ミドリのサンタクロース
緑色の帽子がトレードマーク。
お爺さんではないが、若くもない。
黄緑色のバッグを斜め掛けしている。
バッグの中身は、種。
「ここだ!」
と思った所に、おじさんは、種を播く。
古タイヤや、壊れた洗濯機が捨てられて、
郵便受けに、ダイレクトメールやら、チラシやらが押し込まれている。
どうやら、人は住んでいないようだ。
昔は、住人が丹精込めて花や野菜を育てていた場所も荒れ放題。
おじさんは、種を播いた。
それから、何日も何日もたったある日、
荒れ放題の庭に花が咲いた。
近所の子どもが、花を見つけた。
優しい風が吹いてきた。