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「全部みる」シリーズのすべて~または私達は如何にして映画の光を信じて作品を観ようと思ったか~
はじめに
私たちがこの企画を始めたのは「何かを達成したい」という気持ちからであります。
例えば、金熊賞の作品を全部観た人はどれくらいいるでしょうか。
それを達成できれば私たちはもう一段上へと登っていけると思うのであります。
ここでは映画祭や映画賞で受賞した作品を全制覇することを目的とし、評価とレビュー、対談を交えて一記事とします。
この企画が何かの役に立てば幸いです。
メンバー
〇おい
ボブ・フォッシー監督『オール・ザット・ジャズ』めくるめく自伝的名作
<作品情報>
<作品評価>
60点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆
<短評>
おいしい水
自らの死期を悟ったボブ・フォッシーが命を削るようにつくった自伝的作品です。単純なミュージカルではなく、自らの過去を振り返る幻想のような形でミュージカルシーンが挟まれます。
やはりミュージカル出身監督だけあり、迫力あるミュージカルシーンは文句のつけようがないほどきらびやかで独創的です。
ロイ・
ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ノンストップ活劇大作!
<作品情報>
<作品評価>
95点(100点満点)
オススメ度 ★★★★★
<短評>
おいしい水
人殺しながら行って帰ってくるだけなのになんでこんなに面白いんだろう?
映画の面白さってこうですよね。『バーフバリ』に近いものを感じました。美術、キャスト、演出、全てが素晴らしすぎます。
前作みてないですし、一回見ただけじゃ細かいところまで語れないですね!!とにかく面白かったです!!
吉原
黒沢清監督『スパイの妻』真実はどこに?緊迫感あふれるサスペンス
<作品情報>
<作品評価>
80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
銀獅子賞とか抜きにして普通に映画としてめちゃくちゃ面白い!お見事!いや、ほんとにあっという間でした。
戦争の話ではありますが、夫婦の疑心暗鬼合戦がとにかくおもしろいです。とはいえ黒沢清にしては独特のホラー演出はあまりみられなかったのですが、セリフの間や沈黙、カメラワークが素晴らしく、全体に終
ロバート・アルトマン監督『ショート・カッツ』全てが繋がっていく群像劇
<作品情報>
<作品評価>
65点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆
<短評>
おいしい水
長い!ロバート・アルトマンはあまり合わないかもしれません。物語がどうこうというよりも長くて飽きてしまいました。
10組の夫婦を断片的に描き、微妙に重なっていくという脚本はすごいと思います。しかもジャック・レモン、ジュリアン・ムーア、フランシス・マクドーマンドなど主役級のキャストで。
その中で
ヤスミラ・ジュバニッチ監督『サラエボの花』ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が残した傷跡
<作品情報>
<作品評価>
75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
大傑作『アイダよ、何処へ?』の監督ということで期待していました。そしてその期待に違わぬ秀作でした。とてもいい。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が残した傷跡を切実に描いています。シングルマザーの女性と娘を描いたシンプルな作品ですが、深い傷跡を観客にも残します。
内戦ものは辛くてあまり観ないのです
ジョン・シュレシンジャー監督『真夜中のカーボーイ』都会の孤独を描いたニューシネマ
<作品情報>
<作品評価>
80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
素晴らしい!これは映画としてすごく面白く、そして革新的です。もろアメリカン・ニューシネマのこの作品がアカデミー作品賞とれたという事実が驚きしかないですね。
時系列関係なく、というか未来に起こるかもしれないことまでごちゃまぜにしたフラッシュバックの編集の迫力が凄いです。多くを言葉では説明しない
ラヴ・ディアス監督『立ち去った女』4時間弱の復讐劇
<作品情報>
<作品評価>
90点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
あっという間の四時間でした。苦しみも優しさも全て含めて人生であり、安定を求めるほどに崩れ、死にたいと思うときほど生きる理由が見つかってしまうのです。
ほとんど固定カメラの長回しからなり、効果音もありません。白黒で刑務所や貧困層の風景を写しているのになんでしょうか、この美しさは。そして画面から
ローレンス・オリヴィエ監督『ハムレット』クラシカルな古典の映画化
<作品情報>
<作品評価>
85点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆
<短評>
おいしい水
陰影のはっきりとした美しい撮影、そして豪華な衣装が素晴らしいです。それに加えてローレンス・オリヴィエの演出で優れていると思ったのは空間の見せ方でした。階段や廊下の空間の示し方が抜群に上手いと思いました。父王にハムレットが会うあの塔の上、オフィーリアとハムレットの距離など劇的で不穏な感じを見事
エドマンド・グールディング監督『グランド・ホテル』ホテルに集った人々の群像劇
<作品情報>
<作品評価>
70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
「グランドホテル」形式と一種の型になるだけあってなかなか面白かったです。男爵が可哀想でしたし、クリンゲラインとフレムヒェンのシーンは泣きました。起こっているのは悲劇ですが、グランドホテルの物語はまだまだ続く、という感じで爽やかに終わるのがいいですよね。
吉原
偶々、そこに居合わせた人々の動
オードレイ・ディヴァン監督『あのこと』臨まぬ妊娠をした学生の12週間
<作品情報>
<作品評価>
75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
徹底したリアリズムによって語られる一人の女性の受難、とにかく辛く痛い映画でした。終盤に向かってどんどんそれが加速していくので観ているのが本当に辛かったです。
本当に監督二作目?というくらい洗練されたディヴァン監督の手腕に舌を巻きます。展開も早く語り口もこの物語には一番適したトーンでよかったで
ヒュー・ハドソン監督『炎のランナー』英国産!感動の実話
<作品情報>
<作品評価>
55点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆
<短評>
おいしい水
英国映画らしい格式高いお上品な作品でした。でもまあ退屈だったかな…大して盛り上がりもないですし。
冒頭海辺を走る選手たちのシークエンスがピークであとは興味を失っていきました…あのテーマ曲はすごい。テンションあがりますね。
やっぱりそこまで厳格な宗教観というのは馴染みがないですし、「意志を貫く
メル・ギブソン監督『ブレイブ・ハート』闘い続ける!アツい物語
<作品情報>
<作品評価>
75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
メル・ギブソン監督主演の作品賞らしい壮大な大作です。それと同時に史実とはかなり異なることから論争を呼んだ作品でもあります。
Wikipediaにもかなり史実との違いが詳しく書いてあります。まあそれは置いておくとしても、古きよき英雄譚だなぁ、という感じです。素直に面白かったし感動しました。
メ
ローラ・ポイトラス監督『美と殺戮のすべて』闘い続ける写真家
<作品情報>
<作品評価>
75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
非常によくできた作品です。オピオイド危機とナン・ゴールディンの個人的な物語が次第に交錯していく様を上手く描いています。
『シチズンフォー』を観た時点では映画祭向きの監督ではないと思いましたが、本作を観てみるとアーティスティックな感性が光る作品に仕上がっていました。ゴールディンの写真、スライド