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自分のためだけに、踊る。 コントーショニストMarikaが受け取った、プレゼントの旅。 〜 ZIPTRIP#6 Marika in HAWAII 〜

「旅が終わった後の自分が全く想像できないですね」

出発の2日前。事前のインタビューでお会いしたMarikaさんは笑顔の奥に覚悟をにじませながら、そう語ってくれました。

ZIPTRIP、第六弾。
今回の旅人は、コントーションと呼ばれる人間の柔らかさを倒立などのバランス技と組み合わせて魅せるパフォーマンスで、企業プロモーションやサーカスショー、イベントなどで幅広く活躍しているコントーショニストのMarikaさんです。

「実は今、人生の第1章の区切りを迎えているんです。これからどう生きていこう。そう考えたとき、第2章ではもっと世界や地球に目を向けたいと思い、地球で踊ろうと決めました」

地球を感じ、地球で踊りたい。
舞台としてMarikaさんが選んだのは、ハワイでした。

「ZIPTRIPのお話をいただいたとき、やりたいことや行きたい場所はすぐに決まりました。でも・・・自分のための新たな挑戦という一番大切な部分が、自分の中ではずっと繋がらなかった。企画の意思というのかな。そこに向き合えていないなって。このままだとただの独りよがりになってしまう。この素晴らしい旅に立つための準備をしないといけない」

自身と向き合い続けたMarikaさんは導かれるように、ある人の言葉に出会いました。

「誰に何を言われようと貫きなさい。自分が一番自分の生き方を格好いいと思っていなくてはダメよ」

この言葉が「励まし」としてMarikaさんに届いたとき、Marikaさんは自分に足りていないことに気がつきました。それは「自分に自信がない」ということ。これまでずっと、意識的にも無意識的にも、向き合わないでいたこと。

Marikaさんは、自分のための新たな挑戦を見つけました。

自分のためだけに、踊る。

「自分のためだけに踊ろうと思います。考えてみれば、今まで一度も自分のために踊っていなかったなって。そうか。旅の目的は、これだ!って」

自分のためだけに踊ったことがない。それは、愛を届けたいと踊ってきた自分が、自分自身には一度も愛を届けていなかったということ。

その事実と向き合う。
埋まっていない一番大切な部分を自分の愛で埋める。
他の誰でもないMarikaさん自身が、自分の生き方に自信を持つために。

「準備はできています。最高の舞台で踊ってきます。旅が終わった後の自分は全く想像できないですが・・・よろしく地球! 」

挑戦する若者たちの翼になりたい


私たちZIPAIRは、既成概念にとらわれることなく新しい基準を作る「NEW BASIC AIRLINE」を目指す中で、もがきながらも好きなことで輝いている若者たちの姿に共鳴し、彼らの翼になり、次世代のスタンダードを共に創っていきたいと考え「ZIPTRIP~ジブンの翼を探す旅~」を始動。プロジェクトの第六弾としてMarikaさんと共に、ハワイのオアフ島へと旅をしてきました。

ZIPTRIPから約1ヶ月。
完成したZIPTRIPの映像を見終えたMarikaさんにお話を聞きました。

ハワイは、遥かに偉大だった。

ー 完成したZIPTRIPの映像を見て、いかがでしたか?

Marika:自分のことなのに、感情移入してしまいました。旅の中で気持ちが変化していったことは自覚していましたが、表情もこんなに変わっていたんだなって。

ー 確かにすごく変わっていましたね。その過程も含めて色々とお話をお聞きしたいのですが、まず最初に気になったのがハワイに着いてすぐの、Marikaさんの「重たい」という感覚です。

Marika:自分がすごく重たくて硬い物体だって感じました。この地で踊れると思っていた自分が恥ずかしいなって。想像以上に自分はちっぽけで・・・ハワイは遥かに偉大でした。

ー 今の自分では舞台に立つことができないと感じたのですか。

Marika:地球で踊る。その舞台としてハワイを、その中でも地球を感じる場所を選んだのですが、今の自分との差が大きすぎて、苦しくなりました。4日間の旅の間で踊れる自分になれるのかなって。

