まだ客観視できないですね。

岩田
noteを読んでるような感覚でした。曲があって、お話もあって。だからライブ版のnoteみたいな、そんな感じでしたよね。

mica
なんかそこの重心が定まらないまま演奏に出ちゃって、演奏の時はやりたいことも明確だからいいんだけど、お話になったときに、どれぐらいnoteで話したことを言うかとか、でもお客さんともお話をしたいしとか、遠山さんのこととか、触れたいことだらけで、いっぱいいっぱいに(笑)。結果、hachiさんに頼りきりになってしまった。

hachi
ふふふ。ほんと、micaちゃんにしては珍しい。

古橋
そうだったんですね。コンサートの前に偶然ビルに来てくれて、その場で約束して参加してくれたお客さんがいたでしょ?あの方なんか、めっちゃ楽しんでましたよね。

mica
名古屋弁で「よかったわー」って帰っていかれましたね(笑)

hachi
飛び入りで聴いてくださるのは、とてもうれしいですよね。


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みなとまちのうたが


古橋
会場には、もの凄くいい雰囲気が流れてました。
今日のコンサートを見ながら、「みなとまちのうたができたなぁ」って思ったんですよね。

了徳寺
ですよねー。めっちゃそう思いましたー。

mica+hachi
へー。うわー、嬉しい!

hachi
どんな風に感じたんですか?

了徳寺
なんだろう?「港で演奏するからこの曲を選びました」みたいなのとは、比べ物にならないフィット感がありました。

mica
物理的な滞在はできなかったわけですけど、その感じは出てた?

了徳寺
めちゃめちゃ出てました。コンサートを聴きながらすごく思ったのは、確かに滞在はできなかったけれども、今回のnoteの連載を通して、たくさんの言葉を交わしたじゃないですか。それこそズームミーティングのタイミングもそうだし、noteにアップするために書かれた記事を何度も読み込んだじゃないですか。それで自分たちが話した内容を何度も何度も…なんというか、自分たちの言葉を何度も何度も繰り返しローディングしたというか、そのおかげでどんどん深まっていったものがあって。それが結果的に「うた」って表現のところに結びついたのかなぁって思います。そこの部分は、他とは比べものにならない共感があったとすごく思います。
それこそ、まち協スタッフの岡西さんが、帰り際に、「めちゃくちゃ良かった」って言ってくれて。僕も嬉しくなっちゃいました。

古橋
岡西もめちゃ楽しそうでしたね。岡西は、しかも今度「点と線」をモチーフに「セン」という名の会社を立ち上げたんです。「よかったね。会社の歌ができたね」て笑ってたんです。

hachi
ええー!そうですか!!

mica
わー、嬉しい!ぜひ使って下さい!!

古橋
うちのスタッフたちは、実際には僕が忙しそうにしているのだけは知っていますが、このプロジェクトで起きている事の詳細までは、僕も伝えられていないわけです。でも、今日のコンサートを見て「2年間お疲れ様でした」みたいなことを言ってくれて、「あぁ、伝わったんだ」って嬉しくなりました。「ライブの力」って言うか。

岩田
それがやっぱり言葉じゃなくて音楽だから届くものもあるんですよね。

hachi
演奏も金剛寺の時のとは違うものがありましたよね。

mica
たしかに。それは全然違いますね。

古橋
何が違ったんですか?

