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「『ガムトーク』のルールパクリ疑惑サイト騒動」について、いろいろ書いてみる。

前回は、自分のnote史上最おバカな記事を書きました。

この記事をアップする前日に、Twittetでおきてしまった騒動です。

はい、またまたボードゲームのパクリ疑惑騒動です。

ということで、色々書きます。

『ガムトーク』とは

『ガムトーク』は、同人の角刈出版さんが作成したボードゲームです。

2020年にengamesから発売されているので、単なる同人ゲームというくくりはできません。
今年(2021年)には続編の『ガムトーク2』も発売されています。

どのようなゲームなのかは、後ほど。

パクリ騒動の発端

2021年6月10日に、角刈出版さんから以下のツイートをしました。

ガムトークに類似したお題を配布するサイトが公開されてしまっておりますが、こちら無関係であり許諾を与えたものではありません。

公開停止を求めたのですが、ご理解いただくことは難しいようでした

もしもこのような”公式ではなさそうなサイト”を見かけた場合使わないという選択を考えていただけますと幸いです

ガムトークだけに限らず、コピーするのが簡単だからと言って製作者が簡単に作っているわけではありません

『ガムトーク』のルールで遊ぶお題をオンラインで自動表示(配布)するサイトが公開されており、そのサイトの制作者に公開停止を求めた、ということです。

サイトを製作したのは、ロッキー@澤田さんです。

いろんなボードゲームを遊ぶ中で「お題」を配ること、多いですよね

というわけで、作りました!
オンラインの友達とも遊びやすい、お題配りツール

同じ時間にアクセスすれば、画面が共有できる仕組み。
みなさんの創意工夫で楽しく使っていただけます

現在(6月12日時点)もサイトは公開されています。

まあ、そんなわけでTwitterは、パクリだいや違う言い過ぎだいや正論だいや仁義だなんだかんだと、そりゃ大騒ぎでした(そしてある程度の期間その様子を拾い出したのが、冒頭のTogetterです)。

今回の騒動は、以前にもあったボードゲームのパクリ疑惑騒動とは、また違った争点があり、非常に興味深い事態でした。
気づいた争点を拾いつつ、まとめてみます。

なにがでるかななにがでるかな

Twitterの発言から、角刈出版さんが求めているサイト停止の理由をあげます。

(1)『ガムトーク』の製作者である自身が、許諾を与えていない。
(2)サイトの説明に『ガムトーク』の題名を出している。
(3)『ガムトーク』のお題を流用している。
(4)お題の末尾に「の話」をつけているのは『ガムトーク』の剽窃。

(1)は、『ガムトーク』の所持している知的財産権を用いて、権利を行使しているのかが、ポイントです。
珍ぬは、「(日本では)ボードゲームに著作権はない」という考えですが、例外はあります。
『ガムトーク』はその例外にあたりそうなのです(その点は後述します)。

(2)は、「実際にある具体例を用いてサイトの説明とした」と見ると、なんの問題もないかと思います。
ただ、『ガムトーク』が、デジタルコンテンツ関連の使用区分も含んで商標権を取得している場合は、停止理由としての抗力があるかも知れません。

(3)は、(1)と同様に『ガムトーク』の著作権がある場合に、抗力があると思いますので、後述します。

(4)なのですが……、実はこれ角刈出版さんの大悪手だと思っています。
『ガムトーク』こそ、

昔のTV番組「ごきげんよう」のサイコロトークのパクリ

と疑われるかもしれないからです。

あ、「ごきげんよう」の正式タイトルは「ライオンのごきげんよう」なんだ。
「ごきげんよう」は、フジテレビ系列で1991年1月から2016年3月まで放映されていました。
番組開始から8ヶ月経過して、そこで登場したのが「サイコロトーク」です。
Googleでサイコロトークのサイコロを画像検索すると、まあたくさんあります。

