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『おじいさんのランプ』

<新美南吉>シリーズ 第六巻

かいのどうぶつえん 園長です。
今なお、大切に読み継がれる児童文学作家、新美南吉にいみなんきち(1913〜1943)の童話シリーズです。

第6回目は、ランプ販売で繁盛した 孤児の物語、『おじいさんのランプ』です。

日露戦争(1904−5)の頃の話です。
山奥の村に巳之助みのすけという名の孤児がいました。十三歳で、子守りや使い走りなどなんでも引き受けて、一所懸命いっしょけんめいに働いていました。

ある時、人力車を引く仕事で町に出て、花のように明るいランプを見てびっくり仰天。ランプ屋に無理を言って、ひとつ安く売ってもらい村に持ち帰りました。

薄暗い行燈あんどんしか知らない村人たちは、とても明るいと喜び次々に購入。巳之助みのすけはランプ屋を開いて繁盛し、やがて結婚し子供も二人生まれました。

またたくまに時が過ぎ、ひさしぶりに町に行くと、ランプとは比べ物にならない明るい電灯が灯っていました。

これこそ文明開化!
けれど巳之助は、ランプ屋の商売はつぶれるだろうと恐れ、村への導入に大反対しました。

しかし、村会が開かれて電灯をひくことに決定。巳之助は、逆恨みして区長の家に火をつけようとして失敗しました。
ランプはもはや古い道具になったのです。

ランプは夜の闇を優しく照らしました

ある夜更、巳之助は大きな池のほとりの、三本の木にランプをすべてぶらさげて、火を灯しました。池の水面に、ランプの灯りが美しく映りました。

水面に映るランプの灯り

そして石ころを投げて、次々にランプを壊したのです。

涙で石がランプに当たらなくなりました

「お前たちの時世はすぎた。世の中は進んだ。電気の時世になった」
やがて巳之助はランプ屋をやめ、町に出て本屋になりました。
1942年(昭和17)、新美南吉29歳の作品です。  つづく

貝と園長の固い約束「割らない。塗らない。削らない」

    『おじいさんのランプ』 〜使った貝殻〜
ランプ
:コガモガイ/キイロダカラ/チャイロキヌタ/ムラサキウニ
水面のランプの灯り:ナミマガシワ
巳之助 :アマオブネ/キクスズメ/ホソウミニナ/ハツユキダカラ
三本の木 :サザエ・ヤツシロガイ(芯)・ウノアシ  :タマガイ    
:マドガイ/ホタテガイ

楽しんで制作。時間はかかりました。


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