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【宿泊学習〜班編成編〜】


 
 子どもたちは、本当に宿泊学習を楽しみにしています。
 そして、思い出に残る宿泊にしたいと心からみんなが思っています。
 やっぱり楽しい。みんなにとって楽しい。まずはそれが一番です。
 私としても、何年経っても「宿泊楽しかったね!!」「あの時さ〜」と仲間同士で語り合えるような、どんな素敵な時間を届けたいというのが願いであります。

 自分の経験を振り返っても、4年生のときの算数の「折れ線グラフ」の授業があどんな様子であったっかおもいだして?と言われたら、正直なかなか難しいのが本音です。
 
 けれど、4年生でいった宿泊学習のことは覚えています。臨海自然教室も、修学旅行も。運動会や、文化祭なども覚えています。

 こうして今も覚えているような「思い出」には共通点があります。
 
 それは、「大きく心が動いた経験」であることです。

 どうして、大きく心が動いたのか。

 その理由の一つに「自分たちで創り上げたから」があると思っています。

 自分たちで布団を敷いて準備する、自分たちで火を起こしてカレーをつくる。
 自分たちで散策する場所を下調べして、工程を考え、お土産を買ったり観光したりする。
 応援歌を何にするか考えて応援合戦をつくり上げる。 
 催し物を考えてお客さんを呼び、楽しませる。
 
 
 

 「自分たちで創り上げる」という経験を通して大きく心が動く。
 
 そもそも創り上げる過程が楽しい。
 自分たちで創り上げるという喜びがある。
 与えられたことをこなすだけでは、味わえない達成感がある。
 苦労もある。でもその分感動がある。
 自然と人とつながり合うことができ、仲間のありがたさに感謝が生まれる。

 楽しいことは、もっと楽しくなる。

 このような自分の経験からも、「自分たちで創り上げる」という機会をより多く子どもたちに届けたいというのが、私の一つの思いであります。

 そのような思いから班を決めること一つとっても、どのように決めるのか、なぜそのような決め方が最もふさわしいのかを子どもたちと話し合いながら、丁寧に創り上げていきました。

 そして、この「班決め」は、おそらく子どもたちにとって、ものすごく大きなことである
と思います。だからこそ、子どもたち全員が納得する方法で、全員が納得する落とし所を、全員でつくりたいと思いました。 

 少々前置きが長くなってしまいましたが、結論からいうとシャッフルした「ネームプレート」をランダムに貼って、すぐに決定しました。これは、子どもたちが自然教室の目標「より良い人間関係を築く」と照らし合わせて出した結論です。
 
 しかし、これまでけんかをしたことがあったりだとか、どうにも折り合いが付きにくい相手がいるということも正直なところだと思います。
 「心配なことがあったら、1日の振り返りに書いてもいいし、先生のところにもいつでも相談においでね。」と伝えました。

 子どもたちの話を聞く中で、大なり小なりたくさんの経験があったのだなと改めて感じました。
 それと同時に、多様な相性や過去の経験があったとしても、毎時間の中でお互いを認め合って学び、班決めについても「ランダムがいいです!」と言い切れる子どもたちに感動しました。

 「誰とでも手を貸し合える」「新しいつながりを楽しむ」そんな学級の成長を感じ、素直に嬉しかったです。

 3年生からずっと「みんなが仲良くは難しくても、誰とでも協力はできるのでは?」と語ってきました。また、誰とでも手を貸し合える機会を意図的に授業に取り込み、環境を整えました。その中で、子どもたちのより良い関係を紡いできました。

 4年生になってからも、良い意味でリセットすることを伝えたり、より関係が広がるように多様なグループで協力できる機会をつくり続けています。

 班決めをする時間。

 改めて、目標を確認しました。
 
 そして、少し前に書いた学級通信第28号を読み聞かせました。

 「誰とでも不安なく、安心して過ごせる状態であるのか」「それとも誰とでも組めると言い切れない不安があるのか。」

 これまでの積み重ねによって、「安心感」や「居心地」つくられていること。 
 「誰とでも手を貸し合えること」の価値。
 
 それぞれについて、通信を通して語りました。

 そして、毎日取り組んでいる「生活けテぶれ」のシートに書かれていた振り返りの中から、一つを紹介して読み聞かせました。

「今日、朝連絡帳を急いで書いて、手紙がある場所に行って〇〇さんと配りました。理科の授業の後の黒板をきれいに消した。そうじの時、〇〇さんが「一緒にほうきやろう。」と声をかけてもらいました。その後テレビのリモコンを置く場所がよごれていたからぞうきんで、ふいて、その後辞書をきれいにそろえて、次に習字のペットボトルをきれいにしました。”ちなみにいたがの不安はなしです”」

 
 これまでの積み重ねが大きな安心感を生むということの全てが詰まっているような振り返りです。
 
 学級のために自分ができることはなんだろうと、常に全体を見て考えている。そして、行動に移している。自然生活体験学習の目標の2つ目である「自分で考えて行動する力」を磨くことにもつながっています。
 何より、こうした「誰かのために」と与え続ける積み重ねをこの子はしてきているのです。
 いつも、人知れず、「誰かのため」 になることを考え、与え続けている。
 
 私はもちろんのこと、学級の仲間たちもその姿を見ています。
 そして、感謝をもって「こうして人のために与えてくれる人に、自分は何ができるだろう。」と考えて、また行動したくなるものです。
 そこに豊かなつながりが生まれないわけがありません。

 だから、振り返りの最後に力強く書けるのです。

 「ちなみにいたがの不安はなしです」と。

 そして、「人にはそれぞれ相性がある。これまで過ごしてきた背景もそれぞれある。多少なりとも不安があることはもしかしたら当然なのかもしれない。それでも「ランダムで良い!」と言える教室をつくってきた皆さんを先生は、誇りに思います。」と最後に語り、ランダムで班を決めていきました。

 子どもたちの表情を注意深く見ていましたが、また新しい仲間とつながれる機会にわくわくしてる様子でした。

 もしかしたら、それでもなお不安はあるかもしれません。 
  
 なので、授業を通して、この自然体験学習の様々な班で学び合える時間を意図的に取り入れていこう考えています。
 
 自然生活体験学習が、ますます楽しみなるような毎日を積み重ねることができたらと思います。

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