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『あめ玉』

<新美南吉>シリーズ 第三巻

かいのどうぶつえん 園長です。
今なお、大切に読み継がれる児童文学作家、新美南吉にいみなんきち(1913〜1943)の童話シリーズです。

第3回目は、教科書で長く広く親しまれてきた、なつかしい童話『あめ玉』です。

だいぶ前のことですが、子供が宿題の『あめ玉』を音読している声を聞いてすぐ、新作のテーマに決めました。

理由は単純で、渡し船にぴったりな形状のマガキの殻を、いくつか保管していたからです。

母さん!怖いよ

配役も、母親と二人の子供はシロウサギ、黒髭の侍はサル、櫓を漕ぐ船頭はクロウサギと即決しました。

「あめ玉を出せ!」

いちばん大ぶりなマガキの殻を選び、渡し船を制作。続けて登場人物たちを制作し、物語の最後のシーンを組み立てました。

一つしかない“あめ玉”を欲しがって«、大声で“だだ”をこねる子どもたち。

居眠りしていた侍が、目をさますや立ち上がって刀を抜き、「あめ玉をだせ」。

切り殺されると震える親子に近づくと、侍は“あめ玉”を船べりにのせ、刀でパチンと二つに割り、子供たちにわけてやりました。

??黒髭侍は大刀を抜いたのか?

新作は完成しました。ところが、疑問がわきあがって、前に進めないのです。

常識的には、武士は大小2本の日本刀を腰にさします。小さな“あめ玉”を割るのでしたら、1尺前後(約30〜50cm)の小刀しょうとう(脇差)で十分ではないでしょうか?

ただ、童話を何度も読み直し、挿絵をみくらべても、長い大刀だいとう(打刀)のようです。

気になってしかたないので、日本刀の歴史や武士について調べた結果、主家を失った浪人は二本差しができないこと。

物語の主人公の黒髭侍は、大刀だいとう1本を帯びて旅していたのだろうという結論に達しました。

時間はかかっても、調べごとの寄り道は楽しいですね。   つづく

貝と園長の固い約束「割らない。塗らない。削らない」

      『あめ玉』〜使った貝殻〜
:アマオブネガイ/スズメガイ/スガイ/ハナマルユキ/ミソラフトコロガイ/タモトガイ/ムシボタル 
大刀:ツノガイ/ムシボタル/ウメノハナガイ  
親子:カイコガイ/ムシボタル/サクラガイ/スガイ
あめ玉:ヒメカノコ
船頭:チャイロキヌタ/マクラガイ/ムシボタル/イガイ/スガイ
渡し船:マガキ/マテガイ/サザエ/パイプウニ  /マドガイ



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