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誕生日の兄を喜ばせたい妹ちゃん

今日は、大好きなお兄ちゃんの誕生日。朝早く起きて一番最初に

「おめでとう!」

って言わなきゃなんだけど…


彩:スゥ〜スゥ〜…



朝になっても、当の私はそんなことも忘れてベッドでぐっすり寝ちゃっていた。



…や、…さだよ〜

彩:スゥ〜…

ほら、起きて〜

彩:ん…

〇〇:朝だよ、彩。

目を開けると、お兄ちゃんの微笑んだ顔があった。


彩:お兄ちゃん。

彩:おはよう。

〇〇:おはよう、彩。

彩:あっ!

彩:お兄ちゃん、お誕生日おめでとうー!!

ギュッ

〇〇:わっ。

〇〇:ふふ、ありがとう。

ハグしにいくと、いつもお兄ちゃんは優しく頭を撫でてくれるんだ〜


彩:ねぇ〜、彩が一番だよね?

〇〇:え、なにが?

彩:お兄ちゃんに誕生日おめでとうって言ったの。

〇〇:ああ…ごめん、一番じゃないな。

彩:え?

〇〇:日付け変わった瞬間に母さんと父さんに言われたからね。

彩:しょぼ〜ん…

〇〇:でも、夜更かししちゃいけないから彩はちゃんと寝てたんだよね。

彩:うん。

〇〇:だから、朝になってからは彩が一番だよ。

彩:本当!?

〇〇:うん。

彩:いえ〜〜い!!!

〇〇:わっ!

嬉しくて、そのままお兄ちゃんとベッドにダイブしちゃった。


〇〇:危ないってば、彩〜笑

彩:んふふ、ごめんね。

彩:ねえ、お兄ちゃん?

〇〇:何?

彩:一緒に寝よ?

〇〇:まだ眠いの?

彩:うん、ふぁ〜…

〇〇:そっか。兄ちゃんもちょっと眠いし…

〇〇:寝ちゃおっかな〜

彩:いぇ〜い!!


お兄ちゃんが掛け布団の中に私も一緒に入れてくれた。


彩:(あったかい…ふふふ)

〇〇:彩、おやすみ。

彩:おやすみ、お兄ちゃん。

寝たいって言ったけど、本当は全然眠くなかった。

だからお兄ちゃんの方が先に目を瞑って寝てから、私はお兄ちゃんの寝顔を見てたんだ〜


〇〇:スゥ〜スゥ〜…

彩:寝顔、可愛い。

ほっぺ触ったら起きちゃうかな?

なんて思いながらお兄ちゃんのほっぺを突っついてみたけど、

ビクともしないでただほっぺが少し潰れてたな〜

彩:ふふふ。




〜1時間後〜


〇〇:ふぁ〜、ん…

彩:お兄ちゃん、おはよう。

〇〇:ん、おはよう彩。

〇〇:今、何時?

彩:今?9時だよ〜

〇〇:そろそろ用意して行かなきゃだ。

彩:え、どこに?

〇〇:バイトだよ。10時から。

彩:え〜、折角の誕生日なのに?

〇〇:うん、今日どうしても入ってくれって店長に頼まれてさ。

彩:そっか、今日はお兄ちゃんと一緒に居たかったけどな〜

〇〇:ごめんね。

彩:ううん、頑張ってねバイト。

〇〇:あ、今日店からサンドイッチ持って帰ってくるね。彩の好きなBLTサンドのトマト増し増しのを。

彩:えぇ、やった〜!!


バイトに出かけるお兄ちゃんを見送ってから、キッチンに駆け込んだ。


冷蔵庫を開けて牛乳・卵・バターを取り出して、

キッチンの棚から薄力粉と砂糖を取り出して、

ケーキのスポンジを作るのに必要な材料を揃えて

っと!

手を洗って、エプロンをつけて準備よし!


彩:よし、作るぞ〜

彩:帰ってきたら、お兄ちゃんにびっくりさせるだから。

お兄ちゃんにサプライズでケーキ作る為に、色々調べて作ったレシピを見ようっと。



彩:ふむふむ、先ずは…

「湯せん用のお湯を用意する。」

鍋に水入れて、火かけて沸騰するのを待てば良いよね?

彩:よし。次は〜…

「生地を入れる型の底と側面にオーブン用ペーパーを入れる」

彩:よしよし、上手く貼れた。次は何かな?

「オーブンを170度に温めておく」

「ここまでが準備1」

彩:へ、準備1⁉️


レシピを見ていくと、卵とか割る前にやること結構あるな…


彩:ふぁ…、でも頑張ろ!


とりあえずレシピ通りに進めていこう。



〜30分後〜


よしよし、順調だ!

あとは型に生地を入れて・・・


ツルッ


彩:うわぁ⁉️



ズデッ

ゴロンッ

ベチャッ


彩:痛たたっ…

彩:うわぁ…やっちゃった…


なんで!?あと少しなのに…

キッチンの床に、盛大に生地を溢しちゃうなんて…


彩:んーもう、ばかばか!

