Zigzage

まずは自分の文章を書き、そこから遡って考えを広げていこう、としています。ただ今までの議…

Zigzage

まずは自分の文章を書き、そこから遡って考えを広げていこう、としています。ただ今までの議論に合う筋道にならないことも。哲学・社会学・言語に興味あり。

最近の記事

前提を強制する議論

このシリーズ(マガジン)では、筆者がほとんど書き終えている文章の論旨を前提にして、現代社会への適用について考えていく。理論的には相当の飛躍がいくつもあることだろうが、一旦それを認めてもらい、ここでは見えてきた景色を共有したい。この内容を含めて、本文は文学フリマ39で『上下関係の筋道』というようなタイトルで出品する予定になっている。 理論も言葉でできているため、いくらかは詩的な側面がある。そして詩的な側面は、正しい前提の共有なしでもいくらかの効果を示す。例えば、カントの「もの

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    • ふと、寛容とは何かを考えた

      このシリーズ(マガジン)では、筆者がほとんど書き終えている文章の論旨を前提にして、現代社会への適用について考えていく。理論的には相当の飛躍がいくつもあることだろうが、一旦それを認めてもらい、ここでは見えてきた景色を共有したい。この内容を含めて、本文は文学フリマ39で『上下関係の筋道』というようなタイトルで出品する予定になっている。 12月1日までに四つの記事を出す予定で、これはその第一弾になっている。 SNSで炎上を遠目に見ながら、あるいは、自分も怒りつつ差別について考えた

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      • Malbono ne ekzistas(悪は存在しない)

        濱口竜介監督の新作映画「悪は存在しない」を観たので、今回はその感想を書いていこうと思います。 この映画、とにかく映像と音楽が美しいので、それだけでも観る価値はあります。それはともかく、なんてラストなんだろう。そして、なんというタイトルだろう。多分、みんなそんな風に、観た後はぼんやりと考え込んでしまうことと思います。 これを書いている自分は、この映像に出てくる富士山の見える道路になぜか親近感をおぼえました。エンドクレジット、山梨県北杜市小淵沢がちょっと出て、ハッとするような

        • 文学フリマに向けて(徒然)

           5月19日に文学フリマ東京が迫ってきたので、今回はこのイベントの良いところを徒然書いてみたいと思います。 まるで陶器市のように  最近は本を出すためのハードルが非常に低くなっているので、本当に沢山の本が日々出版されています。それはとても一人の人に追いきれるようなものではありません。昔なら、出版された本はある一定の社会的意義を持っているとされてたこともあったでしょう。今は、必ずしもそうではなく、むしろ、本は私達の生活を彩るもの、花瓶の花となったといえるでしょう(もちろん〈

        前提を強制する議論

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        マガジン

        • 「上下関係の筋道」から考えたこと
          2本
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        • 『会話についての思索』の要約
          6本

        記事

          ワニについて考える言語(文学フリマ東京38)

           以前からエスペラント運動というものに参加しています。今回、その活動のなかで生まれたゲームブック『クロコディーロ / Krokodilo』※を、5月19日開催の文学フリマ東京38※2にて頒布します。その中身と周辺についてエッセイ的にご紹介します。(Webカタログリンクはこちら) ※ 1000円を予定。こちらでも販売中。 ※2 今回から入場料1,000円(税込)となります。  クロコディーロとはワニのことです。つまり、エスペラントという言語でワニのことをKrokodilo(ク

          ワニについて考える言語(文学フリマ東京38)

          自然を良しとする表現(「半人間」紹介その2)

          2024年5月19日(日)に東京流通センターで開催される文学フリマ東京38※に再び「牽引社」として出店する。その際にまたちょっとしたエッセイ的な本『半人間・半意識論』※2を出す予定になっている。前回はその基本となるアイデアを紹介したが、今回はもう少し踏み込んだ内容を紹介したい。(Webカタログリンクはこちら) ※ 今回から入場料1,000円(税込)となる。 ※2 初版200円を予定。 人間性とは、という問い前回既に触れたように、半人間とは人の反省しない部分の抽出である。こ

          自然を良しとする表現(「半人間」紹介その2)

          『のろいをとくための読書会 活動記録集』紹介(文学フリマ東京38)

           たまたま、フェミニズムの読書会に参加する機会がここ何年か続いていました。最近参加していた「のろいをとくための読書会」が活動記録集を出したので、今度の文学フリマ東京38にて頒布します。今回はその活動の簡単な紹介と感想です。 のろいをとくための読書会 活動記録集① 2020-2022  1000円 のろいをとくための読書会 活動記録集② 2022-2023  1000円  読書会の流れはよくあるもので、課題となる本を取り上げて、各章ごとくらいで担当がレジュメを作成し、感想

          『のろいをとくための読書会 活動記録集』紹介(文学フリマ東京38)

          半人間・半意識というアイデア

          2024年5月19日(日)に東京流通センターで開催される文学フリマ東京38※に再び「牽引社」として出店する。その際にまたちょっとしたエッセイ的な本『半人間・半意識論』※2を出す予定になっている。今回はその目標とすることについて紹介したい。 ※ 今回から入場料1,000円(税込)となる。 ※2 初版200円を予定。 身近な人との「対話」のための哲学最近思うのは、どんなにあれこれ哲学・思想を沈思黙考しても、それは結局のところ私達自身にとって重要な他者とのコミュニケーションのな

