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今より美しいハワイを未来につなぐために。ZIPAIRができること。

こんにちは。客室乗務員の池川です。

ZIPAIRはこれまで持続可能な社会の実現に向けて、さまざまな取り組みを行ってきました。2023年4月より、年間を通して路線単位でCO2排出量実質ゼロを実現した「カーボンニュートラルフライト」もその取り組みのひとつです。

今回は新たな取り組みとして、ハワイを本来の自然の姿に復元し、次世代に美しい海と⾃然を残すことを目的とした「レストレーション(環境復元)活動」をご紹介します。

ZIPAIRが就航しているハワイ路線には、毎年たくさんのお客さまにご搭乗いただいております。ハワイは観光地として華やかな印象がある一方で、意外に思われるかもしれませんが、ハワイの魅力である美しい海や緑が「本来の姿」から変わってきている現実があります。

ZIPAIRでは、就航地であるハワイのために何かできることはないかと考え、オアフ島でレストレーション活動をおこなう非営利団体「クイレイ・クリフス(Kuilei Cliffs)」へのサポートを開始しました。

クイレイ・クリフスの活動は、生態系を破壊している外来種を除去し、原種を植えることで自然の治癒力を高め、本来の肥沃な土地に戻すというものです。ZIPAIRは、レストレーション活動への参加やドネーションなどを通じて彼らの活動を支援し、世の中に伝えていくことで、ハワイの環境復元に貢献できたらと考えています。

この夏、私、池川はZIPAIRとしてクイレイ・クリフスの活動に参加し、クイレイ・クリフスのリーダー久保田亮さんに活動の背景や想いなどを伺ってきました。

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池川:クイレイ・クリフスでは現在、ビーチの美化活動やレストレーション活動をされていると思いますが、ダイヤモンドヘッドで活動を始めたきっかけを教えていただけますか?

久保田: もともと私はサーフィンをやっているということもあり、ビーチの美化活動や海岸線の植物をハワイ原生の植物に植え替えるという活動をしていました。5年ほど活動を行っていくうちに、今まで外来種の植物ばかりだったそのビーチの海岸線が、ハワイの原生植物で溢れ、今までの景色とまったく違うものになっていました。

その結果に感銘を受けて、サウスショアのタウンでも何かできないかと考え、ダイヤモンドヘッドでの活動を始めました。

ダイヤモンドヘッドロードには外来種の「キアベ」という植物が生い茂っていて、雑木林のようになっており、そこにホームレスも住み着いてゴミも増え、近所の住人の方々も困っていました。

キアベは南米原産の生命力が非常に強い木で、乾燥にも強く、どんどん生えてきます。しかも水や資源を独占してしまうため、周囲に他の植物が育たず、土もカラカラに乾き砂状化してしまいます。さらに、雨が降りその砂状化した土砂が海に流れ込むと、サンゴや海の生き物が死んでしまう原因にもなるのです。

クイレイ・クリフスでは、そんなキアベを伐採し、雑草を抜き、ハワイ原産の植物や芝を植えることで、人の手でハワイ本来の生態系に戻していくというレストレーションの活動をおこなっています。

現在はクイレイ・クリフスのメンバーを中心に、有志のボランティアの方たちと毎週土曜日の朝8時から11時まで、その日に集まった15~20名ほどで活動しています。

池川:「レストレーション(環境復元)」という言葉は日本ではあまり耳にしませんが、ハワイではメジャーなのでしょうか?

久保田:ハワイではクイレイ・クリフス以外にも、さまざまなテーマを掲げてレストレーション活動をおこなっている団体がたくさんあります。

日本では「環境保護」という言葉の方が浸透していますが、保護というと何かに反対をするようなネガティブなイメージもあるんじゃないかなと思っていて。

守るというよりは、自然が本来持っている再生力を人がアシストするという考え方で、「レストレーション」というキーワードを日本にも広めていきたいと考えています。

例えば、日本でも蛍が生息できるように川を美化したり、池の水を抜いて生態系を調べたりする活動がありますよね。そうした活動もレストレーションの一環なのですが、まだまだ言葉が付いてきておらず、日本では浸透していないと感じます。

私たちは観光客の皆さんが多く訪れるエリアで活動を行っていますので、できるだけ多くの方々に活動をしている姿を見ていただいて、自国に帰った時に「こういう活動をハワイでやっていたな」と思い出して広めてくれたら嬉しいです。

また、環境を整える以外に、次世代を教育していくことも大切です。今後も、この活動を子どもたちにも伝えていきたいと考えています。

池川: ハワイの美しい環境は何も手を加えなくても自然に維持されているのかと思っていましたが、ハワイ独自の生態系を守っていくためには、人が手を加えていくことも重要だということを知りました。

私たちZIPAIRをはじめ、このような活動に賛同する方が徐々に増えていき、だんだんとハワイの環境も整ってきているのだと思います。

私自身クイレイ・クリフスの活動に強く共感しており、活動の意図や内容、そしてレストレーションの考え方を日本でももっと広めていき、より多くの人々にとっての気づきや、改めて考えるきっかけになればいいなと感じています。

久保田さんはこれまで活動される中で、大変だったことや嬉しかったことはありますか?

