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ねるさん〜出会い、一時期の別れ〜


彼の存在は、絶望の中に突然差した一縷の光だった。
彼に出会う1ヶ月前、私は大きな自殺未遂をして、脚がポキリと折れるようにに生きる意味を見失っていた。これは比喩ではなくて、本当の話。

初めて出会った時は今でも鮮明に覚えている。
精神科病棟で看護師さんに富士山が見える開くことのない窓へ連れて行ってもらった時、そこで黄昏ていたのがねるさんだった。
「かっこいいな」
それが第一印象。本当だ。

また少し経った頃、ミスチルを聴いて塗り絵をしていたら、ねるさんは話しかけてくれた。
「なんの曲が好きなの?」
そう尋ねられ、私はハルと答えた気がする。
まだ季節は冬だったけれど、私の心の中に春の花が咲いた気がした。

そこからは、一緒に過ごした私がリハビリ精神科に転院するまでの2ヶ月の間、たくさんのものを共有した。音楽、絵、人生の色々、思想とかとか。
5回ほど入院してきた私にとってしても、そんなこと初めてだった。
こんなに深くまで知りたいと思うことも、離れ難いと思ったことも。

それが、私の生きる希望になったことは、変えがたい真実である。

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