見出し画像

【若林源三解体新書】#23 ~「そんなこと」を経て「女たち」から「彼女たち」へと大人びて品の良い言葉が際立った若林くん・アニメシーズン2ジュニアユース編第4話「ゼロからの再出発」部分的総括~

今回の注目場面は二つ。
一つは、あまり…できれば全然見たくはない、若林くんの渡独当初のチームメイトからの嫌がらせのシーン。
そしてもう一つは、三杉君ばりに女の子達から黄色い声援を浴びるドイツのブレーメンのキャプテン・シェスターの登場シーン。彼のファンの女子達を原作では「 あの女たち 」呼ばわりしていた若林くんが、令和アニメではどうなっているのか。


というわけで、今回もアニメにおける若林くんの登場シーンを原作で振り返りながら総括したいと思います。





☆描写がマイルドで安心した問題のアレのシーン


アニメ第4話冒頭。
見上さんが、日向との乱闘と源三の顔の傷でハングブルクに来た当初のアレを思い出すよ、みたいなことを言います。
ああ、あれは……と若林くんが大人びた声で言葉を返し、アレの回想シーンが始まります。 

そのアレとは、チームメイトによる若林くんへの集団暴行事件(と、文字で書いてるだけでもすごく嫌だわ……)。

シュナイダーにシュートを止める特訓をしてもらっている若林くんに嫉妬したチームメイトの集団に囲まれる若林くん。主犯格はハンスというGKの少年です。
さすがに、ひとり自力ではどうしようもなく………(以下、書きたくないので省略)。


原作では、ハンス達が犯行に及ぶ現場に、若林くんと一緒にシュナイダーもいました。
ハンスはシュナイダーを「 そんな日本人につきあうなんて 」と攻め立てますが、とにかくチームのうまい奴にGKをやってほしいだけだ、とシュナイダーは正論で流します。

(みんな知ってるなら、もはや秘密特訓ではない)
いずれもキャプテン翼 文庫版第16巻より


その後、原作のシュナイダーは、ハンス達の犯行を目にしながらも、彼らを止めることなく現場から立ち去ってしまいます。
子供の頃、連載でこのシーンを見て『 どうして?シュナイダーはどうして若林くんをかばってくれないの? 』と哀しくなったことを、この場面を見るたびに今でも思い返します。


が、今回のアニメではそんなシュナイダーの姿は描かれていません。
まるで、日が落ちて暗くなった頃、シュナイダーとの練習後らしき若林くんのみをチームメイトが待ち伏せした様子になっています。

─── シュナイダーがその場にいない方が、モヤモヤが残らず自然な感じで、非常に良い。

前回の色々な場面同様、子供が視聴することをふまえて、よくないことを目にしたまま止めることなく立ち去るシュナイダーを原作どおりに入れ込むことは控えたのでしょうか


そして、事件の翌日。
若林くんは一人ずつにやり返します。
「 タイマン勝負ならいつでも相手になってやるぜ!! 」という彼の正当な心意気。
そして、一対一なら若林くんの方が圧倒的に強い。
わざわざ一人ずつやり返すのも大変だったでしょうに………でも、卑怯な手段で負かされたのがどうしても許せなかったのでしょう。

いずれもキャプテン翼 文庫版第16巻より


高橋先生は、『 若林とは、異国でどんなに理不尽な目にあっても決して屈しない、半端なくメンタルがタフな男 』だと描きたかった


………のだろうと今では思います。
が、昭和の連載当時は、中学生編でほとんど登場しない若林くんがやって出てくるようになったと思ったら、全日本のメンバーに対して感じ悪い態度をするわ、ドイツではこんなヒドイ目にあわされるわ。
とにかく胸が痛んで眠れない日が続いたのを覚えています。