mica
まず、しゃべりで緊張する感じが違う(笑)。音で表現する方が簡単になっている。そこがすごく面白くて、MCで緊張するってどういうことよ?って。
いつもは、MCはmicaちゃんに任せておけば大丈夫って言われるのに、すごく緊張してて(笑)。

hachi
お客さんを前にすると心がパカーンと開いて、コミュニケーション能力を大いに発揮しているのがmicaちゃんのいつもの感じなんだけど、確かに今日は硬かったかも(笑)。

mica
だから今日は、微笑みながら「hachiさんお願いしますね」みたいな(笑)。それだけ情報量が多くて頭がパンクしてるんです。そっちに行ってはダメですね。

古橋
いやいや、僕はその感じも含めて、何ならお客さんの方が曲間を心配している感じも含めて、あの場にある空気感がすごく良かったです(笑)。

mica
私は、もっと古橋さんにも喋って欲しかった〜(笑)。


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行き先の見えない船

岩田
noteのこれまでの連載をあの場にいた人たちにも読んでいただきたいですね。お二人のことを知らなかった人も、知っていた人も、あの活字がお二人の声で再生されると、きっとコンサートの意味合いもまた変わって来るでしょうし。

mica
そうですね。それ最後のご挨拶でも触れてくださってましたよね。

hachi
本当に。彩子さん流石だなあと思っちゃいました。

岩田
いやいや、せっかくまとめたわけだし、読んで欲しいなぁって。そしてデジタルで再生される音と、今日のコンサートで体感した音はまた全然違うわけだし。やはりそこが生の音楽の素晴らしさでもあるし…。

mica
そうそう。

岩田
でも、そしてそれをデジタルや言葉として残すってことが、今の時代にしかできないすごく大切なことでもある。だから両方を共有してもらえると嬉しいですよね。

mica
なんか、今日のリハーサルのときの了徳寺さんの感じを見ていて、「あーnoteでやってきたことが生きるんだ」ってすごく思ったんですよね。
了徳寺さんが「なんか〜やっぱりずっと聴いてきたんで染み入ります〜」とか言ってくれて(笑)。

了徳寺
それこそめっちゃ聴かせてもらって。リハを見てると、お二人が音楽において、それぞれの曲で大切にしているところが垣間見られて「あーなるほど!そういうことかぁ!」みたいな。。かなりマニアックなんですけど、もう本当に何度も聴かせて頂いていたので、僕独自の勝手な解釈に気付かされたりとか、その差とか。また違う深さみたいなものに感動させられたりしました。

mica
それって普通は体感できないじゃないですか。文字でずっと積んできて、しかもディスタンスがあって物理的には会えなくて。普通はもっと早いスパンで変えたりだとか、それこそ制作目的で集まって、そしてさようならみたいなことが繰り返されるのが通常のクリエーションで。その中で、今回みたいにほんとに行き先の見えない船に乗せられることってあんまりないんですよね(笑)。

古橋
すいません(笑)。

了徳寺
いやいや。その「行き先の見えない船」って言うのは、ポジティブな意味ですよね(笑)。でも、今日の会場に行った人たちは、MCでその言葉を聞いて「行き先が見えない?大丈夫なの?」って反応もあったから、やっぱりすごく新しい価値観なんだなって改めて思いました。

mica
そうそう。だからちゃんと伝わったかどうかが不安です。

了徳寺
いやー、だからやっぱりnote(笑)読んで欲しいなぁ。

古橋
皆さんと話した言葉を文字化していくのは、とっても面白かったです。

mica
本当にいい経験でした。だから、さっきも言いましたけど行き先が見えないのは本当にポジティブな意味で、先が見えないまま出る船ってあんまりないんですよ、しかもクリエーションが目的で。

古橋
ふふふ。今日の遠山さんは、めちゃくちゃ楽しそうでしたよね

mica
見えなかった〜(笑)。

hachi
遊んでました?

