【若林源三解体新書】#22 ~皇帝のシュートもタイガーショットもただ止めてしまった若林くん・アニメシーズン2ジュニアユース編第3話「プロの戦士!」部分的総括~
……知ってる、大昔から原作読んでるし、よぉ~く知っている。
今回は、若林くんが色々とひどい目にあうのをよく知っている。
それでも見なければならない第3話放送が10月15日でした。
なお、今回のタイトル・「プロの戦士!」
これは原作で若林くんがシュナイダーに対して使っている言葉ですが、この意味合いを紹介する若林くんの原作セリフが全カット。
誰の何がどうプロの戦士なのかアニメではちょっと不明確なうえ、若林くんの「 サッカーは格闘技のはずだぜ! 」の台詞のみが人々の心に残ってしまったであろう回ですが、タイトルと内容を気にしながらアニメを見ている人はほぼいないと思われますので問題ないのでしょう。
というわけで、今回もアニメにおける若林くんの登場シーンなどを原作で振り返りながら総括という名のマイルドで偏頗な指摘をしたいと思います。
☆渡独初日でシュートを止めて皇帝シュナイダーから感嘆されてしまった若林くん
アニメ第3話、ハングブルクvs全日本ジュニアユースのハーフタイム。
若林くんが、ハンブルクでのトレーニング初日を思い返します。
三人のチームメイトからほぼ同時に、シュートの嵐を一身に被弾する若林くん。まったくシュートを止めることができず。
練習という名のいじめのような時間が続きます。
この過酷な様子のコマを見るのもしんどいので、原作の引用はいたしません。
シュートを顔面に受けて吹っ飛んだ若林くんが倒れ込みます。これが小学生の森崎君だったら、もう二度とゴールマウスに立てないトラウマが残ることでしょう。チームメイトは、まあ、時間にしたらもったほうだぜ、行こうぜ、などと言い残してその場を去ろうとします。
が、そこで立ち上がる不屈の魂の男・若林源三。
まだだ、来いよ!もう疲れてシュートが打てないのか!本場ヨーロッパのサッカーはこんなものなのか!と逆にチームメイトを煽ります。
そして、逆上したチームメイト達の渾身のシュートをすべて防ぎ、「 甘っちょろいシュートだぜ 」と余裕の言葉を言い返すのです。
ここで、ドイツの若き皇帝・シュナイダー登場。
(当時)サッカー弱小の東洋からきたキーパーに、ヨーロッパサッカーの本当の強さ・厳しさを見せつけとどめをさしてやろうというつもりなのか、シュナイダーは若林くんの真正面に向かってシュートを放ちます。
それを顔面で受けて止め、ゴールを割らせなかった若林くん。
と、この辺りはアニメも原作もほぼ同様。
アニメでは、シュートを顔面で止めた若林くんに、小さく息を漏らして感嘆の表情を見せるシュナイダー。
アニメだとここで終わっちゃうのです。
しかし、ここで終わっちゃ駄目、絶対に駄目!それだけじゃ、シュナイダーの凄さと若林くんの成長が全然わからないじゃないか!!
この辺り、原作ではこうです。
ここからは比較的ひどいシーンではない、というか名シーンなので、最近も引用させていただいた気がしますが、再びご紹介させていただければと思います。
シュナイダーは、初対決の相手にシュートを止められてしまったことで闘争心に火がつく。
そりゃぁそうでしょう、ドイツの若き皇帝と言われ思いのままにプレイしシュートを決めてきたのに、初対面のキーパーにシュートを止められてしまったんですから。
「 ボールをかせ、ボールだ!! 」とシュナイダーはチームメイトに要求し、若林くんに向けて次々とシュートを放ちます。
一本目はともかく、以降はシュナイダーにまったく歯が立たない若林くん。世界レベルにおける自分の実力不足を自覚し、まずはシュナイダーのシュートを止めることを目標としたわけです。
そのための必死の努力と、成長した今の姿があるから、『 世界を相手にするには、もっと実力をつけて、もっともっと熱く立ち向かわないと到底かなわない、最初は自分だって通用しなかった 』と若林くんは内心で語り、全日本メンバーに対して上から目線の態度に出られるわけです。
逆に、原作のシュナイダー、打てば100%シュートが決まっているにも関わらず、自分の息が上がっても若林くんに対してシュートを打ち続けます。
技能面では自分より完全に劣っているワカバヤシの、どんなにシュートを決められようとも立ち上がり続ける気迫と根性。
ここでのシュナイダーは、勝ち誇る顔をするどころか、ワカバヤシの底知れぬ闘志に驚愕するかのような表情。
こんなふうにして、二人のライバルが始まる。
そして、負けず嫌い同士で競い合ったからこそ、二人の実力が伸びまくった。
その結果、ハンブルクを当時ヨーロッパ最強のジュニアチームと言わしめる功績を生み出すに至ったのです。
しかし、初日にシュナイダーのシュートを止めただけで、彼から一目置かれて終わったかのようなアニメ。
