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内務省、滞在1時間でイスラエル人メンタリティを『堪能』

さて昨日の朝、家族で1時間ほどエルサレムの内務省に行ってきました。そこで感じたことをドキュメンタリー的に紹介したいと思います。 

住所変更だけのはずが…

イスラエルのIDカード。この赤い部分・住所だけを変えたかったのだが…

まず最初の目的は引っ越したため、一時在留(滞在)者である筆者の住所変更でした。妻(イスラエル人)の方はインターネットで住所変更できたのですが、私の方は『政府系システム』のホームページにログインはできたものの住所は変更できず。そのため3日前に内務省に行ったのですが… 担当職員から「IDカードの期限がもうすぐ切れるから、IDを更新しないと住所変更できないよ」と言われてしまったのです。

筆者は永住者ではない一時在留者なので毎年ビザを更新し、その度にIDカードもそれに合わせて一緒に更新されるのが通例… そして筆者のビザは、2022年8月から2023年2月に半年間自動延長されたとの通達が、今年の初めにあったのです。

そこでその内務省からのSMSを職員に見せ、
「ビザ更新とIDカードは紐付けされているでしょ、なのでビザだけでIDの方は延長されないっておかしくない?」
と主張すると、女性職員Aさんは肩をすくめてこう言いました。

「半年間のビザ自動延長は、今年初めからイスラエルに流入している、ウクライナからの移民・難民へのビザ発給にマンパワーを集中させるため、緊急に決まったの。ただビザ以外(IDカードなどの期限)は延長されておらず、ビザも正式な形で延長されている訳ではなく、色々と問題が発生しているよう。
とにかく2階の査証部門のBさんの所に行って、正式な来年2月までのビザ延長とIDカード発行の手続きをして来なさい」

妻と2人で若干ツッコミとして、
「ウクライナ移民・難民に人員を投入するためにビザの自動延長したのに、正式な延長のために査証部門に行かないといけないって、全く意味なくない?」
と笑いながら言うと、Aさんも笑いながら
「ここはイスラエル、分かるでしょ」と言われました。

叩かずに石でもない橋を渡る、それがイスラエル

そう、これこそイスラエルの真骨頂―
あまり考えず、先手先手を打って行く」です。

もしこれが日本であればビザの一斉延長をする前に、様々なシュミレーションをして石橋を叩きまくっていることでしょう。しかし、ここは中東イスラエル。
査証部門がパンク状態なのでとにかくビザを一斉延長して時間を稼ぎ、問題が出てきたらそこはイスラエリーのお家芸である「トライ&エラー」で対処していこう、といった思考回路なのでしょう。

と良いように言っても、
「ビザとIDカードが紐付けされているから、ビザと一緒にIDの方の期限も延長しないとアカンぐらい、シミュレーションのいろはの『ろ』ぐらいで出て来んかったんかな~」
と苦笑しながら、査証部門に向かいました…

査証部門:取り付く島は…あった!!

エルサレムにある内務省の査証部門

すると、査証部門のBさんに
「ここは原則、アポを取った人のみへの対応。なのでメールでアポを取るか、翌朝の受付時間に来るように」
と言われてしまいました。

内務省のメールなんか1月以上も返って来ませんし(経験済み)、筆者のような(学生・ボランティアと違う)在留者向けの査証部門は『アポを取るためのアポ』でも1~2時間待ちは当たり前。

ある朝の内務省朝の風景。この大半が査証部門への人々。

という事で妻と
「毎年のビザ更新のようなものではなく、5分もあれば終わることですよ~」
「住所を変えるだけですから~」
などと食い下がりつつ、丁寧にお願いすると…

いつもは冷徹なBさん(今までのビザ更新である程度の性格は把握済み)が、
「仕方ないわね、じゃぁ木曜日の10時に来なさい」
と救いの手を差し伸べてくれました!!

しかしこういった口約束は厳禁、実際木曜日に行っても「知らない・記憶にない」と言われる可能性が大です。そこで機嫌を損ねないように注意しつつ、アポが管理されている査証部門の手帳に
「6月30日木 10時 (氏名) (ID) (電話番号)」
を記入してもらう事に成功、ひとまず退散しました。 

住所変更→ ビザ再発行に…

そして昨日、指定された時間に査証部門に行き、無事
①ビザの正式な延長
②新しいIDカードの発行
③住所変更
を30分ほどで行うことが出来ました!!

当たった職員の機嫌が良かったようで、すべてスムーズに行き一安心なんですが… 現状のビザを無効にして新しいビザを発給するという形になったので、ビザ更新料として180シェケル(7,100円)支払うことに…

ここも
「おぃおぃ。半年の自動延長という、そちらさんの都合で勝手に延長したのに、そこらへんはガッツリ(1年間延長と同じ額)取るんかいな」
と心の中ではツッコミ+クレームを入れましたが、先方も機嫌良く冗談を言いながらやってくれているので決して口にはしませんでした。

嘘みたいな話ですがイスラエルでは、職員の機嫌で状況が180度変わったりするのが当たり前。機嫌が良ければ、ビザ更新のために提出した100ページ以上ある書類(アパートの契約書・公共料金支払い・給料明細等)を、ペラペラと数秒めくって審査終了になることもあれば、機嫌が悪かったりどこか地雷を踏んでしまうと、1つ1つ注意深くチェックされ「あれが/これが足りない」と言われることも。

といったことからイスラエルに長期滞在したい外国人は、担当する内務省職員の『太鼓持ち』をしなければいけないのです。

と2度目の正直で、住所変更(というよりも正確にはビザ+IDの更新)というミッションは、コンプリートしました。
内務省では色々起こるので、また別のコラムでも紹介したいと思います。

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