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カルビって、「切り方」だったの?!牛肉マイスターに、牛肉のおいしい食べ方や部位をきいてみた。

こんにちは。JA全農広報部note編集部のFです。皆さんは、普段から牛肉食べたり買ったりしていますか?私は埼玉県出身者だからなのかわかりませんが、牛肉はなかなか縁遠いお肉です。お正月や、お祝いの席でだけいただける特別な存在というイメージ。というわけで、例えば焼肉屋さんにいったとき、私の心はいつもこうなるのです。

(‘_’)。oO(ロース?イチボ??ザブトン???違いをわかってない!から何を頼んでいいかわからない!!)


この時、顔は平静を装いつつも心の中では、初めてのお遣いで道に迷ってしまった4歳児のごとく焦りまくっているのです(でも、もう齢三十を超えて妙なプライドがあるので決して顔には出さない。出せない。「愛想笑い」と「タン=舌という唯一の焼肉知識」だけが友達さ☆)。

焼肉屋さんでは上のとおり適当に乗り切っていた(いや乗り切れてないのよ)私ですが、やっぱり全農で広報をしているのにお肉のことをこんなに知らないのはさすがにまずいよね…でもどうやって覚えたらいいのよ…と、たびたび仕事中に甘えた泣き言を言っていたところ、お肉を取り扱っている会社「JA全農ミートフーズ」の方が助けてくれました。なんと同社に牛肉マイスターと呼ばれている方がいるらしく、その牛肉マイスターが教えてくださるとのこと!
というわけで、のこのことマイスターを訪ねてみました。

牛肉マイスターこと、
前田 信吾 さん

JA全農ミートフーズ株式会社で牛肉事業、加工品事業の統括をしている。入社以来、牛肉の仕入れ~営業を担ってきた。現在は牛肉部門を統括するほか、ローストビーフなどの加工品での事業展開にも積極的に取り組んでいる。

F:前田さん、今日はよろしくおねがいします。前田さんは御社で牛肉の営業・販売を長く担当されていると伺いました。

前田さん:入社したときから牛肉の営業を担当していました。量販店や飲食店への営業ですね。今は牛肉の営業を統括する立場です。

F:ということは、私たちがスーパーで買ったり焼肉屋さんで食べたりする牛肉には、前田さんが関わったものがあるかもということですね。お世話になっています。

前田さん:だとうれしいです。あとは、最近、当社ではローストビーフなどの加工品の製造販売もしており、その統括もしています。例えば、みなさんがスーパーで買ったり飲食店で食べたりしているローストビーフは、弊社が作ったものかもしれません。

F:ほおお…!仕事で嫌なことがあったときとか「ちょっと贅沢しちゃお~」とスーパーでローストビーフのサラダを買っちゃいます。JA全農ミートフーズが作ったローストビーフかもってことですね~。やっぱりお世話になっております、ありがとうございます。

F:では早速、牛肉のことを教えていただきたいのですが、私は牛肉に関して「タン=舌」くらいの知識しかないので…その前提で見捨てずお付き合いいただければと思います。

前田さん:大丈夫ですよ。

F:まず、お肉って「ロース」とか「バラ」とか、いろいろ部位があるじゃないですか。牛肉の部位はいくつあるのでしょうか?

前田さん:分け方にもよるのですが一般的には13個に分けられます。「ネック」、「かた」、 「かたロース」、「かたばら」、「ヒレ」、「リブロース」、「サーロイン」、「ともばら」、「うちもも」、「しんたま」、「らんいち」、「そともも」、「すね」で13個ですね。


F:…多。

前田さん:あとは、販売するお店や飲食店によっては、希少部位であることをウリにするためにもっと細かく分けたりしています。「ザブトン」や「ミスジ」なんて聞いたことが無いでしょうか?

