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明日、私は誰かのカノジョの元ネタ紹介

こんにちは。

みなさん、『明日、私は誰かのカノジョ』という漫画をご存知でしょうか。
特に若い世代にヒットしていて、先日ドラマ化もされた大人気漫画です。
よく広告に出てきますね。

そんな漫画ですが、実はこの漫画の章の名前は洋楽が由来であるのはご存知でしょうか?
今回は、そんな『明日、私は誰かのカノジョ』、通称明日カノの元ネタについてご紹介させていただきます。


第1章『Killing me softly』の元ネタ

第1章、Killing me softlyの元ネタは、Roberta Flackの「Killing Me Softly with His Song」です。

かなり有名な曲で、Roberta Flackの代名詞的超名曲です。
個人的にはこの漫画の雰囲気とも非常にあっています。

歌詞の内容としては、若い男性シンガーのコンサートに何気なく出かけた女性が、そのシンガーがあたかも彼女のことを以前から知っていたかのように彼女の心情を映し出した歌詞を歌い、ギターの演奏は彼女の内なる苦しみを表現しているかのようで、どんどん魅力に引き込まれる、という話です。

Strumming my pain with his fingers
彼の演奏は私の痛みを描くようで
Singing my life with his words
彼の言葉は私の人生を歌ってるよう
Killing me softly with his song
その歌にそっと魅了されていく
Telling my whole life with his words
彼の言葉が私の人生すべてを語ってるようだ

Killing Me Softly with His Songより、Zoe和訳

本編の雪とは対照的ですが、雪の相手がまさにこの状態だったといえるかもしれません。

実はカバーで、オリジナルはLori Liebermanという方です。ですが、Roberta Flackバージョンの方がずっと有名ですね。


第1章は1巻収録です。


第4章『Knockin’on Heaven’s Door』の元ネタ

第4章のKnockin’on Heaven’s Doorの元ネタは、Bob Dylanの「Knockin’on Heaven’s Door」です。



Bob Dylanはポピュラー音楽で初めてノーベル文学賞も受賞した洋楽界の超大御所で、特に歌詞に定評があります。

Mama, put my guns in the ground
母さん、俺の銃を置いてくれ
I can’t shoot them anymore
もう撃てないさ
That long black cloud is coming down
大きな黒い雲が覆いかぶさってくる
I feel I’m knockin’ on heaven’s door
俺は天国の扉をノックしているところだよ

Knockin’ On Heaven’s Doorより、Zoe和訳

天国の扉をノックする」というのはどういうことか。ノックするからには、扉は当然閉まっており、この時点でもう天国に行く資格が無いか、あるいは瀬戸際のかもしれません。
少なくとも、自分で何らかの罪悪感は抱えていそうです。

それでも、「扉を開けてくれ」とノックをする。これは、「罪は犯したけれど、話せばわかる」そんな気持ちなのでしょう。時は1973年なので、ベトナム戦争の帰還兵の声だと推察できます。

本編ではおそらく最も人気なゆあてゃが出てくるホストにまつわる話です。
元来ホスト狂で超メンヘラのゆあてゃと、元々恋に冷めていたのにあっという間にホスト沼にはまる萌の話。

個人的には、ゆあてゃの靴下コールが怖すぎて好きです。

結末は省きますが、どちらのノックが通じたのか、という視点で見ると非常に面白いです。

第4章は5~8巻収録です。

ちなみに、ジョジョの奇妙な冒険の第4部に出てくる人気キャラ、岸辺露伴のスタンド「ヘブンズドアー」の元ネタとしても有名です。


番外編『Stairway to Heaven』の元ネタ

番外編のStairway to Heavenの元ネタは、Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」です。

Led Zeppelinはハードロックの始祖であり大御所で、Stairway to Heavenはその代表曲です。
タイトルを直訳すると「天国への階段」で、上記のKnockin’ On Heaven’s Doorとかけているのは明白です。

漫画の内容としては、上記ゆあてゃの生い立ちを描いた番外編です。
ただ、これが非常にこの曲の歌詞とマッチしており、Stairway to Heavenの冒頭はこのような歌詞で始まります。

There's a lady who's sure all that glitters is gold and she's buying a stairway to heaven.
きらめくもの全てが黄金だと信じる女性が、天国への階段を買おうとしている

Stairway to Heavenより、Zoe和訳

これ、東京に輝きを見たり、ホストのかなわぬ愛に輝きを見たりして破滅へと向かうゆあてゃにぴったりですよね。
是非聞いてみてください。

番外編はは8巻収録です。


第6章『What a Wonderful World』の元ネタ

第6章のWhat a Wonderful Worldの元ネタは、Louis Armstrongの「What a Wonderful World」です。

まだ単行本では途中までしか出ていないんですが、40代で夜職したことない江美が、父の死をきっかけに地元に帰り、人生で培ったものの無さに絶望しながら占い師にハマっていくというかなり地獄みの深い話です。

さて、曲の方ですが、この曲はベトナム戦争が起きたことを悲しみ、今後の世が平和な世界なることを願い作られた曲です。

I see skies of blue and clouds of white
青い空と白い雲が見える
The bright blessed day, the dark sacred night
輝き祝福された日、暗く神聖な夜
And I think to myself
そしてひとり思う
What a wonderful world
なんて素晴らしい世界なんだ

What a Wonderful Worldより、Zoe和訳

本編の江美の立場を考えると、父は死に、母は自分の本質的にダメな部分を見抜いていて、昼職では絶望的に無能、40超えて夜職をするしかない。そんなつらい中でも、実は世界ってのはただ自分に残酷なだけではなく、占いに生きがいを見出したように何かしら美しい部分が世界には隠されているんだということを暗喩しているのでしょう。


最終章『No Woman No Cry』の元ネタ

最終章のNo Woman No Cryの元ネタは、Bob Marleyの「No Woman No Cry」です。

こちらは単行本未収で読めていないので内容は割愛させてください。

Bob Marleyはレゲエの始祖であり、代表的なアーティストです。
その威力は、当時のロックシーンの大物をこぞってレゲエに転向させてしまうほどでした。

タイトルはそのままだと「泣かない女性はいない」という意味ですが、Bob Marleyの出身であるジャマイカの意味では「泣くな、女性よ」という意味です。
漫画本編では第1章Killing me softlyの主人公・が再び主役で、この漫画随一の冷静なキャラ&他人の前に感情を見せることが乏しいキャラなので、どちらかというと「泣かない女性はいない」という意味で使用しているでしょう。

歌詞の内容は、苦難に直面した時でも人生を祝福すべきといったもので、結構スピリチュアルです。



いかがでしたでしょうか。
かなり面白い漫画ですが、若い女性をターゲットにした漫画に似合わず洋楽のチョイスはかなり王道&男性向けなのでびっくりしました。

明日カノファンの方、是非曲の方も聞いてみてください。
洋楽ファンの方、是非漫画の方も読んでみてください。



こちら元ネタを集めたプレイリストです。


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