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【感染症科ローテ前必読!】 初期研修医が ローテ前に読むべき各科の常識 ~感染症科編~

■はじめに

 みなさん、はじめまして。愛知県がんセンター感染症内科の伊東直哉と申します。今年で医師14年目となります。感染症領域では、一般感染症、がん患者の感染症、輸入感染症が一応の専門です。私のバックグラウンドはストレートに感染症を専門としたわけではなく、初期研修終了後、6年間総合診療に携わった後に感染症内科医となりました。そのため、ジェネラリストとして知ってほしい感染症科の知識という視点で本記事を書いています。


■感染症診療に携わる前に

 感染症科ローテ前にまずみなさんに知っておいてもらいたいことが2つあります。

① 感染予防策を十分に理解し日常診療の中で正しく実践することができる
② 感染症のロジックを理解し抗菌薬を用いることのできる基本的な知識を持つこと

感染症科というと後者のイメージが強いかもしれませんが、感染予防策を正しく実施できない医師に感染症診療に携わる資格はありません。患者および医師自身が不本意な医療関連感染の被害を受けない、または広げないためにも、感染対策を必須のものとして理解し実践しなければなりません。

総合内科時代の恩師である藤本卓司先生の書かれた「感染症レジデントマニュアル」は、私の感染症のバイブルのうちの一つです。感染症診療のパートに先立ってまず“医療関連予防の基本”が最初に書かれているところに藤本先生の信念が感じられます。

書籍名:感染症レジデントマニュアル 第2版  著者:藤本卓司

感染症診療のロジックは、以下の5つのファクターで成り立ちます。

1.患者背景を理解する
2.どの臓器の感染症?
3.原因となる微生物は?
4.どの抗菌薬を選択?
5.適切な経過観察

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