古橋
めっちゃ遊んでましたよ。

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岩田
同じことですよね。お二人が音で遊んでいることと。MCの中で「3歩進んで2歩進む」って話題が出た後に、ピアノ鍵盤を描き出したから、あーそうか、「3(白鍵)と2(黒鍵)か!インスピレーションがあったんだ」って。それに、あの遠山さんが描く絵を見ながらお二人が演奏されたらまた、違うインスピレーションが返って行くだろうしとか。

mica
岡西さんが、「これで終わりなんですよね?」って言うから、「いやいや終わりにしたくないんで、次は私たち見ながらやりたい」ってお伝えしたんです(笑)。即興だって、視覚情報から広がる展開もあるだろうから、もしやれたらすごく楽しいだろうなぁって思いました。

古橋
ではその時は、また今回のお客さんにも声をかけなくちゃ。

hachi
今回のコンサートにも2年前のお客さんが来てくださってましたよね。そんな風につながりが続いていくと嬉しいなぁ。まさに点と点がつながって線になる、ですね。

古橋
行先の見えない船にお客さんも含めてみんなで乗り込んで、お互いに影響を与え合いながら旅をするのって楽しいですよね。



「音楽は難しい!」の先にあるもの

mica
今回のプロジェクトは、アッセンブリッジの中でも音楽の中でもクラシックではないし異色ですよね。サウンドブリッジとも違いますし。

岩田
えっと、現代音楽の新曲初演だとかはありましたね。でも、確かにそれはもっとコンテンポラリーな企画だったし、レジデンス企画もありましたが、お二人みたいなものではなかったですよね。なんというか、「心は滞在型」みたいなのはお二人だけだったと思います。

古橋
心は滞在型、ほんとだよね。

mica+hachi
おーーー!

mica
心は滞在型、いいフレーズ。流石ですね。

hachi
ですね!

古橋
お!メロディ来た?

mica
なんですか?メロディ来た?って(笑)

古橋
いや、だって毎回面白いから。お二人の受け取り方が。

hachi
メロディはともかく、次の企画の種というか点というか。そんな期待が膨らみますね。

古橋
僕と彩子さんは、いろんな音楽企画を通しながらの裏目的を画策してて(笑)。難しい言い方をすると「街の人の観賞能力をあげるにはどうすれば良いか?」って問いを共有しています(笑)。そのことをずっと考えてるんです。よく街の皆さん、僕も含めてだけど、特にクラシックとかは「難しい、よくわからない」って言ってしまいがち。でも、本当は「いいなぁ」って感じたりするものもあったり、その感性は0じゃないはずで。

岩田
好き嫌いの話でもいいんですよね。だけど、なぜ好きなのか、なぜ嫌いなのかを言葉にするとか、その感覚を大事にするとかって言うことを、もっと自分で深められるといいのかなあって思うんです。どうしてもわかりやすいほうに行ってしまいがちだし、そもそも自分の感覚を言葉にするって言う事は難しいことなのかもしれないですが、でも例えば、今回の参加者の方々の中にも、偶然巻き込まれて、いい音楽に出会えた人っているはずなんですが、それを言語化したり、自分がいいなぁと感じたものに近づいていく方法を知らないと、せっかくの機会が失われていってしまう。本当は好きかもしれないものに出会いながら、結果、苦手なものになってしまうなんて本当にもったいないです。音楽家は、音楽が好きだし得意だから、そういう人達の気持ちがわかりづらいところがあるんですが、そちら側にリーチしないとって思ってて。

mica
なるほど。

岩田
特に今は、手短に聞きやすい音楽が手に入ってしまう。無理して井戸水汲まなくても、蛇口から水道水が手に入るように…。でも、「天然水もありますから」みたいな(笑)。音楽家が本物の音楽を届けられる状態が用意できれば、それを本当に必要としている人に届けられるし、その選択肢になれるかもしれないんです。

mica
そうですね、本当に。こういうことがもっとやれたらいいのに。意外と少ないですよね。

岩田
まぁ、1人じゃできないし、いろんな理解者がいてくれないとできないことです。

mica
確かに。港まちがすごいのは、その基盤があることですよね。こんなところが名古屋にあるだなんて知らなかったです。もっと全国に発信していいことだなと思います。

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ピアノはすいません…

岩田
私は、音楽と人との関り方を探っていて、お二人の音楽はキャッチーだし、もしかしたらわかりやすいって言う人もいるかもしれないけれど、でもやっぱりすごい感性だし、もともとの実力が全然違う。他にもポップスとかわかりやすい音楽をされている人っていますけど、いや、ジャンルではなくて人だから、比べることができないのかもしれないですが、演奏のレベルはもちろんですし、耳の使い方であるとかが、格段に違いますよね。私もそれなりに聴いてきたので、その違いはわかるつもりです。

mica
わー!嬉しい。

hachi
嬉しいね!

