【若林源三解体新書】#24 ~ようやく決勝でワカバヤシが出る…!とドイツが衝撃を受けるのに、そんな若林くんを遅刻させる脚本は変だから・アニメシーズン2ジュニアユース編第27話「決勝の獅子たち!」部分的総括~
長かったここまでの戦いが終わり、いよいよジュニアユース決勝戦がやってきました。
つまり、春の訪れとともに、若林くんがようやく試合に出る機会がやってきました。
今回の注目場面は、たくさん。
放送時間のトータルの7割くらい。
今回、前半は、若林くんが試合に出ることが決まるまで、
後半は、いよいよフィールドに若林くんが立ったところまでです。
☆若林源三は遅刻をするような男ではないの
アニメ第27話のわりと冒頭。
準決勝のフランス戦から数日、全日本メンバーが対ドイツ戦に向けて練習に打ち込んでいることが紹介されます。
躍動するチームメイト達を腕組みで見つめる若林くん。
練習に参加している様子はまったくありません。
そして、練習後の深夜、みんなが深い眠りに落ちている頃、ひとり眠らずPCにドイツメンバーの情報を打ち込む若林くんの姿がありました。
なお、PCは私物かチームのものか不明ですが、カラーはブラックでした。
この場面、原作だとこうです。 ↓ ↓ ↓
────── 時代が時代ですからね、昭和の連載漫画ですからね。
アニメでは、コンプラ的に少年達の体調を気遣って準決勝と決勝の間の日にちを空け、若林くんの資料がペーパーではなくデジタル化されました。
っていうか、PC打つ現代人の若林くんの姿が見れてとっても嬉しい。
が、問題はこの後です。
いや、本当なら、せっかく若林くんがたっっっくさん登場する回なのに、問題提起なんかしたくないんです、私も。
そして迎えた決勝の朝。
公園らしき場所に、広々とした緑が眩しい芝生の上に見上監督、住友コーチ、片桐さんと全日本メンバーが集合します。
原作だとこうです 。 ↓ ↓ ↓
経験値レベチの人からみんなへの、頼もしすぎる資料。素敵としかいいようのない場面です。
────── ところがです。
なんと、アニメでは奇妙な捏造がされていたのです。
原作ではドイツユースの資料を「 きのう完成させた 」のに、アニメでは「 やっとできた 」ものを「 ついさっき 」スマホに送った、そしてミーティングに遅刻したことに改造されたのです。
────── わかりますよ………
ついさっき、若林くんがみんなのスマホにデータ送った、ってシーンにしたかったんでしょ?
そうしないと、若林くんに言われてみんながスマホ見るって流れにしにくいから。
確かに、大会前からじょじょに作っても、控え選手の分まで動画のリンク貼るとかいろいろ大変な作業で、ミーティングギリギリまでがんばって作った若林くんというのも悪くはないかもしれません。
………けどね、若林くんに遅刻をさせる必要がありますか?
この流れは、本当に余計なアニオリを入れ込んだせいだと思われます。
試合当日の朝、翼君は起きてからまずスマホを確認し、未読メッセージが山のようにあるのを発見。
そして、早苗からの「今日は決勝戦!みんなで応援してるね。」とのメッセージにほっこり笑顔になります。
しかし、若林くんがもし夜のうちにドイツメンバーの資料を送っていたとしたらどうでしょう?
公園でのミーティングの前、この朝一番のタイミングで絶対翼君は見ちゃいますよね。
他のメンバ―も同様です。三杉君あたりもミーティングより前に若林くんのデータに絶対気づいちゃう。
それだとあの集合の場で「 うわ!これ今初めて見た!すごっ! 」って驚きが生まれないのでは?って心配した結果なんですよね?
けど、繰り返しますが、若林くんを遅刻させ、大事な試合の朝のミーティングに間に合わないような男にする必要ありますか?
っていうか、そもそも早苗からのメッセージとかここでいらないんですよ。翼君は、いま、世界大会の決勝ですよ?絶対頭の中はサッカー一択、女子のことなんて全っ然考えないくらいでちょうどいいのが、いい意味でのサッカーバカのサッカー小僧の翼君なのです。
ここでわざわざ、ほんのりでも恋愛要素とかマジで要らない。そんなことのために、逆に若林くんを遅刻させたってことですか?