F:聞いたことだけはあります!どの部位なのかは知らないですが…

前田さん:ザブトンはかたロースの中にあって、比較的サシが入っている部位。ミスジは「かた」の中にありますね。


F:なんでこんな細かく分けるのでしょうか。

前田さん:一番の理由は、全部まとめてだと大きすぎるからですね。牛一頭からとれるお肉は約350kgにもなります。丸ごとだと流通させるのも、売買するのも難しいですね。だから大前提として、ある程度分けて流通させる必要がある。その前提で、じゃあどう分けるかというと、味わいや食感が違えばニーズも違うので、ある程度のまとまった特徴を持つ部位ごとに流通しましょうとなるわけですね。あとは、細かく希少部位に分ける場合は、販促につなげるという目的もあると思います。

F:確かに。例えば野菜のカブの白いところと葉っぱとを分けなくても流通できるけど、お肉は難しいですもんね。
そういえばさっきの13部位を見直してみると、みんな大好き「カルビ」がないですが?

前田さん:カルビは部位じゃなくて切り方。焼き肉用の四角い切り方ですね。カルビという言葉の由来は、韓国語でバラを意味する言葉からですが、現在は切り方を指すことが多いです。語源のとおりバラからとることが多いですが、肩ロースのこともあります。

F:はあ~!そうなんですか。確かにきれいな四角のイメージはあります。

F:こうした部位、あるいは切り方の名称が大体カタカナで…覚えられません。プロたちはどんな風に覚えるのですか?牛肉版「スイへ―リーベ―・・・」的な覚え方はないのでしょうか?

前田さん:特に覚え方というのはないですね…当社の社員であれば産地から仕入れた肉を検品(納品先の要望するスペックに合っているかを確認)しているうちに覚えちゃう、というのが本当のところかもしれないです。きっと消費者の方が覚えるのは難しいことだと思います。

F:それを聞いてちょっと安心しました。お店に行くと知っていて当然のような顔をして部位が表示されているので…。では、そんなたくさんの部位がある中で、ド素人はまず何を食べたらいいのでしょう?

前田さん:食べ方によりますねえ。

F:まずは焼肉でおねがいします。

前田さん:個人的には「ばら」ですね。中でも「ともばら」。


F:「ともばら」はどんな点がおすすめなのでしょうか。

前田さん:脂もちょっと甘くて、ヒレとかとは違う歯ごたえもあるんだけど柔らかい。やっぱうまいですね。

F:今度焼肉に行ったら、脂の甘さに注目して食べてみます。
あとそうだ、焼肉だと順番の流儀があるじゃないですか。以前、最初にタンを焼かなかったらめちゃ怒られたことがあってトラウマです。。。

前田さん:タンから焼いてなかったら俺も言っちゃうかも(笑)

F:やっぱりそういうもんですか…。順番に決まりはあるのでしょうか。

前田さん:決まりということではないですが、タレとかがついていないものを先に焼いたほうが、その後に焼くお肉もおいしくいただけますよね。タレがついていないタンとかあとはハラミとかね。脂がそんなに出ないので。ちなみにハラミは先ほどのお肉の部位には含まれていなくて、横隔膜、内臓に含まれます。

タン
ハラミ

F:タレがついてなくて脂っこくないお肉から始めると。

前田さん:その後ようやく、脂っこいカルビとか。で、いったん脂の少ない赤身ですね、で、最後は網を換えてもらってホルモン。

F:確かにホルモンはあとの方に食べているイメージがあります。

前田さん:火が出るし焦げ付いちゃうからね。

F:あっさり⇒脂っこい⇒もう一回あっさり⇒ホルモン・・・と網と味わいの変化のための順番なのですね。焼肉がちょっとだけ怖くなくなってきました。

前田さん:焼肉の話ばっかりしてきちゃったけど、あとは「ロース」ならすき焼き、「もも」ならお家で作るローストビーフとかステーキとか。和牛じゃないとちょっとパサついちゃうかな。

F:お家だとカレーや煮物、牛丼など、煮るお料理もよくありますよね。そんなときはどの部位…というかどういう状態になった牛肉を選べばいいのでしょうか?

