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“プルースト効果”というものを知っているだろうか

プルースト効果

それは、特定の香りと記憶が結びつく現象のことを言う。

街を歩いている時にすれ違った人から香った匂いで元彼を思い出したり、畳の匂いからおばあちゃんちを思い出したり。

あの現象のこと。

みなさんは、好きなアーティストに一対一で会ったことはありますか?

私は一度だけあります。
(その場にスタッフさんもいたけれど)

私には好きなアイドル、いわゆる「推し」がいます。

JO1(じぇーおーわん)というアイドルグループの金城碧海(きんじょうすかい)くんです。

こちらは青森ロケに行った時の金城くん

2023年4月にリリースされた7thシングル「TROPICAL NIGHT」を購入すると、CDにシリアルナンバーが書かれた応募抽選券がついてきました。

初回限定盤A、B、通常盤の3形態を1セット購入しました。
本当は、売り上げと応募抽選券のためにもっと買いたかったのですが、当時の私の財力ではそれが限界でした。(ど貧乏OL)

応募抽選特典にはいろいろあったのですが、私が応募したのは2種類。

【S賞】ショーケースの招待&生配信視聴
通称「ショケ」と呼ばれるショーケースは、彼らのパフォーマンスを生で拝める神イベント。400名限定。(倍率えぐすぎるだろ)
これに応募した人は招待券が当たらなくても、イベントの配信視聴ができるためとりあえずこれに1枚応募

【A賞】オフラインお渡し会(合計9,900名)
サイン入りポスターをなんと本人から貰うことができる。関西、関東、中部会場があり、会場ごとに各メンバー300名。
こちらが本命の特典。
関東会場に2枚応募しました。

当落発表の日は新しく入った会社の研修帰りで、その道中にメールアプリを開くとチケプラからメールが届いていることを確認。
ただ、外で開いたら当たっても外れても、突然発狂する不審者になる可能性があったため小走りで帰宅。

家に着いてメールを開封__

チケプラからのメール

当選していた。

【当選】の文字を見た瞬間、震え上がったのを今でも覚えている。
1/2の確率で当ててしまった。

天を見上げた。
『これは現実なのか…?』
『あの金城さんに会えるのか…?』

まじか____。

会社で先輩が一生懸命研修のレクチャーしているのに、頭の中はオフラインお渡し会で埋め尽くされていた。(真剣に研修受けろ)

フォロワー9人しかいないXで、お渡し会までのカウントダウンポストをしていたので当時を振り返ってみようと思う。

そんな簡単にタヒなないでもろて
股下の長さがおかしい、コンパスかよ
通称「けごすか」と呼ばれる2人
佐藤景瑚(けいご)とのコンビは圧倒的なスタイルの良さで「モデルズ」とも呼ばれる
朝っぱらから推しの幸せを願うオタクになってしまった
ビリビリデニム衣装←やめろ

訂正します。
「毎日一緒にお風呂に入ること」です。

はい?

もう一度言ってもらっていいですか?

「毎日一緒にお風r…(ここで天に召される)

何してたんだよ……
オタクの特技「無い記憶を蘇らせること」
金城さんはライブで自分のファンがどんなに遠くにいても見つけ出す天才です
この辺りから本当に仕事が手につかなくなる
起床即ポストしていた模様(時刻7:49)
ふあふあロン毛時代の金城くんも好きでした
もう限界です

ついに当日。

眠れていない。
JAM(ファンネーム)の妹を連れて、神奈川の会場に向かった。

関係ないが、行きの電車の中で知らん人からエアドロをされた。

知らん人の鍋の写真

豆乳鍋かな。
油揚げ入れるんだ。
って、ほんとにどうでもええ。
送ってくるな。(エアドロ受け入れた自分が悪い)

すみません。脱線しました。

会場に着くと、見渡す限り可愛い女がごろごろいた。(言い方やめろ)

JO1のファンって、まじで可愛い女が多いんですよ。(まじでやめろ)

ついに対面の時

ど下手くそな絵を投下します。(以下)
“き”→金城くん
“ス”→スタッフさん
二重線→パーテーション
ピンク→JAM(わたし)
にもつ→手荷物置き場

絵心ない芸人やらせてもろてます

荷物を置いてからスタッフさんに「どうぞ」と声をかけられる。

私たちの持ち時間は、1人30秒だ。

私は小走りで入場した………途端、鼻腔にウッディな香りが通過し、体全体までその香りで包囲されてしまった………。

これが、噂で聞いていたやつか____

そう、

金城さんは香り大好き人間で有名で、その日の午前中に行われたハイタッチ会や別日に行われた対面イベントに参加したJAM(ファンネーム)がイベントレポをポストしてくれていたのだが、その多くに「めちゃくちゃ良い匂いがした」「匂い擦り付けてきた」(←は?)などというとんでもないポストがあった。

