「木象嵌の指輪」と「俳句」の類似点
フィレンツェも30℃越えの日が続くようになってきて本格的な夏が始まっています。
季節の変わり目など「季語」を入れて5・7・5の17音の中にストーリーを込める俳句の世界。
実はとても木象嵌と似ているなと以前から思っています。
テレビ番組「プレバト」の俳句のコーナーが好きで夏井先生が語順や終助詞を一つ変えるだけで想像力を何倍にも膨らませる添削には毎回感動するばかりです。
そこから学んで自分が俳句をやる、というのではなくそれを木象嵌という表現方法に転換させる。
限られた素材の木目や色などの制限の中でどれだけストーリーをつくれるか?
まさに木象嵌の見せ場だと思っています。
そんな中で最近木製の指輪を製作しているのですが、これがさらに俳句の世界に近いなと思いながらやっています。
↑ ↑ ↑ 製作の様子はよろしければ動画を観てみてください ↑ ↑ ↑
ただでさえ限られた素材の選択肢の中でさらに小さく限られた装飾可能なスペースにどれだけストーリーを込めることが出来るか?
メインとなるモチーフ(この場合はフィレンツェのDuomo)を決めて
暗いベース(ウォールナット)で指輪を成形。
そこに満月を入れるのか?三日月にするのか?
それだけで時間は夜に。
さらに雲を入れるか?それはどんな形か?によって風の動きや季節感が見えてきます。
月の大きさ、そして全体のレイアウトバランス。
ほんの0.1mmか0.2mmほど変えるだけでもストーリーが大きく変化します。
明るい木(オリーブ)をベースにすれば時間は朝なのか昼なのか?
0.3mmほどの気球を入れて一気にファンタジーな世界観を出してみたり。
制限があり自由度が低いほど、その中身を洗練させることによって独自の世界観が表現できる。
日本語の美しさと洗練されたフィロソフィーが詰まった俳句の世界。
そんな感覚を木象嵌に落とし込んだのがZouganistaのモノづくりが
目指すところなのかなと思っています。
-Fin-
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