これでは、ドイツに渡った当初の若林くんの負けるものかという気迫が物足りないし、シュナイダーのシュートを止めるほどに成長したこともイマイチ伝わりきらない。
ただただ、あのシュナイダーのシュートを一発で止めて、あのシュナイダーに認められ評価と信頼を受けるGKとなってしまったみたいじゃないですか…………
最初の三人の野郎のシュートの尺を半分にしてもいいから、シュナイダーがシュートを打ち続ける方をきちんと描いてほしかったですね。。。。。
☆ハンブルクのディフェンスを蹴散らした日向君のタイガーショット
原作でのこのシーン ↓ ↓ ↓
タイガーショットは1点の隙が見えれば打てるという特性が全面に描かれ、ディフェンダーの隙間にできたシュートコースを読んだ若林くん。
しかし、コースを読んでなかったら、SGGKでもタイガーショットは取れなかったかもしれない。ここはペナルティエリア内だし、コンクリートを破壊する凄まじさゆえ普通なら絶対に決まるやつだし。
止めたけど、コースを読んでた。
このことで、実は原作では日向君が救われていたとも言えるのです。
アニメでは、1点のスキさえ見えれば打てる!見えたぞ、ここだ!という日向君と、ここだ!とコースを読む若林くんの各台詞はすべてカット。
日向君は、ハンブルクディフェンスの三人を蹴散らすタイガーショットを放つ。
それをがっちり止める若林くん。
──────若林くんがシュート読んでた体裁をアニメで変えてしまったのは何故?
シュートの直前の、全日本のみんなが繋いでくれたこのボール、必ず決める!という、日向君の想いを強調しつつ、タイガーショットという破壊力抜群のシュートを描きたかったのでしょうか?
そもそも、このジュニアユースアニメから見た子達にとって、タイガーショットの1点が見えれば打てるという特徴はよくわからないかもしれない。これは中学生編で強く描かれてることなので………。
というわけで、ここはまあアニメのような描写にしても、日向君のシュートの凄まじさが表れていいのかもしれない、と思いました。
結局若林くんには止められてしまいますが…………。
そして、もっと気にかかるのが……
原作では、あのタイガーショットが止められてしまったことに、実況さん、全日本メンバー、そして試合会場に到着したばかりの翼君が驚愕している雰囲気満載。
………にも関わらず、アニメでは実況さん、「ああっと、止めたぁ…」と比較的静かに一言告げるのみ。
原作のように、あのタイガーショットが完璧に防がれたぁ!!みたいな、『 すごいことが起こりましたぁ!! 』って雰囲気の台詞にすべきじゃない?
だって、何であれ、コンクリートの壁にめり込むあのタイガーショットが完璧にキャッチされてしまったのですから。
…………うーーーーーーーーん?
…………うーーーーーーーーん?
と色々うーーん?と思いながらこの一連のシーンを観ていたのですが、実は、さらにうーーーーーーーん?となることがありまして。
東京工芸大学杉並アニメーションミュージアムにおいて7月22日から10月29日まで開催の『 アニメキャプテン翼展 』。
2018年4月から2019年4月放送のキャプテン翼アニメ及びアニメシーズン2ジュニアユース編の紹介がされていました。
ここに、今回の第3話の脚本の原案と思われるものの展示があったのです。
たぶんですが、アニメーションを見ながら声優さんの声を録音する時の台本そのものではなく、原作から書き起こした脚本案のようでした。
なお、写真撮影は禁止でしたが、完成した台本の現物の展示もありました(中身は見えない状態)。
まさにこの、↑ のシーン、原案らしきものはこのように書かれています。 ↓ ↓ ↓
あ、一応日向君はDFの隙間をめがけてシュート打ったのね?
確かにアニメのシュートコースは原作どおりだけど、相手を蹴散らしてるインパクトが強くて、そこまでわからんかった。
そして、
………原案にはあるじゃないの!!!
実況 「日向君のタイガーショット、初めて完璧に防がれてしまった!」って台詞があるじゃないの!!
アニメ放送、何回見返しても、この台詞ないよ?ないのよ、何故?!何故なの?!
原作のように翼君が一応「 日向くんのタイガーショットが…! 」とは言ってるのですが……。
日本では無敵のタイガーショットが止められてしまって愕然となる様子がイマイチだったなぁ……と消化不良というかまだ食べたりない感じになった私でありました。
というわけで、アニメ第3話の、さすがにそう描いてしまうのはどうなの?というシーンの総括を終わりといたします。
なお、とにかく第1話から、シュナイダーのシーンは、作画や脚本のめちゃくちゃ力と愛情が入っているのは感じますね。
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最後までお付き合いくださり、
本当にありがとうございました。
よかったら また遊びにきてください!
…気になって最後まで見ていただけたら私は充分です……ありがとう(*^^*)💙💚💜