完全にやられてしまった。

なんだこのセクシーな香りは…………

この日まで伝えたいことをたくさん考えてきたのに、シミュレーションまでしたのに、その香りで全部吹っ飛ばされてしまった。

頭が真っ白な私が唯一伝えられたのは

「大好きです」

その一言だけだった。

それなのに「一生応援しててな!」って、優しい声色で笑顔で目の前の私に言ってくれた。

本当は、JO1がやっているラジオに送ったお便りを金城さんが読んでくれたことがあって「バス停にたんぽぽの種植えたの私です!」とか(どんなお便りだよ)「TikTokで碧海の動画いっぱい作ってアップしてます!」とか(noteと同じ名前でやってます)(宣伝すな)「妹に布教されてJO1好きになりました!」とか、いろんなことを考えていたけれど、とりあえず、大好きなことだけでも伝えられて良かったと思う。

30秒経過の合図をスタッフさんにされ、退場するよう促された私はパニックで出口とは逆方向に向かってしまい「こっちやで!」と笑われた。推しに笑われるなら本望である。

そのあとは何が何でも最後の最後まで推しに背を向けないことだけを忘れなかったから、後ろ歩きで手を振りながら退場した。(部活でバックステップをやっていて良かったと心底思った)(当時は『バックステップなんて練習してどうすんねん』と嫌々やっていた)(碧海も手を振りかえしてくれていた)

金城ブースから出て、フラフラになりながら外で待ってくれていた妹と再会した。

そうだ、お渡し会だった、ポスターを貰ったんだ。

すると、ポスターから金城さんの香りがした。(嗅ぐな)(みんなも嗅いだよな?)(すぐ仲間にしようとすな)
妹にも嗅がせて「うわぁ!!!!!ほんとだ!!!!やばい!!!!!」って大騒ぎした。

100均で買ってきた卒業証書を入れるような筒に仕舞う予定だったが、筒の変な臭いが移るのが嫌すぎて「こんなものはいらん!!」と投げ捨て(投げ捨てていません)、別で買っておいた衣服を入れる用のデカジップロックの中に貰ったポスターをすぐさまぶち込んだ。

そう言えばイベントレポを読んだ中に『金城さんの香りに近い香水はこれなのではないか?』というポストを見かけ、帰りにAesopに寄った。

これがその香水

タシットかヒュイルと推測されており、どちらも嗅いだが完全にヒュイルだった。

自分の嗅覚を信じたい。
実績はある。

小学生の頃、家に着き車から降りた時に家から香ってくる匂いを嗅いで夕飯を当てたり、街を歩いている時にパンの匂いを辿って有名な食パン屋さんを見つけたりと自分の嗅覚には謎の自信があった。母親にも「ほんとあなたって鼻が良いわよね〜」と笑われていた。(半分呆れていたと思う)

ヒュイルはウッド系の香りで、そういう類の香りは少し苦手だったのに、金城さんが付けているかもしれないってだけで大好きになってしまった。(チョロすぎ)

店員さんが親切にも「付けて行かれますか?」と言ってくださり、手首に振りまいてくれた。

しかし、永遠に自分から金城さんの匂いが放たれることになってしまった。
なんてこった……………。

それに、対面イベントに香りを纏(まと)ってくるなんて、金城さんって本当に罪である。
プルースト効果が禁止されている世界だったら、プルースト効果乱用罪で逮捕されていると思う。(なんだよそれ)

『僕のこと一生忘れないでね、この香りで思い出させてあげるね』なんて言われているようで(大妄想)つらすぎて地面に頭がめり込みそうなくらい悶えかけた。

帰りに寄ったカフェでも、帰宅した後も、寝る前も、会社に行く前も、ジップロックをほんの少しだけ開けて香りを吸い込んでは幸福を感じていた。(完全にヤバい奴)

その香りは2週間ほどで消えてしまった。
でも、2週間も持続した。
ジップロックってすげぇ。
ジップロックを発明した人に感謝したい。
欲を言うなら(欲しかない)ポスターを保管できるようなポスター用ジップロックを作って欲しい。

今でもウッディな香りを嗅ぐと、金城さんとお渡し会の日を思い出す。

小春日和で暖かい、風の強いみなとみらいだった。(みなとみらいはいつでも爆風です)

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