久保田:地元の方々から活動への理解を得ることがとても大変でした。

キアベの木を伐採していると「なんで木を切ってしまうのか」と怒られてしまうことも多々ありましたね。

活動を始めた当初はなかなか自分たちのビジョンが伝わらず、結果もすぐに表れるわけではなかったので、理解していただくことも難しく、当時は悔しい思いもしました。しかし、活動を続けていくうちに手を加えた場所が目に見えて綺麗になっていき、徐々に地元のコミュニティにも認めていただけるようになりました。

また、自分たちが整備しているエリアを多くの方が利用してくれていることがとても嬉しくて、活動のモチベーションにつながっています。

夕方になるとダイヤモンドヘッド周辺に、仕事終わりの方など多くの人が集まるのですが、みんなが座りながら海を眺めている姿を見ると、そんな憩いの場を作ることができて本当によかったなと感じます。

池川:今回ZIPAIRのメンバーと共に活動をしていただきましたが、いかがでしたか?

久保田:皆さんの活動の様子を見ていて感じたのは、ある意味"日本企業"らしくないなということです。全員が常に新しいことを吸収しようという姿勢で、地道な作業にも前向きに取り組んでいる姿が印象的でした。

いろいろなことに対して進んで対応していただけたことで、とても活動がしやすかったです。

一方で、レストレーション活動を一緒におこなっていく中で、あまり土や植物に触り慣れていないのでは、という印象を受けました。新しい世代の方々の中には、日常生活において自然に触れあう機会が少なく、そもそも植物が身近に無いという方も多いのだと思います。

今回の活動を通して、自然に触れることの楽しさに気づいてもらい、ぜひ周りの人に伝えていってもらえたら嬉しいなと思います。

ハワイに「この木なんの木」のCMで有名な木がたくさん生えているスポットがありますよね。
いつか、この場所のように、多くの人々に「ハワイに来たらここに行きたい」と思ってもらえる場所をZIPAIRと作っていきたいです!

池川:入社後、フライト業務以外で初めてハワイへ訪れたのですが、ハワイの美しい自然と調和するように幸せに生きる人々の姿を見て、ハワイの虜となりました。この先もずっと、この島の美しい環境を作り続けるお手伝いができればと思っています!

それでは最後に、読者の方へメッセ―ジをお願いします。

久保田:日本は自然が豊かな国ですが、その自然を活用しきれていないと感じます。
自然はその国の財産です。保護するだけでなくレストレーションという、これからの未来を創っていく活動にも積極的になってほしいですね。

この記事を読んでいただいた皆さんが、まずは自分たちの身近にある自然に興味を持って、このような活動の存在を周囲に伝えていただけたらと願っています。

私たちがハワイで行っている活動はどなたでも自由にご参加いただけますので、ぜひ皆さんがハワイに訪れた際には一緒に活動ができたら嬉しいです。

池川:メッセージありがとうございます。私が今回レストレーション活動に参加させていただき、まず感じたのが人の温かさです。

当日活動に参加していたクイレイ・クリフスのメンバーやボランティア・地元の方々が皆、日本から来た私たちをすぐに受け入れてくれ、温かく接してくれたことがとても印象に残っています。

皆さんから学んだ「ウェルカム精神」を忘れず、人と人のつながりを大切に、私自身の業務にも活かしていきたいと思います。

今回の活動を通じて、ハワイの環境が美しく保たれているのは、現地に暮らす人々の弛まぬ努力があってこそだと実感しました。

実際に自らの手で植物を植えたことで、その大変さを知ることができたのと同時に、その先を見て活動を継続していくことの大変さや難しさも理解することができました。今後も私自身、ハワイの自然環境を自分事として捉え、自分ができることを行動に移していきたいと考えています。

今回活動したスポットは海が一望できて、近隣住民の方や地元のサーファーの方にも愛されている場所です。私たちが植えた植物が成長し、自然環境も整うことで、より多くの方に愛される場所になってくれたらと願っています。

ZIPAIRは今後も、新しい時代を切り拓き、地球環境を大切にするエアラインとして、さまざまな環境活動に取り組み、それを発信していくことで、より多くの人々に気づきや考えるきっかけを広げていきます。


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