岩田
もともとの実力がある方達ですから、でも人ってそこはわかんなくて、蘇州夜曲も誰がやってもいい曲だねみたいなことになる。けど、やっぱりその見せ方とかが全然違う。本質を理解しその表現もできている方だから、ご紹介したいなぁと思うんです。…だからなんか今日のピアノはすいません(汗)

mica+hachi、了徳寺
(爆笑)

古橋
???

mica
私も元々は、環境が整っていて、本格的な音楽をきちんと提供するための現場にいました。にも関わらず、今はある意味わかりやすい種類の音楽表現を選んでいるような人間なんです。なので、環境とかにはもうこだわりがないというか、まぁそれでもやるというか。やれることは同じなんですよね。そしたら、届くことも本当は同じはずなんですよ。だから、「何?このピアノ音がずれてるじゃん、こんなんで私に演奏しろってどういうこと!」みたいなポイントは、私の中にはもうないんですよね…。まぁ正直なところは、今日ピアノを触ってみて最初は少し驚きはしましたけど、すぐに忘れてしまった(笑)

hachi
確かに今回、調律していないピアノだったから音が狂っていましたが、私も全然気にしないというか。むしろ、その狂っている音が「かわいい音だなぁ」みたいな(笑)

岩田
いやいやだから、そういうふうな耳の使い方というか、咀嚼する聴き方ができるし、その音を活かす技術もお持ちだから。

mica
それより、この話ができる方々とお仕事できたこの現場が何より幸せでした。そこのことが、共有できない現場の方が多いのが常ですから。

岩田
確かに。私もチェロを演奏しに行って座らされた椅子ローラーがついてたり、しかも船の上だったりとか(笑)

mica
えー!

hachi
それはちょっと凄すぎる(笑)

岩田
でも笑顔で演奏みたいなね(笑)


一同
(爆笑)

mica
現場にトラブルなんて付き物だから、気にするポイントがそこじゃなくなってくるんですよね。やっぱり、どう楽しめるかだし、聴いていただく人にどう楽しんでいただけたのかってことが大切なんです。
だから今回のピアノのことも、演奏終わってから、音響の方に「すいませんでした」って言われてから、思い出したくらいのことで。

岩田
ですよね。私もご挨拶させていただいた時に、何もおっしゃられなかったから、スゴっ(汗)と思って(笑)。私は、コンサート始まって一音目を聴いた瞬間に冷や汗で。これ以上狂いませんようにって祈り続けて(笑)。特にミカさんパートの高音がね。もうホントすいませんでした。

古橋
あのー、今日そのことに気がついていた人は何人くらいいたんだろ?ちなみに僕は、全く気がついていなくて、今この瞬間まで知りませんでした。調律だってしてましたよ。

mica
うちの母はわかってたでしょうね。

hachi
おそらくその道を通って来た人達にはわかったでしょうね。でも、私みたいのもいるから…。

岩田
いや、ほんと弾き方でカバーしてくださったから助かりました。ピアノは、空調や移動でもズレてしまうこともあるそうです。本当にすいませんでした。

mica
hachiさんとハモらないところでも、ハモってるみたいに聞こえちゃうから、鍵盤へのタッチを柔らかくして、音が立ちすぎないようにして…。

古橋
そんなことがおきてたんですね。

mica
いえいえ、とっても楽しめました。

岩田
なんでも味方につけていけるようにならなくちゃって改めて。

hachi
私たちなんでも楽しんじゃうタイプ(笑)。

古橋
hachiさん、意外と心臓が強いですよね(笑)。

mica
hachiさんは本当になんでも行けちゃうんです。私も本番では思ってもない方向に行っちゃうことがあるんですが、hachiさん全然平気でついて来てくれるし、逆に「もっと行くよー!」みたいな(笑)。すごい安心感があります。

