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街角


キャップを被った人が、向こうから歩いてくる。軽快な足取りで。


キャップを被った人が、反対側からも歩いてきた。
お年を召しているのが見た目で分かる。
ゆっくりと歩いてくる。


この街角で、二人はすれ違う。

実は、この二人、同一人物なのである。

若いほうは、お年寄りの50年前の姿。
お年寄りは、若いほうの50年後の姿。

ただ、二人はそれに気づいていない。

お互い、相手をチラリとも見ずに、すれ違っていく。

何の変哲もない街角に、
実はこのように時空がクロスする場が点在しているのだが、
誰もそれに気づいていない。