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「ほろ酔いゾウ 」

記念作品シリーズ 第六回

「かいのどうぶつえん」では、2006年の開園以来、毎週1作品のペースで、新作を制作。そして、100回目ごとの節目に、“記念作品”を制作し公開してきました。

このシリーズでは、時間をさかのぼって記念の作品をご紹介します。

六回目は、2015 年10月に公開した第400回目の作品、
「ほろ酔いゾウ 」 (tipsy elephant)です。

広報担当者からもらった、沖縄土産のをながめていて、
400回の記念作品の“ゾウの頭”に使おうと決めました。

制作中!いちばん楽しいひととき

四字熟語で「鯨飲馬食げいいんばしょく」といえば、短時間に大量に飲食することを意味しています。

その連想で、ゾウさんが400回の祝い酒を呑みすぎて、酔眼朦朧すいがんもうろう。千鳥足でふらつくシーンの記念作品は、あっという間に完成しました。

飲んだ!呑んだ!!いい気分
ん?足元がふらつくゾー

すぐさま撮影し、ハガキやパネルの編集をはじめると、またもや高い壁にぶち当たってしまったのです。

まっすぐ歩けない

ゾウの赤ら顔に見立てた貝の名前が、どうしてもわかりません。

手元の貝類図鑑を全部ひっくり返し、ネットの貝殻情報源を調べても見つかりません。

貝類図鑑は、他にもあります

お手上げ状態で、とうとう副園長に応援してもらい、大部の「日本近海産貝類図鑑」(奥谷 喬司編著)をとことん再捜索。

とうとう、290頁にそっくりな貝を発見することができました。
フジツガイ科で、名前は「ニクイロフジツガイ」。

同じような貝がズラリ
ついに発見!これで前進できるぞ

ややこしいことに、同じページに「オオゾウガイ」という、そっくりさんまで発見し、名前としてはこちらの方がピッタリ。食指が動いたものの色がちょっと違いました。

白状しますと、貝の作品制作は手間暇かかっても、いつもワクワク気分です。

しかし、使用した貝の同定どうてい(分類学上の種名決定)は苦手中の苦手で、ずっと悩み続けてきました。

同じ貝でも色や形は様々で、図鑑の写真ではよくわからないケースが多いのです。

ただ、長年作品展を開催していると、貝類の専門家や学者さんの知己を得ることができます。

幸いにも、みなさん親切な方ばかりで、貝の動物にも関心を持ってくださり、折に触れて助けていただいてきました。

これも、「かいのどうぶつえん」が20年近く長続きしている理由の一つではないでしょうか。

2024年も、恒例の葉山図書館展を開催予定。今年で連続15回目になります。

貝は「割らない」「塗らない」「削らない」の“3ない”ルール

   第400回 「ほろ酔いゾウ」 使用した貝
★頭・鼻
:ニクイロフジツガイ ★胴体: ヤツシロガイ 
目:スガイ(ふた) ★:トコブシ ★象牙:ヤカドツノガイ
四肢: トクサバイ/キクスズメ

酔いが覚めてきた!


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