【1人が美しい】
漢字の学習は、授業参観で見ていただいたような流れで行っています。
漢字ドリル音読。
できるだけ素早く正確に音読をします。読めない漢字を書くことは難しいです。漢字が書けるようになるコツの一つに「見慣れる」ということがあります。「なんか見たことあるなあ。」と目に入る回数を増やすこと。
習っていない漢字がなんとなく書けることがあるのは「見慣れたこと」が理由です。
だからとにかく習う漢字に見慣れることです。
アメリカの心理学者のオーズベルは「先行オーガーナイザー」という考えを提唱しています。先行オーガナイザーとは、これから学習する内容について、あらかじめ概略を先に提示すると、すでに知っている情報と関連づけたりして、理解を促すことができるという考えです。
大まかに内容を知っておくことで、見通しがたち、これまでの知識と結び付けたり、注目すべきポイントを明確にしたりできるので、より良い理解につながっていくっというわけです。
そんな漢字ドリル音読を終えると、次は指書き。
ポイントは3つ。
○指先を伸ばすこと(人差し指以外はしっかりと折りたたむ)
○顔の大きさくらいで書く
○声に出して書き順を唱えながら書く
指先は、第二の脳と言われているほど、たくさんの神経が集まっています。
そこに意識を集中させ、刺激を与えることで記憶しやすくなるようです。
なぞり書きや、練習書きでも「筆圧」がポイントになってくる理由も同じです。
指先に適度な刺激が加わり、より覚えやすくするため。
顔の大きさくらいで書く理由は、大きくはっきり書くことで正確に覚えることができるからです。
ゴニョゴニョした字で書いていては、正しく形を捉えることができません。
だから、顔の大きさくらいで大きくはっきり書きます。
また、身体で覚えたことはなかなか忘れにくいという特徴もあります。
一度自転車に乗れるようになったら、いつまでも乗ることができるように。
書き順を唱えながら書くのは、「音」としても情報が入ってくることにその良さがあります。目で見て、体を動かし、音からも情報を入れる。
あらゆる感覚を使って覚えることで身につきます。
1日で最も聞いているのは、「自分の声」です。声でアウトプットして、それを耳でインプットする。それを連続でできる点が、唱えながら書くメリットです。
ここまでの漢字ドリル音読、指書きは、動きを加えて集中力を持続させるために立って行います。その後は座って、なぞり書きと練習に。
ここに書いたように、これらの取り組みには明確な意図があります。
漢字ドリル音読を繰り返した範囲の漢字のテストは、正答率は明らかに高い。
その効果を子どもたちも感じております。
音読や指書きは、正直サボることもできるでしょう。適当にやったふりもできるかもしれません。
周りの友達が座り出したら、まだ音読が終わっていなくても、まだ指書きが終わっていなくても、みんなと合わせてしれっと座ることはできます。
最後の1人になって立っていることが恥ずかしいのかもしれません。
でもそれは本当に恥ずかしいことなのでしょうか。
ごまかして、なんとなく友達に合わせて、手を抜くことの方が恥ずかしいことだと私は思います。
最後の1人なっても構わない。
決してごまかさない。
自らの力を磨くためにやり抜く。
そんなかっこいい姿が教室にあります。
1人が美しい。
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