ちなみに若島津は、明和西小5年生の時に、空手日本一の彼のことを気にくわない6年生の不良グループ(武器を所持している10人)から絡まれ、空手技で容赦なくボコボコに返り討ちにしました。
しかし、不良達に重症を負わせ学校に救急車が何台も呼ばれる大惨事となってしまい、その結果若島津は日向君とタケシがいる明和小に転校することになりました。絡んできた上級生達に原因があるとはいえ、こちらは完全に過剰防衛なんじゃ?と思いますが……。


☆連載当初から、見上さんの中での若林くんの扱いが何回読んでもよくわからない


そんなことより、と自分の過去をさらりとカッコよく流し
ながら、若林くんは見上さんにこう告げます。
原作もアニメも同様です。

「 見上さん 考えてくれましたか 」
「 国際ジュニアユース大会 おれの全日本代表としての出場を 」

キャプテン翼 文庫版第16巻より


考えてくれましたか?という問いかけ。
これは、相手が考えてほしい案件に対する結論をまだ出していない、あるいは相手から結論をまだ聞かされていない状況です。

しかも、この様子だと、案件の提案者は若林くんのように見えます。 

………ここ、昔から何万回読んでもよくわからないんですよね。。。。。。

まず、この時点で、見上さんが若林くんに『 全日本メンバーに世界の壁の厚さをわからせるために、憎まれ役となってほしい 』と頼んでいたことが明かされています。
なお、アニメではハンブルク対全日本ジュニアユースの試合前に頼んでいるようでした。

その頼み事はいいとして、見上さんは若林くんにそんな辛い役目を負わせたうえ、さらに全日本メンバーには入れないつもりだったのでしょうか?
あるいは、メンバーに入れても試合には出場させないという構想だったの?

いくら頼みやすいとはいえ、弟子に憎まれ役を頼んでおきながら、せっかくの世界大会には出さないつもりだったら、ちょっとヒドいんじゃないですか?見上さん。

そのわりには、ヨーロッパ遠征にやってきたGKは、若島津と森崎君の二人のみ。通常、遠征ともなればGKは三人連れて行くはずです。
結局、ドイツにいる若林くんを足して三人にするつもりだったんでしょ?見上さん。

でも、だったらどうして若林くんは、考えてくれましたか? なんて確認しなきゃならなかったのでしょうか……?

ちなみに、アニメ第1話において、三杉君が考えた全日本のフォーメーションについて、

「 あとは、源三だ」
「今ドイツにいる源三が入れば、守りはさらに強固になる」

などと見上さんが述べています(原作では、この源三云々の台詞はありません)。

若林くんを加えることを想定していないなら、源三が入れば、という言葉は何だったんですか?アニメの見上さん。

そして、原作もアニメも、この時点で若林くんの扱いを一体どうするつもりだったのですか?見上さん。

──────と、その前後も合わせて読めば読むほど、若林くんの師匠である見上さんの意図がよくわからないのです。


若林くんが所属するハンブルクとの契約上、この大会に参加できないかもしれないという事情も考えられますが、それは見上さんが若林くんを大会に出すかどうか決めることと次元が異なるものです。

ちなみに、この翌日に所属するハンブルクから許可が出たことが判明し、若林くんは全日本ジュニアユースの一員に正式に加わることとなります。

なお、若林くんがこの提案をした本心と思われるシーンは後ほど出てくるので、そこがアニメで放送された時にまた触れたいと思います。


☆「 彼女たち 」

アニメで素敵に仕上がっていたシーンの原作はこのとおりです。 ↓ ↓ ↓

いずれもキャプテン翼 文庫版第16巻より


ここでの、

「 この女たち 」という若林くんの台詞が、アニメでは「 彼女たち 」とされた

のです。

……彼女たち………かのじょたち………カノジョタチ……カノジョタチ……と

鈴村健一ボイスが私の脳内で延々と「 彼女たち 」とリフレイン…


なお、ドイツのかわいこちゃん達に話しかける石崎君と、「 おまえの顔は猿みたいだってよ 」とさりげなく彼女たちのドイツ語を和訳する若林くんの語学力はカットでした。




そもそも、若林くんは滅多に女と絡まない

ハチマキの刺繍で女子から告白されたり、病気の克服を支えてくれた女子の手を勢いで握ってしまって顔を赤らめたり、外国へ旅立つ時に手作りのマスコットをもらったり、別れ際に密かに想いを寄せている女子が涙を流したり、試合後のスタジアムでプロポーズしたり……というような、女子と絡む描写は一切なし。