番組では、このサイコロを転がして出た面のテーマの話しをします。
で、サイコロの面をみるとおわかりでしようが、

「◎◎の話」

で統一されています。
『ガムトーク』と同一ですし、なんなら30年弱前から、この形式があります。

「◎◎の話」やルールの剽窃に関していえば、先例があるので、ものの見事な大ブーメランではないかと。
むしろ、フジテレビやライオンから『ガムトーク』の出版停止来なくてよかったね、と逆にホッとしています。

まあ、実際はアイデアやルールは著作物と認められていない見解なので、本当はホッとなんざしていません。


データベース『ガムトーク』

といいつつも、『ガムトーク』のような「多数のお題を集めたクイズ・大喜利系のボードゲーム」は、著作物になる可能性について議論する余地があります。

百科事典や歳時記、理科年表のような、多数の情報を思想や感情で編纂(データベース化)した「編集著作物」に該当するかもしれないからです。

となると、ロッキーさんの作成したサイトで『ガムトーク』のお題を流用しているならば、無断引用として親告できることに……なるかというと、もうちょっと考慮する要素があります。

おそらく、かなりの数のお題を引用しても、権利の侵害とはいえない可能性があります。
お題のみでは、創作の独自性を判断する情報材料として十分な質量とは言い難いのです。

分類の独自性

では、どこで創作の独自性をみるか。
『ガムトーク』の場合は、

カード単位でまとめた、6つのお題の志向性ある分類

になると考えます。

一方逆に、お題を6つにしているのは「サイコロトーク」で用いるサイコロの形状制限(6面体)をそのまま角刈出版さんが剽窃している、とネガティブに受け止められる可能性もあります。
この点は、別のものからのインスパイア(例えば『インサイダーゲーム』も同様に、1枚のカードに6つのお題をまとめています)の可能性もありますので、そのへんの事実関係は角刈出版さんよろしく、となります。

『ガムトーク』の遊び方は、カード1枚に書かれたお題群から1つを無作為で抽出して、そのお題に沿った話をする、という構造をとっています。
この構造に沿った多数のお題の選択・分類した編集物は、角刈出版さんの創作物にあたります。

それを踏まえた上で、お題の流用をパクリと判断するポイントは、
(1)同一または類似したお題が6つ1組である。
(2)お題配布のプログラムが、6つ1組のお題から選出するように設計・実行されている。

上記2点が該当すれば、著作権侵害となるかも知れません。

停止依頼ではないオルタナティブツッコミ

なので、ロッキー@澤田さんの作成したサイトに対して剽窃を疑うならば、上記2点が含んだプログラムになっていないか、ソースコードを読んで、『ガムトーク』の類似度を判断する必要があるのではないかと思います。

ロッキー@澤田さんは、ボードゲーム全体の普及も願っているようですから、きっと、ソースコードの公開もしてくれるでしょう。

結果、お題を6つ1組にして選択していない構造のプログラムならば、『ガムトーク』とは異なっています。
では、剽窃していないのでOKだ……として泣き寝入りではないです。

だとすれば、『ガムトーク』の剽窃度は不完全だということなので

ちゃんとパクってないから
『ガムトーク』として遊べません。

と、別角度から差別化した形でネガティブキャンペーンをうつ手段もあるのでは、と思いました。
もし、ロッキーさんが(かくかうしかじかで)ソースコードを公開しなかった場合は、「不完全だから公開しないのかな?」と前置きしてのネガティブかませます(……ひどいこと書いてるよな)。

終わり

ということで、自分なりの考えたことをつらつら並べました。
角刈出版さんとロッキーさんのどちらの味方なのか、といわれたら、どちらの敵にもなります。
そのスタンスだといろいろな角度から騒動をみることができるので。

しかし、ボードゲームのパクリ疑惑騒動と著作権(知的財産権)についてのnoteが相当数になりました。
いい加減、マガジンを作ったほうがよさそうですね。
つくります。

では。

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