野点
私は静かにお茶を点てた。
野外でお茶をいただく。
野点。
心中は穏やかではない。
(・・・・・どんな処分が下るだろう。)
墜落前に、私は脱出して助かったけれど、
機体は大破。損失は甚大だ。
(昔の武士なら切腹もの・・・。)
(でも・・・。)と思う。
(先のことは考えずに、今、この一服のお茶を味わおう。
過去も未来も実態のないもの。「今」を生きよう。)
★ ★ ★
人災や天災によって、荒涼とした風景を画像で見ているうちに、なぜかそこで平然とお茶を飲む和服姿のおばあさんの絵が浮かんでくるのです。不謹慎極まりないと思うのですが、形にしたい気持ちが強くありました。
生きているといろいろな事があります。諸行無常。
禅の教えで「今を生きる」という考え方が好きです。なかなかそうはいかないものですが、一服のお茶を楽しむ間くらいは過去や未来、悩みや苦しみは忘れたいものです。