hachi
今日も楽しかったなぁ(笑)。あ、そうそう、今日は「土曜市」(:港まちづくり協議会が主催する月一回のマルシェイベント)が開催されていたので、コンサート前に遊びに行ってきたのですが、micaちゃんが参加している「井のいち」(東京練馬区にある石神井氷川神社にて開催されているお祭り)で、神社の中でクラフト作家さんの出店があったり、神楽殿でのライブで音楽を届けるというイベントをやっているのを思い出しました。そんなのも港まちやれたら楽しそうだなぁって思ったんです。
そしたら、さらにいろんな人たちがライブに来てくれるかもしれないし、マーケットを楽しみながら演奏も楽しんでもらえるかもしれない。今日の雰囲気を見ていたらもっとやれそうな気がしたんです。

古橋
いいですね。僕らの構想とも重なります。

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どの扉をノックすればいいのか?

hachi
とにかく今日は、コンサートができて本当に良かった。今回のコンサート映像では、今までのnoteで聴いてもらっていた音源とはまた違うライブ感を味わってもらえたら嬉しいなぁって思いますね。

岩田
noteの読み方も変わるだろうし、せっかくだから読んで欲しいですよね。でもアクセスできない人もいるだろうし、その辺はまだ課題ですね…実際文字量も多いですから。でもそれだけの情報が、2 、3分の曲におさまっているっていうのが音楽のすごいところ。

古橋
確かに音楽ってすごい。本当にそう思います。

岩田
だから受信者さえ開いていれば、奏者の思いとか、作曲家の意図とか、もっと言えば、お二人でさえ上手く言葉にならないものとかさえも、もっと伝えられるんだろうって思います。

mica
今回もそうなんですが、彩子さんがそうやって私たちにかけてくださる言葉が、私たちの光になっていて。自分たちがしていることって、確かにキャッチーな音楽なんですが、別にポップスを届けたいわけではないんですよね。わかりづらいかもしれませんが。他でも様々な音楽を手がけていますが、今回やらせていただいたような、hachiさんとのクリエイションが、実はとっても面白いし、今後も続けて行きたいベクトルなんです。だから、今回お声掛けいただいたのも本当に不思議なんですよね。
今1つ、彩子さんに聞いてみたいのは、こういった種類の音楽は、どういうところに求められているのかどこに届けると良いのかってことなんですけど…。

岩田
病院。手術を待つ人の病院ですね。私の個人的な体験ではありますが、私はそこにすごい違和感がある。「なんでこのBGMかけてるんだろう?」って病院が多くないですか?病院の環境音でやっている人って少ないでしょうし、仕方ないのかもしれませんが…。「モーツァルトかければいいってもんじゃないでしょ」っていうところ、すごくあるんですよね。

mica
なるほど。でも…また未知すぎる。どの扉をノックしたらいいんだろう?

岩田
確かにね…。

古橋
へー。おもしろそうじゃん。やろうよ。

hachi
でた(笑)。また船がでますか?

