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さかなの読書記録【2020.07】

そらとぶさかなです。
今年は梅雨が長かったですね。コロナで遠出できないかわりに、ちょっと近所を探検するのがマイブームですが、それさえもやりにくく、なかなかジメジメとした気分が多い7月でした。そして終盤は一気に暑くなりましたね! 展開早い!

さて、七月の読書は、いま書いている(書き直している)作品のための勉強という感じでした。
こんな本を読みました。

■上橋菜穂子、瀧晴巳「物語ること、生きること」
…インタビューから起こされた、上橋さんの人生をたどる本。
なんというか勝手な思い込みですが、すごくスムーズにエリートな道(というイメージが研究者にはある)を進んだ方なのかと思っていたので、実は色々な悩みや迷いがあったのだという事がお話に出ていて、なるほど…と思いました。でも持ち込み作品をブラッシュアップしてそのまま作家デビューって凄いなあ…。行動力がだいじ。
「靴ふきマットの上から、えいやっと飛び出す」というのが非常にイメージしやすい言葉で良かったです。

■蒼月海里「水晶庭園の少年たち」
…愛犬を亡くした主人公が、不思議な少年や人々と出会う事で成長する物語。
ツイッターで見かけまして、表紙や設定が好みで読みました。
石収集について詳しくなれるのと、色んな石についての説明が丁寧で勉強になります。ただ石についての解説は何となく、文章だけではなく絵とか図もあるとわかりやすいな…という感じもありました。解説書ではなく小説なので仕方ないのですが。
石に宿る石精とは実際に会ってみたくなりますね。

■蒼月海里「水上博物館アケローンの夜 嘆きの川の渡し守」
…人生に迷う主人公が不思議な渡し守に出合う物語。
こちらもツイッターで流れてきて、雰囲気が好みで読みました。
主人公と渡し守のかけあいが絶妙で声に出して笑ってしまう。主人公のツッコミスキルの高さが好きです。
しゃべる金魚に動くハニワも出ます!良いですね!そういうの大好きです!人間じゃないもの大好き!
先に感想を書いた「水晶庭園」と全然雰囲気も方向性も違うので、同じ作者さんだと気づかなかったです…。

■岡田淳「二分間の冒険」
…児童文学の勉強で読みました。しゃべる猫の手に刺さった見えないトゲを抜いてあげた事がきっかけ…という、ありそうで無いような読んだことのない感じの異世界への入り方がまず面白い。
ボスである竜を倒す方法が武力では無くてなぞかけという点や、主人公ひとりが頑張るのではなく子どもたちみんなで協力して戦う点などが面白いなあと感じました。
少しだけ昔の作品なのと主人公が男の子という事もあって、男の子の冒険!という雰囲気はありますが、男女関係なく出てくる子供たちみんながしっかり活躍しているのはとても良いなあと思います。

■柏葉幸子「霧のむこうのふしぎな町」
…こちらも児童文学の勉強で読みました、が、めっちゃ良い作品だなあ…! 自分の小さい頃に読みたかった…。
女の子が不思議な町にやってきて、仕事のなかで町のひとびとと交流して、成長するお話です。不思議な町の設定や、住んでいる人達がとても面白くて楽しいですね。主人公の女の子の心情描写が非常にていねいでわかりやすいのがすごいです。
ちなみに同じ作者の「地下室からのふしぎな旅」も前に読んだんですが、そちらはあんまりピンと来なかったので(でも子どもには面白いはず)、この「霧のむこうのふしぎな町」は大人でもわかりやすくて楽しめる作品だったという事ですね。
名作同士をむやみに比べるのは野暮かなあと思いますが、「二分間の冒険」と「霧のむこうのふしぎな町」は同じ児童文学でも全然違う雰囲気があるので、その差ってどういうところから出てきてるのかな~と思ったりもします。

今回、児童文学の勉強で読んだ本が多かったですが、何と言いますか、児童文学を書くのは簡単な事じゃないなあ~!と思います。子ども向けという制約が出来るだけで、一気に難易度が上がる!(大人向けでも難しいですが)
特に子ども目線で書くという点は、子どもがいたり、子どもと関わる事が多い仕事じゃないとものすごく難しい。もう絶妙のかじ取りが必要と思います。
自分の中の子ども人格に「こんな小説どう?」と聞いたりしますが、サンプルが自分しかいないし時代に合わせたアップデートが出来ないですし…やっぱりあんまり良くない。あとさかなの子ども人格は若干ひねくれているから、一般的な子どもが好きな物とズレたものに喜んでしまう…!
まあでも、そう思うと、子どもの頃と今とで、ものすごく時代や世界って変わったんだなあと改めて感じます。変化のスピードが年々上がっているような気もします。

そしていよいよ8月ですね。
かつてない夏のような気がします。平成最後の夏も色々思うところはありましたが、それに匹敵するレベルで、でもおめでたくない雰囲気の、奇妙な夏です。
健康に注意しつつ、創作を頑張っていきたいと思います。