ー この地で踊るための準備が必要だったのですね。

Marika:重たいなって感じた後、いつものようにストレッチをしたのですが全然ダメで。じゃあ一旦ご飯でも食べようかという流れになって、正直お腹が空いていたわけでもなかったのですが・・・現地のご飯を食べたら、すごく元気になったんです。あ!これかも!って笑

ー 現地のモノを身体に取り込んだら、ラクになったと。

Marika:そうですね。食べ物はもちろん、裸足になって大地を掴み、草や土に手で触れる。思いっきり寝転がる。場所そのものを全身で感じ取っていくことで、波長があっていきましたね。

ー その流れで2日目の朝にファーマーズマーケットに行ったのですね。

Marika:現地のコーディネーターさんがハチミツを勧めてくれたんです。ハチミツは、現地に咲いている様々な花の蜜だからって。

ー その後に植栽も体験していましたね。
Marika:あの体験も本当に素晴らしかった。1日の中で使えるエネルギーを、少しでも環境のことに使うだけで、こんなにもしあわせになれるんだって。これまで自分がそうしたエネルギーの使い方をしてこなかったから、今の自分は自然とかけ離れたとても不自然な、重たくて硬い物体なんだなって。

そのままの自分を愛する。

ー 自然の中に身を置いたからこそ、不自然な自分が見えたのですね。

Marika:植栽が終わった後、しばらくあの場所にいたんです。あの場所は、目の前に広がる景色のほとんどが空と海で埋め尽くされた美しい場所で、その景色を見ながら寝転んで、チームZIPAIRの皆さんと何気ない会話をして一緒に身体を動かしたんです。身体を使って遊んだ、って感じかな。本当に何でもない時間。きっと次の予定があったとおもうんだけど笑・・・でも必要な時間だった。「こういうのが好きなんだよな」って再確認したんです。

ー ご自身の中にある「自然な自分の姿」に、意識が集中していったと。

Marika:自分のためだけに踊る。そのために必要なのは自分に集中すること。でもできていなかった。きっとそれは私の中にある社会性というか、気を遣ったりする部分で・・・もちろんそれも大切なのですが、自分にとって自然な姿は、自分のために時間を使うこと。自分を自由にしてあげること。そのままの自分を愛することなんだって。ZIPTRIPはそれを許してもらえた旅だし、そのためにチームZIPAIRの皆さんが動いてくれている。

ずっとそのことを受け取る勇気がなかった。この旅に限らず、ずっと・・・。でも旅の中で全てを受け取ることができたんです。そして受け取ってみるとそれが本当に嬉しくて、しあわせで、そんな自分を褒めてあげたいなって思いました。「ここまで来れてよかったね。頑張ってきたね」って。

ー 自然も不自然も受け入れながら「目的」へと向かっていったのですね。

Marika:3日目に訪れた洞窟は今回旅をしたオアフ島の神社のような場所で、足を踏み入れた時から「ご挨拶に来れたな」って思ったんです。徐々に波長があっていき、挨拶も済ませた。よし!いよいよだぞって。

踊りは、「儀式」へ。

ー そして、最終日。「目的」を果たす時ですね。

Marika:夕暮れに合わせて準備を始めたのですが、自分だけではなく、空間全体で準備が始まっている感じがしました。その中で自分の視点が変わっていったんです。そこに居るけど居ない感覚。周りからは見えない宇宙船に乗って、はじめて地球を訪れて見ている感じ。

気がつくと目の前には、地球の全部がありました。山。空。海。土。木。花。そして人間。

夕陽を見に集まった人。ヨガをしている人。ハンモックで休んでいる人。友達と遊んでいる人。結婚式まで始まったんです。

その全てが美しくて・・・愛おしかった。これが地球だよって。地球にきてよかった。地球好きだなって・・・その世界に包まれながら、自分のための踊りが自分の意思をも超えて「儀式」になっていきました。

ー 踊っている最中は、どんなことを感じていたのですか?