若林のデータ送信と登場のタイミングどうしよう?あ、そうだ、若林を遅刻させればいいんじゃね?ナイスアイデア!みたいに安易に書き換えたような脚本が駄目なんですよ。
集合時間から何分後に見上さんがミーティングを始めたのか不明ですが、10秒もしないうちに若林くんはほぼ到着しています。
それくらい、実は遅刻してもしていなくても関係ないくらいの遅れ具合。
どっちだろうが結局、ミーティング開始前までに若林くんのデータはみんなに着信しているはずなのです。
でも、誰もスマホに気づいた様子はない。
だったら、ついさっきデータ送信したことにするのはいいとしても、若林くんを集合時間にわざわざ遅刻させる必要なんてないのです。
だから、若林くんが原作どおりその場に最初からいて、
…………とでもしてくれれば、充分違和感なく話は進みます。
若林くんはミーティング直前まで作業をしつつも遅刻はせず時間を守ったことになり、みんながスマホの着信に気付かなくてもそれほど不自然でもありません。
松山君にさらっと言ってもらったように、朝から試合に集中していれば、スポーツ選手はいちいちスマホなんて気にしないでしょう。
何より、事前計画をたてて着実に進めるような若林くんが、以前から少しずつ準備してたのに集合時間に遅刻するような人に描く必要性なんて、どこにあるんでしょうか?
↑ ↑ ↑ 幼い頃より、目標実現に向けて行動をする、計画性に優れた少年だった。
↑ ↑ ↑ 期限に間に合わせる調整能力を持ち合わせる。
(この場合、決勝戦に間に合うように体調を整えること。)
こういう人が、資料の作成が間に合わず大事なミーティングに遅刻してくるなんて、もう違和感しかありません。
しかも、原作からわざわざいろいろ変更してまで。
人のレベルを貶める必要性のない残念すぎる改編が、残念すぎるんです…………。
☆素晴らしい修哲カルテットの台詞の補完
と、若林くんの遅刻というおかしな事態を引き起こした脚本ですが、原作にはないけどこれは嬉しい補足を入れてくれましたね!という部分もありました。
それは、このシーンでの修哲カルテット(井沢君、滝君、来生君、高杉君)の登場と台詞を3倍増くらいにしたことです。
世の中で絶対的少数派と思われる、若林くんと修哲カルテットの関係と絡みを重視するわたしのような人達には、もうエモすぎるってやつでしかありません。
なお、高橋先生はちゃんと、この『 修哲感 』を要所要所でちゃんと描かれています。
原作では、日向君が、若林くんがチームを強くするための憎まれ役をわざと演じていたことを熱く熱く暴露します。 ↓ ↓ ↓
このシーンはアニメでもほぼ同じです。
(猿芝居との台詞は、ただの「 へたな芝居 」とされていました。)
原作における、修哲カルテットの登場はこの程度です。
高橋先生の原作ですら、この程度です。
それが、アニメだとこうでした。
ゴールに立つ若林さんが見たいんだ……!
──── おれたち、とみんなを代表しながら語る滝くんの、何という素直な気持ち!!
出てくれよ、若林さん……!
──── 来生君の、タメ言葉で対等な関係を思わせるのに、やっぱり『さん付け』してしまうほど滲み出る元キャプテンへの信頼!!
やりましょう……!
──── 修哲時代に共にゴール前を守った仲間・高杉君による、必要最低限の文字数でも共感を誘うストレートな言葉!!
出ないなんてないですよ……!
──── さすが元修哲の司令塔、みんなとは違う言いまわしの賢さが、なんかもう井沢君らしい、としか言えない!!
この4人と若林くんは修哲FCという、各々のサッカーの黎明期を共に過ごした小学校でのチームメイト。お互いを幼い頃から知る間柄です。
遅刻の件で?!?!?!となった私ですが、ここを見た時は、ああ………アニメのスタッフさんはちゃんと原作読んでるんですね……!!と思いました。
この4人の言葉を前に、もしかして泣きたいんですか?ってくらい、眉尻下げ気味の切ない顔になったアニメの若林さんがまた可愛いかったのでした。
☆さらに素晴らしい、スタジアムの観客の大歓声
その後、若林くんがとうとうゴールマウスに立つ瞬間がやってきます。
このドイツの衝撃っぷりは、アニメでも正確に再現されていました。
しかも、大歓声付きで…!!
この直前のシーン、スタジアムには翼君に対するツバサコールが鳴り響きます。
アニメでもそのとおり。
これに引き続き、若林くんが登場するのです。
ツバサコールがいったん静まり、その声を発していた観客たちが若林くんの登場で一斉に沸き立つ。
それはつまり、若林くんに対する観客の期待値の表れ
です。
それはつまり、この時点で若林源三というハンブルク・ジュニアチームの背番号1を背負った男がフランスでも浸透している証し
ということです。
その後、全日本ジュニアユースが円陣を組み、今回はそこで放送終了となりました。
というわけで、アニメ第27話は、深い溜息からのエモ感情爆上りなジェットコースター脚本でした。
次回以降は、ポジティブなエモーショナル一択となるようお願いしたいものです。
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最後までお付き合いくださり、
本当にありがとうございました。
よかったら また遊びにきてください!
…気になって最後まで見ていただけたら私は充分です……ありがとう(*^^*)💙💚💜