          半人間・半意識というアイデア

          本質と見立てとなるものの混乱

           今度の11月11日に東京流通センターにて行われる文学フリマ東京37に参加する。今回は第二展示場2階のFホール「つ-48」にて出展する。出展名はいつも通り「牽引社」で、お隣は日本エスペラント協会(自分が活動もしている)になっている。https://c.bunfree.net/c/tokyo37/h2f/%E3%81%A4/48  今度の出展のために『会話についての思索』を増刷して用意したり、『解釈学的実践論』の追記を冊子にして用意したりした。前者については、以下のシリーズでN

          本質と見立てとなるものの混乱

          「君たちはどう生きるか」の解釈学っぽい楽しみ

           宮﨑駿監督の最新作を公開初日、レイトショーで観てから、普段楽しみにしている映画系のYoutuberのお話を聞いたりしつつ、いろいろ考えていました。感想などは出さないつもりでしたが、少し面白いことに気づきました。皆さん本当に色々なことを考えるし、またその色々な考えが映画を彩っていくような感じがあります。つまり、これはメタもメタ、解釈学っぽい楽しみがある映画なんじゃないかと思い始めました。そこでちょっとここに表現をして、自分なりにこのお祭り?に参加してみたいと思います。  と

          「君たちはどう生きるか」の解釈学っぽい楽しみ

          入管法改正案について

           【入管法改正についてどう思いますか?】と世間の皆さんから強く問われているように思う。私は一市民に過ぎないけれど、改めて考えてみないといけないことだと思ったので、ここで試みたい。  沢山の問題が絡み合っているけれど、とにかく改正しなければいけない何かがある、という点についてほぼ皆の意見が一致している、という点についてまず確認したい。今のままではいけない。Tamen por kiu ni shanghu la aferon?(けれど、誰のために改正しようか?)  よく話題にな

          入管法改正案について

          良いものを表現することと仕事(#5/21文学フリマ)

           今度の2023年5月21日(日)に開催される文学フリマ東京36に出店する(牽引社 け-16)。前回、そのために用意している「良いものを良いと表現することについて」という小論について紹介した。  今回は、この小論の内容を生活と労働に適用させたときにどんな見え方がするかについて、簡単に見ていきたいと思う。本の中身が前提になっているから、この記事だけを読んでも残念ながら十分な理解にはならないと思う。そんなものを書くのはおかしなようだけれど、この小論を土台に据えた議論の道を曝すと

          良いものを表現することと仕事(#5/21文学フリマ)

          良いものを良いと表現する。(#5/21文学フリマ)

           今度の2023年5月21日(日)に開催される文学フリマ東京36に出店する(牽引社 け-16)。そのために用意している小論について、簡単に紹介したいと思う。  テーマはずばり、良いものを良いと表現することについて。評価すること、認めること、褒めること、などなど当たり前に行われる表現だが、考えてみると色々と言えることはある。  価値観は人それぞれであるから、絶対的な良さを表現することはできない(できるのはそれを目指し続けることだ)というのは見新しい議論ではない。そうではなく、

          良いものを良いと表現する。(#5/21文学フリマ)

          翻訳と交流(本の感想とエッセイ)

          『ユー・メイド・ミー・ア・ポエット、ガール』 先日、11月20日にあった文学フリマ東京35にて、エリザベト怜美さんの『ユー・メイド・ミー・ア・ポエット、ガール』という詩集を買った。  たまたま自分の出品していた本(『会話についての思索』)を見つけてくださって、立ち話などしたり、また詩と翻訳というテーマで少し繋がりもあったので、とても嬉しく、柄にもなく買ってみた。内容はもとより、モノ・ホーミーさんの絵や印刷、製本まで非常に手が込んでいて満足感は高い。  英語がそれほど得意でな

          翻訳と交流(本の感想とエッセイ)

          文学フリマから古本販売へ

           先月の20日で行われた文学フリマ東京35では、前回まで紹介してきた『会話についての思索』と、エスペラント関連の教科書・書籍などを一部委託を受けて販売した。結果は上々、十分に手に取ってもらえたように思う。  自分の本が他と比較すると大変安い(カバー付文庫本で100円)ものだったこともあるかもしれないが、それにしてもこんなに変わった思想系の本を興味を持って見てもらえることがすごいな、と思う。哲学系の大学院に進む方だったり、哲学科の卒業生の方だったり、そういった方もいる。自分の

          文学フリマから古本販売へ

          反知性と脱知性と『会話についての思索』要約6

           いよいよ来週、11月20日の12時から東京流通センターにて、文学フリマが開催される。そこに自分も出店するのだが、このために用意した新しい本の各チャプターの要約(?)を最近Noteで行ってきた。今回はその最終回になる。  タイトルは「脱知性的」としている。よく似ているが反知性主義とは違ったものとして造語した。端的に言えば、会話のなかで「頭の良さそうなこと」や「知識が特にありそうなこと」は忌避されがち、ということを意味している。  反知性主義という言葉自体は、歴史的にも様々な

          反知性と脱知性と『会話についての思索』要約6