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スタインウェイのピアノにしか成し得ないものは確かにある

毎月調律に伺っているピアノ練習スタジオさんから「1台スタインウェイを入れたい」とご相談があり、お手伝いさせて頂きました。

実は打ち合わせをしていく中で、先方には「スタインウェイ以外の選択肢は無しですか?」と言う提案もさせて頂きました。

と言うのも、その理由のネガティブ側としては「今、市場にスタインウェイの中古の数が少ないこと」

色々な要因が絡んでいますが…スタインウェイを専門に扱っている業者さんに相談してみても、どのピアノも何組かご検討中の方がいる状況。特に時期的なリミットが短いこともあったので、サイズや年代の制約、コンディションも考えるとなかなかに厳しいものがありました。

ポジティブ寄りな理由としては「スタインウェイ以外にも良いピアノはたくさんあること」

もちろんスタインウェイは最高峰のピアノメーカーであることは間違いないですが、他にもスタインウェイにはない魅力を持ったピアノはたくさんあります。練習スタジオと言うシビアな環境を考えると、繊細な古いスタインウェイよりもっと工業的に強いピアノの方が安定して使えて、実は適していると言えなくもない。

それでも担当者さんのご返答は、「やっぱりスタインウェイをお客さまに弾いてもらいたいので、なんとかお願いします」とのことでした。

結果的には、条件にぴったりな良いものを見つけることができ、無事想定していた時期にスタートすることができました。いろいろな方のご協力もあり、本当にありがたいです。

調律がはじまって気がついた

そのお部屋にはピアノを弾いた方が書き込める「感想ノート」が置いてあります。

「深みがあって響きが心地良いです」「タッチのレスポンスが良く弾きやすいです」「試験前にしっかり練習できました」

調律の際には目を通してメンテナンスの参考にさせてもらっています。その中にひとつ、目に止まった一文がありました。

「誕生日プレゼントで弾きに来ました!」

それを見た瞬間、ああ、担当者さんの判断が正しかったと思いました。

世の中にたくさんの良いピアノはあれど、弾きに来ることが誕生日プレゼントになるのはやっぱりスタインウェイだけだなと。

ネームバリューに惑わされずに冷静に、と考えるあまり利用される方の感覚と離れてしまうところだったと、反省です。

この方ひとりのためにでも、このピアノを選ばせてもらって良かったと思います。

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