岩田
あったら良いなと思いますが、私はつくれないです。

mica
私たちはつくれるけど、どこに届けたらいいのかがわからないから。今回のまちづくりみたいなのがすごく良かったんですが、ありものの曲をただ生でやればいいって言うわけじゃないと思うんですよね。


岩田
まぁ病院というのは、たまたまですけど、お二人は場を感じながら作っていけるので、いろんな可能性があって、おもしろそうですよね。

mica
ありがとうございます。ニーズがありそうな予感はするんですが、どこにアプライしていいのか考えちゃいます。まだ、うまく探せてないはないんですが…。でも、その辺のことが、これからのmica+hachiでやりたいことだってことが、この2年間で見えてきたんです。

古橋
それは嬉しいですね。演奏者に新たなインスピレーションやビジョンが生まれたとしたら、それも素晴らしい成果だと思います。

mica
最初に戻っちゃいますが、本当は今日のMCでこういうことをいっぱい話したかったなぁ。。(笑)

古橋
ふふふ。まだ続くかもしれませんし。それは今後の課題にしましょう。

                           おしまい。

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コンサート終了後の記念撮影。

上段左からフォトグラファーの三浦知也さん、古橋、了徳寺、
下段左からデザイナーの小島邦康さん、イラストレーターの遠山敦さん、
hachiさん、micaさん、岩田。

当日も披露された「変わらない1日」アニメーションver.の制作から、コンサート、そして冒頭動画の撮影まで、大変おせわになりました。

◉変わらない1日アニメーションver.はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=1DcAjoD0qKk


プロフィール

mica+hachi/ミカハチ
mica bandoと長谷川久美子による、アンサンブルユニット。主に鍵盤楽器と声を用いる。音が作る空間、「まち」と「ひと」の繋がり、その瞬間に生まれる音楽を大切にするコンサート「オトケシキ 」を筆頭に、日本各地でコンサートやワークショップを行っている。

坂東美佳/mica bando
愛知県生まれ、東京都在住。
鍵盤楽器と声を用いてパフォーマンスや楽曲制作を行っている。2019-2020年六甲ミーツアート「ザ・ナイトミュージアム」、越後妻有「Gift for Frozen Village/ 雪花火」、2018年山口ゆめ花博「KiraraRing」「夢のたね」髙橋匡太作品音楽担当、2014-2018年パフォーマンスプロジェクト「SLOW MOVEMENT」他音楽担当、2018年オリジナルアルバム「Anonymoth」発表。東京芸術大学音楽学部ピアノ科・バークリー音楽院シンセサイズ科卒業。


長谷川久美子/Kumiko Hasegawa
東京都在住。
ピアノの遊び弾きから自然と作曲をはじめる。東京音楽大学作曲科 映画・放送音楽コース卒業。ピアノ連弾ユニットHands two Handsとして活動後、映画やCM音楽の作曲、アーティストへの楽曲提供やアレンジなどを手がけながら、池田綾子、松本英子、手嶌葵らのピアノサポートをつとめる。幅広い音楽活動の中、あらためて自身の音楽の原風景に立ち返り、2019年、1st.ソロアルバム「花を摘む」をリリース。


岩田彩子/Ayako Iwata
愛知県在住。
アッセンブリッジ・ナゴヤの音楽部門ディレクターを2017年より務める。生涯学習としての音楽のあり方や、演奏家の社会的繋がりに関心を持ち、コンサート企画や、音楽教育に携わる。

了徳寺佳祐/Keiske Ryotokuji
愛知県在住。
アッセンブリッジ・ナゴヤの音楽アシスタントとして2018年より制作勤務に就く。長久手市文化の家創造スタッフとして作曲・ピアノの業務にあたる。

古橋敬一/Keiichi Furuhashi
愛知県在住。
港まちづくり協議会事務局次長。学部時代にアラスカへ留学。アラスカ先住民族の文化再生運動に触れ大きな影響を受ける。帰国後、大学院へ進学すると共に、商店街の活性化まちづくり、愛知万博におけるNGO/NPO出展プロジェクト、国内および東南アジアをフィールドにするワークキャンプのコーディネーター等の多岐にわたる活動に従事。多忙かつ充実した青春時代を過ごす。人と社会とその関係に関心がある。2008年より港まちづくり協議会事務局次長として、名古屋市港区西築地エリアのまちづくり活動を推進している。

港まちづくり協議会

アッセンブリッジ・ナゴヤ


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