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エッセイ

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第一印象のハードルを下げること

第一印象のハードルを下げること

私は自分でいうのもなんだけれど、第一印象で得をすることが多い。
しっかりしてるね、頑張り屋さんだね、明るいね、いい子だね
とかとか。

ただ、その得は承認欲求を満たす一過性のもので、
後々自分の首を絞めてしまう。

どういうことかというと、
そんな自分を、周りが
"当たり前"
と思ってしまい、要求されるもののハードルがどんどん上がってしまうのだ。

例えば、
ずいちゃんだったらこれもできるよね!

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私の青春

私の青春

最近になって、私は遅い青春を迎えてきたと感じることが多々ある。
それは、堅くて苦しい10代を送ってきた反動かもしれない。

20代になってから、良くも悪くもいろんなことをしたし(やらかしたこともチャレンジしたことも表裏一体として)、
23歳手前にして、入院はもう懲り懲りと思い、
やはりその反動として退院したあと、本当に楽しい生活をしている。

私の周りの子は、大学卒業、就活、そして新生活と大

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生きるってなんだろう

生きるってなんだろう

生きるってなんだろうと思ったお話

この間、私の精神科の外来があった。
自宅から距離のある病院なので、いつも母が車で送り迎えをしてくれていて、そこで他愛もない話をするのがお決まりの過ごし方。

そこで、この間もいろいろ話したのだけれど、
母方の祖父の話になった。

祖父は、元々愛知に住んでいて、1人でなんでもやる人。
若い時からトラックの運ちゃんで、定年まで勤めあけ

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好きと嫌いが分かれるタイプのあの子

好きと嫌いが分かれるタイプのあの子

ここでは、三人称をあの子としておくことにしました(思想とか歴史とかのあれこれがあるため)。
食べ物で言うとパクチー、クラスメイトだったら彼氏が途切れない子、まあ、そんな感じ。

父はあの子が大嫌いだ。
あまり綺麗ではない、いや、罵倒の言葉ばかり。
テレビや音楽でその子界隈が出てきただけでチャンネル強制変更。実家にいた時はそんな感じ。

私は、あの子が私たちの文化に触れてくれる、たとえば私たちの中で

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私のカタチはどこから来たの?

私のカタチはどこから来たの?

背景の前置きをすると、私は精神科病棟に4ヶ月いて退院してまだ2日終わった外界にとっては
赤ちゃんか、いや、
怪我で登録抹消された後マウンドに戻ってきたばかりの野球選手のようなものである。

無理しないでねと言われてもやりたいことはたくさんあるし、
さっきの例えでは160キロのボールを投げて完封したいと思うようなものだ。

でも、素直に(のふりをして?)
「わかりましたー!気をつけますね!」と
言っ

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革命ともいえない、でも大きな転機を願う。

革命ともいえない、でも大きな転機を願う。

閉ざされたドアの中で、約5ヶ月間暮らしたら。

本当に、毎回思うのだけれど、
精神科病棟には沢山の色々や形や心がある。

本当は、それが受容される社会をひっそり願っているけれど、
今の社会でははじかれて居場所が消えてしまい、その代わりに此処みたいな受け口にて、こっそり、こうやって閉ざされた空間でお互いを表現し合うのである。

響くことのない、吸収されてしまい外には聞こえない此処で、私たちは表現する

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麒麟のように美しいトラ、駆け抜けるウマ

麒麟のように美しいトラ、駆け抜けるウマ

最近、自分と向き合う中で、トラウマについて考えることが多く、改めて意味を調べてみた。
Google先生によると、
トラウマとは

個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。 この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等があります。

だそう。

概ねネガティブな意味なんだなぁ。しかも軽々しく使わない類の

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星のない世界

星のない世界

2024.4.4 窓の開かない部屋にて。

私は夜が好きだ。
眠る前から部屋の電気を消して、外を眺める。
もちろん窓は開かない。

その闇と街頭や病院から漏れる蛍光灯の光は、
深海に光る蛍を彷彿とさせる。
もちろん、深海には蛍は存在しない。
いるとしたらシーラカンスや色々だろう。
ついたり、きえたり。
ぷかぷか浮かんでいて、私も一緒に浮かんでいる感覚になる。

あ、くらげでもいいかもしれないな、な

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ねるさん〜出会い、一時期の別れ〜

ねるさん〜出会い、一時期の別れ〜

彼の存在は、絶望の中に突然差した一縷の光だった。
彼に出会う1ヶ月前、私は大きな自殺未遂をして、脚がポキリと折れるようにに生きる意味を見失っていた。これは比喩ではなくて、本当の話。

初めて出会った時は今でも鮮明に覚えている。
精神科病棟で看護師さんに富士山が見える開くことのない窓へ連れて行ってもらった時、そこで黄昏ていたのがねるさんだった。
「かっこいいな」
それが第一印象。本当だ。

また少し

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ねるさん〜救済、再会〜

ねるさん〜救済、再会〜

私が転院したことで、ねるさんとは一度お別れになった。また会おうね、その時は歩けるようになっているかな、と握手をして私は2ヶ月のリハビリに励んだ。

しかし、今思えばまだまだ私の精神状態は不安定で、その後も入退院を繰り返した。
そこでも、ねるさんは私が電話で話したいというと、夜遅くでも私の戯言に付き合ってくれた。
その時間は、私の心の救済だった。

その後、一度だけねるさんと私は再会した。
なぜ一度

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ねるさん〜想い、表明〜

ねるさん〜想い、表明〜

私は、ねるさんのことが大好きだ。愛している。
私は素直に想いを伝えるのが上手ではないので実際に声を聞いたりすると、うまく言えないのだが。

でも、私はどうやら他の恋をすることをしなくてはならないようだ。ねるさんへの恋は叶わない。
それはねるさんの生き方を大切にしたいからでもある。

でもどうしようというのだろうか。
今はよく分からないけど、これからのさまざまな人との出逢いで分かるのだろうか。

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浮遊のカウントダウン

私はもうすぐ地域に戻る。

2文字で簡潔に言えば退院。
もちろん、病気が治ったからではない。
私が入院しているのは精神科病院。
症状の悪化を食い止め、命を守る心の砦。

そこには妥協と安定が漂うのだ。
だから退院。
完全を求めたら一生入院である。

私の夜の習慣の暗闇での浮遊もあと少しでお終いである。

戻った先のグループホームには自分の家と支えてくれる方々や他の入居者さんとの賑やかな日々が待って

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