前田さん:肉じゃが・牛丼であれば、「切り落とし」。切り落としは、部位としては「バラ」や「もも」、「かた」とかが多い。それらが複数、混ざっていることもある。ラベルに部位は書いてあります。脂もほどよくあっておすすめです。一枚ごとのお肉が大きい切り落としだったら、しゃぶしゃぶにも使えますよ。

F:あ~「切り落とし」ってその名の通り部位じゃなくて切り方なのですね。その辺もごっちゃになっていました。そして、お家でしゃぶしゃぶをやりたくなったら、超立派なロース肉にこだわらなくてもいいということですね。

前田さん:それと「切り落とし」は炒めてもおいしいですね。あとは、煮物でいくと「スネ」。

F:スネって、スーパーだとどういう形状で売っていますか?

前田さん:ブロック状とか角切りになっているのが多いですね。

F:あー!カレー用とかで売っているさいころ状のお肉ですね。


すね肉の塊肉。これがブロック状に切られて売られていることも多い

F:ここまで、定番の部位や切り方の牛肉についてお話を聞いてきましたが、あんまり知られていないけどおすすめな、穴場的なお肉はありますか?

前田さん:「サガリ」かなあ。みんなハラミ、ハラミっていうけど…。サガリはハラミよりちょっと筋が多いけど同じような味わいなんです。

F:サガリはどこの部位なのでしょうか?

前田さん:横隔膜です。ハラミは横隔膜の背中側の部分、サガリは肋骨の方の部分です。

F:焼肉屋さんで「サガリ」があったら、「サガリって意外とおいしいんだよ!」ツウぶってみます。

F:今日、前田さんにいろいろ教えていただいたおかげで、焼肉にポジティブな気持ちになりました!最後に、お伺いしたいのが、和牛のお肉って豚肉や鶏肉に比べてももちろんですし、あとは輸入牛肉に比べてもやはり高価じゃないですか。そんな中でもやっぱり和牛を選ぶべき魅力ってなんでしょう?

前田さん:まずはやっぱり味。うまいから。それに、焼肉といえばやっぱり和牛のイメージなのかなと思います。あとはステーキにしろ、焼肉にしろ、すき焼きにしろ、牛肉を使うときってお祝い事の場面も多いのでは、美味しい=幸福感と。そんなときには、ちょっと値は張るかもしれませんが、和牛を選んでもらったら絶対に後悔はしないはずです!

F:そうですよねえ。そして文字だけじゃやっぱり伝わらないので、実際に食べてほしいですよね。

前田さん:もし焼肉に行きたくなったら、ぜひ当社の「ぴゅあ」へ!「この味でこの値段!」と驚額のコスパで国産和牛をご提供しています。

おまけ:各部位の特長とおすすめ料理


ネック:脂が少なく筋が多めで歯ごたえはありますが、肉の本来の味がします。比較的お手軽な価格で売っているので平日の炒め物・煮込み料理に向いています。
かた:脂が少なく赤身が多く、味が濃い。薄切り・切り落しにしてしゃぶしゃぶ・すき焼きで、希少部位のミスジは焼肉で美味しく食べられます。
かたロース:霜降りが綺麗に見える部位で、薄切りにしてすき焼き・しゃぶしゃぶで、ロース側は厚めのカットでステーキにも最適です。
肩ばら:よく動かす部位なので脂が少なく赤身肉です。煮込み料理やひき肉に使われます。
ヒレ:最も柔らかく脂が少ない部位です。ステーキやカツには最高です。
リブロース:霜降りが最も映える部位で、肉質も柔らかく、すき焼き・しゃぶしゃぶに最適です。
サーロイン:柔らかくて霜降りが多く、味も香りも良く、ステーキにぴったりです。
ともばら:最も大きな部位で比較的脂が多い部位です。焼肉に最適でカルビ・カイノミ・フランク(ささみ)といろいろな食感を味わえます。また煮込み料理やすき焼きにも使えます。
うちもも:脂の少ない赤身肉です。ローストビーフやモモステーキに向いています。
しんたま:脂の少ない赤身肉です。焼肉や煮込み料理に向いています。
らんいち:きめ細かく、柔らかい赤身肉です。ローストビーフやたたき、ステーキにも使えます。
そともも:脂の少ない赤身肉です。ローストビーフや煮込み料理に向いています。
すね:脂が少なく、筋が多いです。じっくり煮込む料理(シチュー等)に向いています。


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