彩:しょぼーん…


時計を見ると、お兄ちゃんがバイトから帰ってくるまで、あと3時間あった。



彩:まだ時間はある。

彩:よし、やろう!


急いで生地を溢した床を拭いて、また一から作り直すことにした。









〇〇:ただいま〜

〇〇:あれ?彩?

〇〇:おーい。


スタスタ…


〇〇:!

〇〇:どうしたの⁉️

彩:…

彩:うぅ…うぅ…

彩:出来ないよ…ケーキ…

〇〇:ケーキ?

〇〇:ん?

スタスタ…

(キッチンまわりを見る〇〇)

〇〇:もしかして、ケーキ作ってたの?

彩:うん、でも…

彩:何回やっても上手くいかない…

彩:うぅ…うぅ…




ギュッ


彩:!

〇〇:そっか、頑張ってたんだね。

〇〇:よしよし。

彩:うぅ…お、お兄ちゃああああん❗️❗️



なんて情け無いんだろう…

今日はお兄ちゃんの誕生日で、お兄ちゃんを喜ばせなきゃいけないのに…

サプライズでケーキ作るのに失敗し過ぎて、昼ごはんも食べずにいて…

帰ってきたお兄ちゃんの前で大泣きして…



彩:ごめんね、本当に…グスンッ

〇〇:ううん、大丈夫だよ。

〇〇:あ、サンドイッチ食べる?

彩:う、うん。

〇〇:じゃあ、一緒に食べよっか。


お兄ちゃんが紙袋から出したサンドイッチの入った4つの包みのうちの一つを貰って食べた。


パクッ



彩:んふふ、美味しいー❗️

〇〇:ふふ、良かった。

お兄ちゃんの貰ってきてくれた、いや多分お兄ちゃんがバイト先で作ってくれたサンドイッチが美味しくて、すぐ元気になった。

彩:お昼食べてなかったから、余計に美味しいや。

〇〇:え⁉️食べてなかったの?

彩:うん、お兄ちゃんのケーキ早く作らなきゃって思って。

〇〇:えぇ…なんか、ごめんな彩。

彩:ううん、全然。

〇〇:じゃあさ、今から一緒に作らない?ケーキ。

彩:え?でも…

〇〇:ほら、今なら母さんと父さんが帰ってくる前に作れるよ。

彩:そっか、じゃあお兄ちゃんと一緒に作る!

結局、お兄ちゃんと一緒にケーキを作った。




飛鳥:ただいま〜ご馳走買ってきたよ〜

〇父:七面鳥に、ピザに、それから…

〇〇・彩:おかえり〜!


飛鳥:ただいま。

彩:ママ〜、パパ〜、見てー!

飛鳥:ん?え、ケーキ作ったの⁉️

〇父:うわ、凄いじゃん!

飛鳥:本当、彩凄いね〜

(飛鳥が彩の頭を撫でる)

彩:えへへ、お兄ちゃんと作ったんだ〜

飛鳥:そっか。ありがとね〇〇。

〇〇:うん、母さん。

彩:本当は1人で作りたかったんだけど…

〇〇:1人で頑張ったんだけど、難しかったんだよね?

彩:うん、でもお兄ちゃんと一緒に作って楽しかったから良いや。

飛鳥:ま、〇〇は料理得意だもんね。私に似て。

〇父:そうそう、料理得意なのは母さん譲りでイケメンなのは父さん譲りで。

飛鳥:パパは下手くそ過ぎなの❗️❗️

飛鳥:もう、何この前の焦げた野菜炒めとかさ❗️❗️

〇父:良いじゃん、香ばしかっただろ?

飛鳥:アホか❗️

〇〇:ブフッ。

彩:ふふっ。

〇父:あっ…

飛鳥:ふっ…

一同:あはははっ!



ママとパパが買ってきたご馳走を食べてから、ケーキにロウソクを刺して、火をつけてハッピーバースデーの歌を歌った。


「お誕生日おめでとう、〇〇ー!」

〇〇:ありがとう、みんな。


それからケーキを切って皆んなで食べ始めた。

飛鳥:あっ。

〇父:あ、鼻にクリーム付けちゃって〜

〇父:ママはあざといな〜

飛鳥:うっさい!

コンッ


〇父:痛っ!


彩:パパ、ママ、ラブラブだね〜お兄ちゃん。

〇〇:ね〜

彩:お兄ちゃん、はい。

〇〇:え?

彩:彩が食べさせてあげる!

彩:あーん、して。

〇〇:え、あ…あーん。

彩:美味しい?

〇〇:うん。凄く美味しいよ。

〇〇:ありがと。

彩:えへへ〜 


サプライズケーキは失敗しちゃったけど、お兄ちゃんが凄く喜んでいる顔が見れて、彩も凄く嬉しかった。


fin.

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