Marika:ずっと自分に問いかけていました。「踊っていて、たのしい?」「踊っていて、しあわせ?」って。答えは・・・うん。「たのしいよ」「しあわせだよ」って。

ー 自分のための踊りは、全然違うものだったのですね。

Marika:いつもはパフォーマンスを見てくれる人がいるので、どう見えるか?見ている人たちは満足か?そんなことを考えながら踊るんです。でも「儀式」では、そういうことを一切考えなかった。正直スキル的には内容は薄いものだったのに、心はどんどんと満たされ、踊ることが心の底から好きなんだって思えました。

なんで今までやらなかったのかなって。きっとそれは自分がやっていること。パフォーマンスに対して「意味あるの?」「誰かの役に立ってるの?」という疑問があったから。疑問というか、自信がなかっただけなのかもしれません。でも自分が踊っていてしあわせだと感じること。それは自分の世界では一番大切なこと。一番必要なこと。

「儀式」を通してそう確信できました。だから後半はもう、ただただ身体が楽しんでいました。終わるのかな?って思ったけど、ちゃんと終わりました。15分くらい踊っていたのかな。

ー自分のためだけの踊りが終わった後はどんな感覚でしたか?
Marika:ずっと自分が、本当の自分が欲しがっていた部分が埋まったなって。喜びや悲しみ。辛さや嬉しさ。感謝や達成感。これまで味わってきた全ての感情が涙と共に溢れ出してきて・・・ありがとう。しあわせだよ。自分を誇れるよって。自分が自分にしてあげられることはもうなにもない。その時今回のZIPTRIPは、人生の第2章が始まる旅ではなく、第1章をしっかりと終わらせる旅だったんだなと理解しました。

自分がしあわせになれる手段は、自分が持っている。

ー インタビューが始まる前に、ZIPTRIPがもうずいぶん昔のことのようだ、とお話しされていましたね。

Marika:旅が終わってから気がつくことがたくさんありました。だから「旅は終わっていない」という感覚もあります。でもZIPTRIPのおかげで、人生の第1章を丁寧に終わらせられたし、ZIPTRIPに行く前には想像もできない自分になることができた。帰国後に踊った時には、当たり前のように第2章が始まっていました。だからすごく遠い昔のことのように感じるのだと思います。

ー 今、踊りは「儀式」になっていますか?

Marika:そうですね。自分を愛することができたからこそ、揺るがない軸ができました。地球にあるたくさんの問題。見たくない現実ですらしっかりと受け止め、引っ張られることなく愛で包み込み表現する。それができる自信があります。

ー ZIPTRIPは、Marikaさんにとって大切な旅になりましたね。

Marika:ZIPTRIPは、自分の予定にはなかったサプライズのプレゼントでした。もちろんこれまで自分で向き合って、決断してきた人生だったからこそだと思いますが、こんな素敵な旅に出会えたことに感謝しかありません。あと旅の在り方も教えてもらいました。何がしたいの?何を感じたいの?そんな当たり前の感覚で旅を選んでもいいんだよって。それも嬉しかったです。

ー 自分の翼を探す旅。Marikaさんにとって「翼」とは何でしたか?

Marika:自分がしあわせになれる手段は自分が持っている、ということです。すごく当たり前のことだし、言葉の意味はわかっていました。でもそれを「体感」したんです。体感してみると、こんなにも生き生きとするんだって。

ー 最後に、これからMarikaさんが表現を通して伝えていきたいことを教えてください。

Marika:生きていればいいんだよ。それでいいんだよって。肯定してあげたいなって思います。そして自分に自信を失いかけたら、人にしてあげたいと思うことをそのまま自分にプレゼントしてほしい。もしそれであなたがしあわせになったのなら、それはあなたの世界で一番必要なモノなんだよって伝えたいです。

そんな愛のエネルギーを人や社会に届けていきたいと思います。