何なら、他の主要キャラはそれなりに家族、そして母親が登場するのに、若林くんについては実のお母さんとの会話すら無いし、長い連載の中でお母さんの登場はたったの1コマ
なお、このたった1コマのお母さんは、ジュニアユース編後半の決勝戦の最中に登場。今回のアニメシーズン2でどのように描かれるのか、ここも非常に大きな注目ポイントであります。

よろしければこちらをご覧いただけると幸いです。 ↓ ↓ ↓



連載中、若林くんが直接会話している女性は、若林家のお手伝いさん達と早苗のみ。

若林くんと早苗が話すのは、翼君が早苗との新婚旅行を兼ねてブラジルに続く新天地を探しハンブルクへやって来た時のこと。
人妻の早苗を「 あねご 」と呼び、もうあねごはないんじゃない?、と早苗本人から言われてもさりげなく止めない。

いずれもキャプテン翼 ROAD TO 2002 第1巻より


あねごと呼ぶなと言われたところで、なら翼の結婚相手のことなんてどう呼べばいいんだ?とか思ってたんじゃないでしょうか?


また、ワールドユース大会の決勝戦途中の医務室において、石崎君とゆかりの交際開始の場に意図せず立ち会ったりしてますが、ここでの若林くんはゆかりというより二人に向かって、又は石崎君と喋っています。


女性と言葉を交わすシーンは皆無の分、ドイツの若き皇帝からしつこく自分へのチームの加入を求められたり、楊枝を加えているチームメイトとつるんでいたり。
ファンからの声援は、ほとんどが男声陣からの地を鳴らすようなどよめきや歓声。
彼の活躍に感極まって泣くサポーター達も男性のみと見受けられる。

キャプテン翼短編集 DREAM FIELD vol.1 より


リアルな世の中を見れば、別に彼は女たちに人気がないわけじゃないって十二分にわかりますよね?
にも関わらず、若林くんから家族をも含め女性関係を徹底廃除する高橋先生のこだわりよう。
先生にとって、若林とは女性という女性を全く連想させない人物に違いありません。

だいたいサッカーのことしか頭にないので、彼女も欲しがらないし要らないし作る気ないし(と私は信じています)。

つまり、何を言いたいかといいますと、

そんな若林くんが、直接ではないにせよ女子の存在に言及するシーン自体がものすごくレア

なのです………!!

この女たち、って言いまわしでもいいんですけどね、若林くんらしくて。
でも、アニメでは「 彼女たち 」とよりマイルドで落ち着いた呼び方をしている若林くん。
しかも、原作のとおりに人を指差すのはよろしくないと判断されたのか、アニメでは親指👍で女の子達の方を示している姿がまたカッコイイ………
ここはアニメが素晴らしく描けていて感動感涙でしたね……脚本も作画もcv鈴村さんも、皆様誠にありがとうございます…!!






というわけで、アニメ第4話の、今回は特に脚本と作画と鈴村ボイスに感動しながら総括を終わりといたします。

別に、細かいところを指摘したいだけじゃないのです、感動したらちゃんと誉めたいのです。


────────────


最後までお付き合いくださり、
本当にありがとうございました。

よかったら また遊びにきてください!

この記事が参加している募集

アニメ感想文

沼落ちnote

…気になって最後まで見ていただけたら私は充分です……ありがとう(*^^*)💙💚💜